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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が加齢により、機能が低下しなおかつ持てる能力を失い、そして死に向かう過程を、前半は著者自身の診療経験から綴る。そしてこれからどのように老いればいいかと問建てをする。老人が惨めな存在に思えて仕方がないのが、我々一般人なのだろう。まず高齢者自身が尊敬に値する存在にならなくてはいけない。自らの老い、苦痛、不如意を泰然と受け入れ、栄誉や利得を捨て、怒らず、威張らず、自慢せず、若者に道を譲り、己の運命に逆らわない心の余裕を持つことが大切だ。そして私も前期高齢者。
目から鱗 考えを改めます。
2024/01/03 11:42
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投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
百歳になっても畑仕事をしたり動画アップしたり、という姿を目指さないといけないと思っていた。そのためには、あれこれ健康法をして、健康食品をいろいろ買ってと。
ぜーんぶいらないんですね。
自然に任せようと気持ちが楽になりました。
老いや死とは、ある程度の諦観を持って臨むべし
2023/11/05 21:22
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
医療幻想を抱かず、老いや死にジタバタしないことが肝要という久坂部氏の死生観を語った医療エッセイ。「これから老いる人や、すでに老いている人の中で、心に余裕のある人に向けて書いた」とのこと。前半は認知症との付き合い方、後半はガンの対処法や「老い」「死」との向き合い方を説いています。今が一番幸せと認識し、老いや死とは諦観を持って臨むべしという主張に共感しますが、内容はやや期待外れでした。それにしても、無駄な上に被曝の可能性がある「がん検診」を医者は受けないとのこと。会社員には選択の余地がない理不尽さを感じました。
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小説を幾つか読んだので、新書も読んでみました。ケアの仕事もやられているので、現実的なお話で、かつ作家先生の自然体な考え方に共感しました。水木さんの言葉は刺さりました!
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できれば、苦しむ老い方はしたくないと思う。認知症にはなりたくない、がんも怖い、家族に迷惑はかけたくないと思う。でも老い方は人それぞれで、しかも自分では決められない。
読み始めると、まずは老いの現実。きれいごとではすまされない。心身ともに疲弊する。今、介護を担う全ての人に敬意を払いたいと思った。
次に認知症について。認知症になると〈今〉しかないので、煩いも消えるらしい。認知症になる前から心配しても、そのときにはわからなくなっている。なるようにしかならないのだから、前もって心配するだけ時間の無駄なんだなと思った。
もうひとつわかったことは、最近は年配者よりも若者のほうが新しいことを知っていて、教えてもらわなければならない。だからこそ、自らの老いを受け入れ、怒らず、威張らず、自慢せず、若者に道を譲り、己の運命に逆らわない心の余裕を持つことが必要だということ。これはとても難しいことで、だからこそ、そうなれば若者の敬意を呼び覚ますことができる。でもなかなか難しそうだ。
がんについては、標準治療の大切さ、人の弱みに漬け込む怪しげな民間治療に気をつけること、痛みを取り除く重要性、残されたもののエゴで患者を苦しめないことなどと、強い精神力の必要性を再確認できた。
老いは、誰でもが初めての体験になる。考えてもどうにもならないことよりも、今の時間を楽しめるように生きていきたいと思った。準備はもちろん大切だが、準備だけで人生を終わらせないようにしたい。
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『人はどう老いるのか』
著者 久坂部 羊
講談社現代新書 2023年
医者で小説家の著者が「老い」をテーマに書いた上手に老いるための老い方指南の本書。医学的な老いに関して書いているとかそういう類の本ではないが、医者目線から見た様々な人たちの老いた後どうなっているのかというエピソードがふんだんに盛り込まれており読みやすい。
老いに関する話から認知症の治療薬の話などがメインであるが、それに付随した医療幻想の話しなどもされており、個人的にはそっちの方が興味深い。その中で安楽死に関する著者の意見を引用しよう。
安楽死や尊厳死を否定したがる人の心の奥底には、やはり死の絶対拒否という硬直した思いが横たわっているような気がします。絶対拒否は思考停止で、あらゆる状況が起こりうる現場では役に立ちません。
安楽死法がない日本は、見えない”安楽死禁止法”が布かれているのと同じです。苦しみながら死んでいった人は何も言いません。無駄な苦しみを味わって、悲惨な時間を長引かされて、その苦しみを経験していない人から「死なないで」などと言われて亡くなった人は、何も言いません、
しかし、もし死人に口があれば、あんなに苦しむのなら安楽死させてほしかったという人は、決して少なく無いと思います。
安楽死や尊厳死に関しては賛否両論あるが、個人的には私もこの意見に賛成だ。生きる権利があるのなら、死ぬ権利もある。それがもっともだと思う、
もちろんこの話を大っぴらにしようとするなら、まだまだ日本には大きな壁がある。しかし、生もあれば死もある。死は決して非日常ではない。こういう認識から始めることが最初の一歩だと思う。
老いを受け入れることが上手に老いるために必要なように、死を受け入れることが上手に死ぬことなんだろう。上手に死ぬってなんだよ…。
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人は老いや,その延長線上にある死を自分事として認識したくないのだ.老子がもうずーっと昔に知足,と喝破しているのに.
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人間の老い方に関する本。高齢者医療に従事されている久坂部さんの経験などまとめられており、リアリティの高い内容である。自分はまだ両親もそこまで老いが進んでいないため経験がない分、こんな老い方をするのだと新しい気づきが多かった。自分もかなり老いを感じてきており、まだ早いとは思うものの準備をしていきたいと思った。
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下手に老いて苦しんでいる人は、だいたい油断している人。浮かれた情報に乗せられ、現実を見ずに明るく気楽で前向きな言葉を信じた人たちです。上手に老いて穏やかにすごしている人は、ある種の達観を抱いています。決していつまでも元気を目指して頑張っている人ではない。いつまでも元気にこだわると、いずれ敗北の憂き目を見るのは明らか!老いれば機能が劣化する分、あくせくすることが減り、あくせくしても仕方がないし、それで得られる事もたいしたものでない。そういう智恵が達観に通じるように思う。多く高齢者に接し、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見ていると、初体験の「老い」を失敗しない方法はあるような気がする【目次】
第一章 老いの不思議世界
第二章 手強い認知症高齢者たち
第三章 認知症にだけはなりたくない人へ
第四章 医療幻想は不幸のもと
第五章 新しいがんの対処法
第六章 「死」を先取りして考える
第七章 甘い誘惑の罠
第八章 これからどう老いればいいのか
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「年を取れば人格者になる」はせいぜい70歳まで。人生経験が豊かで、精神的にも余裕と自制心が培われ、若者から見れば人格者に見えていた。しかし現在はその先に20年ほど生きてしまう。高齢者は、自らの老い、苦痛、不如意を泰然と受け入れ、栄誉や利得を捨て、怒らず威張らず、自慢せず、若者に道を譲り、己の運命に逆らわず、心に余裕を持つこと。と述べている。▶︎そのためには、できなくなったことに気を奪われることなく、できることの現実を受け入れ日々感謝の生活を送ることである。一生精進である。
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評価3は面白くなかったわけではなく、過去の久坂部作品を読んでると当たり前と思うような既知のことが書かれているから。初めて読む方には面白いと思います。
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2024/1/25 読了
”老いに抗うのではなく受け入れる”が基本テーマ。高齢者医療現場での経験が生々しい。その中で軽度な老化でも不満一杯の人と、かなり重度な老化でも幸せそうに満足している人の差は”老いの受け入れ”と分析している。医療の進歩が老い末期患者の苦痛を助長していることが示されている。要するにあまり老化を意識せず、好きな生活を送ってピンピンコロリを理想とする、ってことかな。
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グループホームむつみ庵では、階段が急。慎重に上り下りするのでかえって安全。
認知症の薬は、評価がわからない。そもそも進行スピードは人によって違う。
認知症にならないと、だんだん不如意になってくる自分が許せなくなる。体が言うことを聞いてくれないことを突き付けられる。
病気と死を恐れなくなるほうが穏やかになる。猫も犬も人間ほど心配しない。一つ目小僧は今しか見えない。犬は目が見えなくなっても嘆かない。
認知症のトラブルを最悪なものを想定する。否定せず受け入れる。
医療幻想を持たない。医療には限界がある。早期発見早期治療が大事、という人は医療幻想にとらわれている。認知症は早く見つかっても手の打ちようはない。むしろ不幸になる。
常に前向き、よりも受け入れようとする態度。
おむつ外し運動など美談の弊害。長生きすれば必ず訪れる症状から目を背けようとしないほうがいい。いずれそういうこともある、と準備するほうがいい。
がんの患者が増えたのは、ほかの病気で死ぬ人が減ったから。がんは老化現象のひとつと考える。
がんの悪液質は食欲を奪う。悪液質になったら静かに見守るほうがいい。無理に食事をとらせない。
がん検診は、胃、肺、大腸、乳房、子宮頚部だけがエビデンスがある。検査被ばくが心配。医者はがん検診を受けていない。体調に注意していれば治療できる程度のがんはわかる。2人に一人がなる、ということは、2人に一人はならない、ということ。今は治らないけど死なない、という道がある。
老衰は食欲がなくなって死ぬだけではなく、腎機能が衰える場合もある。この場合、人工透析をするか悩ましい。安楽死法がないのは、安楽死禁止法があるのと同じ。
スーパー老人はもって生まれた体質がある。がんばっても無理と考える。不満や失望を抱えない。
老いの不如意や衰えも受け入れて付き合っていく。
日本は敗戦後、命を大事にしすぎる国になった。
欲望と執着が苦しみの種。無為に至れば自然にうまくいく。
事前の期待値を下げておけばがっかりせずに済む。
武士道とは死ぬこと、よりよい死に方をしたい。
いのちよりも苦しまないことが大事。
名前なんて1万年もすればだいたい消えてしまう。
幸せの準備だけして終わらないように、今を幸せに生きる。
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良書。
認知症は、悪くない。本人は、今しか分からないから、死の恐怖を感じなくなるから。周りは大変だけど。
死は受け入れるしかない。誰でも訪れる。近年は、無理やり生かそうとする。本人、家族とも辛くなる。高齢なら何もしないほうが楽。
気楽に、今を楽しむ人生を心がけよう。
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地震の起こる確率より、死ぬ確率が高い。それなのに死にたいする準備が出来ていない。死も老いも必ずやってくる。あれこれ心配せず、そのまま受け入れよう。その気持ちを持つことが、老後の宿題なのかもしれない。