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思った以上に読みづらく、面白かった。
最初はタイトルや紹介ページから『読み書きが広がった故の弊害』や『印刷物に対するあれこれ』かと思ってた。全然違った。労働階級の生活や文化についてが主な話。その中でも『読み書き=印刷物の普及に伴う変化』が主題という感じ。
最初は男女の結婚するまでの文化や価値観が書かれてる。
p269 11B 大衆文化における現在の諸傾向・概括
中央集中化の過程と技術的発展とが続いているさなかで、なにか実質的に意味のあることとして「自由」を保持してゆくためには、どうすればよいのか、という問題、である。これは格別に複雑な挑戦といってもよい。なぜなら、もし実質的に内面の自由がなくなったとしても、巨大な、新しい「階級のない」階級には、そのことがわからないだろうから。そのメンバーはそうなっても相変わらず自分たちは自由だと考えるだろうし、おまえたちは自由なんだ、と語られるに決まっているから。
――感想ー
これ、ラストの文章なのだけど。
希望的なことが書かれてる(『複雑な挑戦』の部分)……と一瞬思ったのに、最後の文は要するに『自由がなくなっても分かんねーだろ。お前ら馬鹿だから(←言い過ぎ)』という意味だよね。
私の読み方が間違ってるだろうか。
でも『表現の自由』の使い方を見ると、なんかこのラストの文章には頷くことしか出来ない。
一応書いておくと、【「階級のない」階級】は労働者階級にいた人たちも読み書きができるようになって、その階級から抜け出す人たちも出てきたし、他の階級もこの膨大な量の書籍や新聞に接していて、階級の区切りがなくなって来たのではないかと言う考察から【階級のない』階級】は大衆娯楽を消費する人たちというような意味合い。(だと、私は思ってる)
文化をつらつら書いてある第一部は興味が持てなくて、選んだ本を間違えたかな……と思ったけど、最後に近づくほど『今のインターネットの世界も変わらない』という部分が多くなって面白かった。