紙の本
実験的イヤミス、後半は湊かなえの面目躍如
2023/12/27 16:58
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
デビュー15周年の書き下ろしということで、発売と同時に話題となっている本作。
これまでのイヤミスとはひと味違った作品、というのが第一印象だ。実験的なイヤミスと言えるだろう。
あらすじはあちこちに書いてあるので省くが、これまでの作品に多い、母娘などを中心に女性の人間関係や心の闇が主軸になっているケースと違い、本作の主人公は父子。
母娘や女性同士の一般社会でもありがちな言動や心理状況のリアルな描写ではなく、ちょっと現実や一般の感覚からは、乖離したような告白が続く。
いわゆる倒叙ミステリーの形式を取り、冒頭から犯人?と名乗る者の告白が始まる。
前半は、犯人?が罪を犯すまでのバックグラウンドや、蝶についての知識、被害者一人一人の説明が日誌のように連なっていて、自分は何を読まされているのだろうかとしばらくは苦痛が続いた。
しかし、ここで本を閉じてはもったいない。
ちょうど半分をなんとか読み終わったあたりから、俄然面白くなる。(ようやくミステリーを読んでいる感覚になる)
湊かなえの面目躍如といった調子で、ページをめくる手が止まらなくなる。この前半と後半の落差が、さまざまな語り手が一つの事件を語るタイプのこれまでの湊作品とは異なる気がする。
そして、後半。
倒叙のはずが、想定されていた真相がまず(納得できる範囲だが)覆される。
そして、ラスト。
更なる真実が明かされる――。
猟奇的殺人、芸術とは、欲とは、人間に見えている世界は・・・想像は膨らむが、一般人の理屈や感情だけは説明できない、犯罪に至る道すじは、リアルというより、どこか浮世離れした幻想に近いような印象も受ける。好みが分かれる作品かも知れない。
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面白すぎて一気読み!
乱歩の「パノラマ島綺譚」っぽい狂気と芸術の理想郷。
犯罪者型のストーリー展開とラストまで気を抜けないスピード感に心鷲掴み!
帯に特設サイトのQRコードがあるのでお見逃しなく。
作者インタビューほか蝶博士のレポートにある蝶のカラー写真もあるので、より人間標本の世界にハマれる。
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2023/12/13リクエスト 36
人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな
それを世代を超え息子の至が実現しようとした、と思い込んだ父親の榊史郎。
単行本には珍しく口絵がある、どれも恐ろしいような、でも透明感のある美しさ。
途中から何度も読みながら口絵に戻って確認してしまったほど。
蝶の名前が出るたび検索した。
モルフォ蝶、レテノールモルフォ蝶、なんて美しいんだろう。
グロテスク、イヤミス、とレビューが多いけど、そうかな…
父親の史郎の気持ちに共感した。親の気持ちがよく表れていると感じた。
この作品は、口絵の美しさと、本の内容に素晴らしくあっている作風を持つイラストレーターさん、湊かなえの最高のコラボだと思う。
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楽しみにしていた湊かなえさんの新作。
なんでこうなってしまうのー?涙 と心の中で叫んでいました。
ラストにかけて畳みかける展開に目が離せません。大満足の作品です。読み終えた後の余韻がすごい。
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タイトルからして不気味な印象をを受けたが、内容も最初から猟奇殺人犯の手記として始まっていて、読み進めるのがなかなか困難だった。
中盤から後半にかけて、連続殺人事件がただの猟奇殺人犯によるものではないことが明らかになっていくのだが、共感を覚える作品とは言い難かった。
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発売から気になっていた作品で、図書館で回ってきて早速読み始めたけれど、最初の絵から苦手な雰囲気。
一章目もしんどくて、かなり頑張って読んでの二章目。
そうきたかーと親目線も入って別のしんどさ。
どんでん返しがありまくりで、最後まで予想できなかったけど、読み終わってからも全然スッキリせず嫌な余韻が残る…
けれどもこんなにページを捲る手が止まらない作品は久しぶりで、そこはさすが湊かなえさん。次にどう来るか気になって最後の100ページくらいは本当一気読み。
引き込まれたけど、私には嫌悪感が強すぎて面白いとは素直に言えない作品だった。
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タイトルの通りの猟奇殺人。
アーティストだからこその常人には理解できないような犯行動機。
かなりぶっ飛んだ内容でした。
僕は蝶の種類でいえば何になるんだろうか気になります笑
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前半はなにこれ状態だったが、事件が発覚してからの後日談に引き込まれた。親子はどうしても切り離せない。
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著者は当たり外れが大きいが本作はまじつまらなくて
読み切るのに苦労した笑
中盤はだらけて
終盤どんでん返しみたいのもあるが意外性もなく
何か小手先で書いてるような
カタルシスみたいなのもないし
人間ドラマもないし
うーんもっとグロさがあってもいいような
単行本2000円はコスパ悪過ぎ
結構本読んできたけど人生の中で最近の小説つまらない
稼げないから優秀な若者が小説なんて書かないし
あと10年後は文芸はほぼ消えると思う
松本清張とか村上春樹や絶頂期の東野圭吾とかの
作品読み直したほうがいいかも
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面白かった。最初の絵たちを美しいと思ってしまったのはだめなんだろな。読み進めて犯人が一転二転…としてくのは湊さんらしいけど個人的にはしなくてよかった。そういう話じゃなくてよかったのになと思ったりした
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期待を裏切らないイヤミスだった。
今回なんて、タイトルで分かるだろうに!
毎読後、湊かなえ作品はもう読まない!と思うが、またつい手にしてしまう。
ストーリーが二転三転するが、やはり重い読後感だけが残った。
まあ、分かってて読んでるのだから、自業自得、笑。
そろそろ、『花の鎖』のような
湊かなえ作品が読みたい。
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イヤミスらしく後味は悪いので自分好みではあった。手記が多く、主人公以外の心の動きはわかりづらかったので、衝撃はあるかもしれないけれども腑に落ちないようなモヤモヤするところもあった。蝶が終始出てくるので、読みながらいろいろ調べてしまった。
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筆者のファンである私にとってはこれまで既刊されている中で1番非現実的な内容と感じたのでミステリー作品としてより一種のSF小説を読んでいるような気持ちになった。そういった“非現実的”なものを求めている読者の方がのめり込める作品なのかもしれない。
構成としては冒頭から始まる主人公&その息子による語り部分は展開がなかなか進まなかったり重複している箇所があったりでやや退屈になってくるかもしれない。だが最後にかけての3分の1?あたりから一気に展開が変わってそれまで読んでいた箇所からの読者である私の考察を全て覆してくるような感じ。
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人間の狂気、親子の愛情、ここまで綿密に描けるものなのか…。
おぞましいとも感じるが、そこには親の子に対する、(歪んではいるが)愛情が伝わってくる。
我が子のためにどこまでやれるのか。何ができて、何ができないのか、何が正しいのか、自分に突きつけられているような気がした。
湊かなえさん、すごいです。
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画家の息子。子供の頃、山の別荘で暮らす。
蝶の標本に作る。絵の才能がないが蝶の研究所になる。幼馴染の女性画家になり、才能のある少年を昔の別荘に集める。自分の息子は祖父から絵の才能を引き継ぐ。
5人の少年を息子に殺させて標本にした。
息子は自分を標本にするように父に依頼