紙の本
共感する所が多い、財政経済学書です。
2024/03/28 20:38
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
財政学を専門とする経済学者の著者が、財政学を駆使し、現代日本経済の問題点を次々と指摘。より良い国民生活の推進、民主主義の達成にどのような策が必要か、持論を展開する1冊です。
市場経済への過剰な依存より、人々の心が安らぐ生活空間への追求を大事にする話の展開になっています。その著者の持論には人間味を覚え、共感する所が多いです。
いかにも難しそうなタイトル標榜をしている当書ですが、タイトルからのイメージに比べたら読み進めやすい内容です。ぜひとも読むのをチャレンジしてみてください。
紙の本
財政と民主主義の理想
2024/04/20 16:52
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
財政学の専門家が財政の基本的役割や租税徴収、社会への還元、そして運用の為の重要な要素である民主主義について述べている。現在の税体系では不当な富の集中蓄積から中間層が崩壊し貧困が広がっている現状は本来の財政理想目的とは大きくかけ離れていると説いていると読んだ。北欧スウェーデンとの比較も興味深かった。定義付けの部分が少々長いが後半の4章・5章はどのようにして人間が社会に関わり民主主義の下に信頼できる社会を築いていくべきかを考えさせられた。
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20240305-0322 財政学の泰斗神野先生による。財政のあるべき姿と地域自治体での共同意思決定にもとづき未来を選択していく必要性について語っている。
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専門的知見を交えながら幅広い話題が提供されている「新書らしい」感じの一冊だった。興味深く読了したところだ。
本書では、世の中の資金等の動きに大きく2つ在るとしている。民間企業等の活動による、利潤を追求する動きが在り、これに対して必ずしも利潤を追求するのでもない政府等が資金を動かすというモノが在る。後者を「財政」と呼ぶ。その「財政」を巡って様々な話題を展開しているのが本書である。
所謂「パンデミック」という未だ記憶に新しい問題の故に色々な動きが世界の様々な国々で在った。日本もそれを免れてはおらず、色々な事が在った。本書の前半の方では、こうした事柄を巡っての話題が在る。
要は「人々が生きる権利を如何に護る」ということで、医療のような公共的なサービスを如何に運営する、如何に機能を護るというような問題が「パンデミック」に際して顕在化していた。これに関して、日本国内の例や国外の事例を色々と検証するような内容が在る。
所謂「新自由主義」というような経済関係の考え方が在る。これは米国や英国の流儀であるが、日本はこうした流れの中に在る。これらに対して、欧州諸国等の流儀が在る。そういった辺りが詳しく綴られている。
米国、英国、更に日本では社会の様々な動きに関して「観客型」という立ち位置になる人達が多い。欧州諸国では「参加型」ということになって、常々そういうように在るべきだと社会の中で促されているようだ。
こういう内容であれば「“出羽守”だ」と揶揄されてしまうことに終始するかもしれない。「でわのかみ(出羽守)」というのは「〇〇では」と国外事例のようなモノを列記するばかりという程の意味で時々言われる。が、本書はその「でわのかみ(出羽守)」に終始しているのでもない。
日本国内にも、時代の変化で半ば潰えてしまったが、「大正デモクラシー」というような「参加型」で社会の様々なことを動かそうとした経験、歴史も在り、地域の人達が地域で生き生きと活動出来ることを目指した様々な経過というモノが在るのだ。そういうことが確りと取上げられている。
著者は1946年生まれ(今年で78歳になる)ということだ。何か「後身達」や、より遠い未来を生きる世代に向けて、「人が人らしく在る未来を思い描きたい」という想いを遺し、伝えようとして本書を著したのかもしれないというような気もした。
未だ記憶に新しいような事柄も含めた“問題”の解説も含めて、新しい明日に向けたヒントを示すような本書はなかなかに貴重だと思う。御薦めしたい。