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俵万智さんのデビュー作であり歴史的ベストセラー『サラダ記念日』から最新作『アボガドの種』までを網羅するセレクション歌集。
俵さん御自身が書評家の渡辺祐真さんと一緒に選んだ220首。
80ページを超えるスケザネ超ロング鑑賞の手引き「俵万智の読み方」付。
帯文より引用
スケザネさんの評論がとても的確で鋭いと思いました。
例として『チョコレート革命』の評論の一部を引用します。
抱かれることからはじまる一日は泳ぎ疲れた海に似ている
水蜜桃の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う
恋愛の歌ながら、どこか倦怠感が漂う。「泳ぎ疲れた海」は、もうあとは帰るだけ。はじまっているはずなのに、もう終わっている。
二首目。精一杯愛されており、幸福な愛の賛歌とも読めなくもないが、思い出しているのは「前世」だ。「来世も同じく女でありたい」とか「来世も愛されたい」といった未来志向ではなく、こんな絶頂の中で過去を、それも自分の知らない過去を想像している。いずれも『サラダ記念日』のようなキラキラした希望とは無縁の、退廃的な愛の歌だ。
(中略)
先にも引用した通り、俵は自身の歌集について「原作・脚色・主演・演出=俵万智、の一人芝居」と銘打ったことがある。もっと言えば、自分を題材にして、短歌という劇に仕上げたことを意味する。自分を女優にした一つの恋愛劇、その舞台となるのは、劇にはもってこいの不倫。つまり「革命」という語は、不倫が劇的なものとして(ある程度)演出されているキーワードと読むことができるのではないか。
(後略)
あとは、未読で絶版になっている『とれたての短歌です』『もうひとつの恋』からも選出歌が載っていること。
未読の『オレがマリオ』では、私は表題作の意味をずっと(表題作だけは知っていました)取り違えていたことがわかりました。
<「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ>
俵さんの歌は凄く自然で読んで意味のわかりやすい歌ばかりですが、凄く奥深い意味が隠されていてそうやすやすと真の真意が読める歌ではないことがよくわかりました。
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【目次】『サラダ記念日』より/『とれたての短歌です。』*『もうひとつの恋』より/『かぜのてのひら』より/『チョコレート革命』より/『プーさんの鼻』より/『オレがマリオ』より/『未来のサイズ』より/『アボカドの種』より
母の日にXに挙げられていた俵万智さんの短歌を読んで、やっぱりいいなあと思った。
選集は、渡辺祐真さんが、俵万智さんの代表作を中心に選び、それに俵さん自身の判断で追加。
解説は、渡辺さんの判断で取り上げた歌について鑑賞を記すとのこと。
こうやってまとまったものを読むと、俵さんの半生を眺めているような気がしてくる。共感する歌がたくさんある。
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覚えている短歌もいくつも載っていて嬉しかった。
あまりYoutubeを見ないので知らなかったけど、解説のスケザネさんという人はすごい。
『チョコレート革命』をもう一度読みたくなって、購入しました。
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解説付き選歌集です。短歌は苦手ですが、俵万智さんまでは何とかわかります。久しぶりに堪能できました。撰歌と解説は別基準とは言い条、そこがいいところでもあり、ひっかかるところでもあります。
内容とは関係ありませんが、はじめに、俵さんが過去に刊行された選歌集が、現在流通していないことに触れられています。私は基本、本は図書館で借りて読むので何の支障もないのですが...
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“蛇行する川には蛇行の理由あり急げばいいってもんじゃないよと”(p.133)
“生き生きと息子は短歌詠んでおりたとえおかんが俵万智でも”(p.299)