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様々な人物の内面を描いた短編集
2010/11/06 00:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファミ通文庫のサイトで見た、作者の『美冬姉さんの出番がほとんどありません』とのコメントに軽く愕然としたが、他にも魅力はあるからと思い直して読み始めたら、これが面白くて止まらない。5編の短編それぞれに趣きがある。それぞれの視点で綴られた物語が新鮮でもあり、従前のガッカリ感は無用だったとお詫び申し上げたいくらいである。
【年越しの階段】 ほぼ神庭幸宏の一人称
本巻唯一の階段レースは、初詣先の神社で繰り広げられる1000段の長丁場。スピーディーな前半とホラー&ミステリー(?)な後半とに分かれている。ありがちなオチだったが、それまでの過程(伏線)に妙味があった。参拝客で賑わう初詣にどうやって階段レースを?との疑問にもきちんと理由を設けている。
【恋愛とチョコレート】 三島真琴の一人称
幸宏への想いや御神楽あやめの登場で何かと想い悩む三島さんが、自らを叱咤し、鼓舞すべく逆襲の一手を決める話。思いの外ラヴ成分が詰まった三島さんの内面が実直に綴られている。
【チョコレートと恋愛】 書き下ろし、御神楽あやめの一人称
上の話を御神楽さん視点で綴った裏ストーリー。実に点対象のような立ち位置の違いと御神楽さんならではの権謀術数が描かれるが、「策士、策に溺れる」的な手痛い一手を喰らう狼狽や、その後の感情が表に出た方がいいのに、という御神楽さんの欠点が示される話でもある。
【エンドレスフォー】 中村ちづるの一人称
本編でもいい味を出していた中村さんの胸の内は思った以上に悶々としている。面白いわぁ、この娘。びっくりするくらい刈谷ラヴなのに、「小娘」と揶揄する元階段部部長と喰えない元生徒会長が常に割り込んでくるやるせなさが毒舌で吐露されている。実は必死に頑張っている元生徒会長や、ここで想いがはっきりした元階段部部長といった事実も判明している。
【予兆】 書き下ろし、井筒奈美の一人称
井筒(妹)の話。本編から1年繰り上がった新学期で、ある意味正統な後日談と言える。挫折で燻っていた自称ヘタレ妹が立ち直る話だが、同じくヘタレな幸宏が最後にキメる場面がある。部長や刈谷が去った後の階段部の様子も窺え、上の話にも出てきた中村さん(妹)の「その後」も描かれるオマケ付き。実は相応に未消化な事柄があり、場合によっては続編執筆可能か?という含みが無きにしも非ず……。
目指すべき先を探して
2010/11/07 01:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
FBonline掲載の短編3本と書き下ろし2本が掲載されており、後者のうち1本は本編完結後のエピソードになっている。
大晦日から元旦にかけての初詣を兼ねた千段の参道レースを描く「年越しの階段」、三島真琴視点でバレンタインのエピソードを描く「恋愛とチョコレート」、御神楽あやめ視点で同じ出来事を描く「チョコレートと恋愛」、九重ゆう子・刈屋健吾・遊佐由宇一・中村ちづる四人の関係を描く「エンドレスフォー」、そして、新しい年度になり新入生を迎えた天栗浜高校で、井筒研の妹の井筒奈美と神庭幸宏の出会いと再スタートを描く「予兆」を収録している。
真ん中の三篇は、サブキャラ視点で本編の時系列の中の物語を描きなおしているので、これまでとは違った人間関係の印象を抱くかも知れない。また、最後の一編は、まさに新しい物語のスタートという感じに仕上がっていて、目標を失って自暴自棄になりかけている井筒奈美に前を向かせるセリフを放つ神庭幸宏が格好よい。
まだまだ今回触れられなかったキャラクターたちも大勢いるので、機会があれば彼らの事後談が描かれるのも面白いと思う。
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