意外にがっつり化学本
2010/12/22 09:55
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙が萌え系女の子であったり、物語の始まりこそその女の子の今一物足りない大学生活を描いていたりで油断しがちだが。どうしてどうして本作品は、想像以上にがっつりと最先端科学をテーマにした作品。いや最先端科学と宗教、倫理や哲学も取り混ぜて考察し創り上げた一作になっている。そういう意味では以前話題になったダン・ブラウンの「天使と悪魔」に、ちょっとテイストが近いか。だから萌え要素を期待して本作品に入ってくると、ちょっと期待はずれとなってしまうかもしれない。
男の子というのは、概してメカが好きなものである。カメラや車などは、その性能よりも見た目やスペックに魅力を感じてしまう。そう「マシン的な物」に憧れてしまうのだ。そういう意味で「大型のコンピューター」というのも、伝統的に子供たちの憧れである。私のような昭和生まれなら、バビル二世や宇宙戦艦ヤマト等に登場してきた、何か不思議なレバーが付いてたりやたらとボタンがたくさん付いてる、巨大なコンピューターに憧れた記憶があると思う。そういうマシンやメカの話になると思わずムハムハとして来てしまう少年達に、本作品は最高にオススメである。
科学の粋を極めたスーパーコンピューターを、その性能ではるかに上回る「量子コンピューター」。現実ではまだ実用に至っていないその量子コンピューターが物語の中心に来る。そのロジックや原理などもつぶさに説明してあり、ある程度の知識や理解力がないとしっかりと理解するのは難しいかもしれない。でもしっかりと理解する必要は無いと思う。最先端科学のテイストを感じて「うは、すげえ!」とムハムハとしていれば、本作品を充分楽しめる。
主人公の直美は、大学生活にあまり魅力を感じていなかった。そんな時に「量子コンピューターを使って占いをする」と言う某コンピューターメーカーの、壮大なプロジェクトにアルバイトとして参加する。そしてそのプロジェクトは二転三転をするうちに、「神」を作り出そうという事になっていくのだ。量子コンピューターで「解析世界」という新しい世界を作り出し、その世界に「解析神」を光臨させ、その世界でシミュレーションをする事で、人々の占いを行ったり希望や願望を叶えるコンサルティングをしようと言う。しかし技術的な事は元より、倫理的・哲学的に「神」の創造は赦されるのか、有り得るのか・・・。関係者の苦悩・苦闘の中、巻末にとうとう「神」が、産声を上げるのであるが・・・。*下巻に続く。
投稿元:
レビューを見る
「神様のパズル」の番外編。物語のベースとなるのは量子コンピュータ。前半で量子コンピュータの技術説明がされるけど、正直よくわからなかった。量子コンピュータを用いて電子の世界で神様を作れるかみないたな話ですが、読み手の宗教観によっては感じ方が異なるかも。
投稿元:
レビューを見る
上下巻。
設定が面白そうなので読んでみた。最先端コンピュータに占いをさせるというぶっとび具合が愉快。しかも形状が…。
小佐薙氏の関西弁が微妙だとか人称のゆれが若干気になるとかはあるけど、読ませます。これスピンオフと知らなかった。「パズル」を読まねば。
投稿元:
レビューを見る
スピンオフだからか本編に比べてキャラが弱い気がする。
量子コンピュータの話とかの説明はよく分からなかったから、話が動くまで退屈だった。
まだ、上巻なので最終的な感想は下巻読んでからかな
投稿元:
レビューを見る
近未来SF。次世代コンピュータ(量子コンピュータ)で何ができるのか?
…神様?!
っていう本でした。
アクション的なダイナミズムがありますが、主人公は座ってることが多く、スピード感にバラツキを感じました。
機本さんの作品としては、異様さがあまりなく、でもやっぱり異様でした。
特に神様のパズルシリーズで期待をしてしまったせいかもしれませんが、若干ガッカリでした。
投稿元:
レビューを見る
【情報】人間に神を創ることは可能か?矛盾とは?最新鋭の量子コンピュータを駆使しプログラムされた「神」。バイトとして事業に参加した大学生の井沢直美は巫女役を任され…。機本伸司の書下ろし本格SF長編。(2011/02/09)
【読了】『神様のパラドックス』の「人を学ばなくては人間は救えない」って頑張るフライデイMというロボットが好きです。人間だって他人の真似をして学びますから、その気持ちに共感できます。だけど人間は沢山いて、どれが正解かわからない。(2011/02/09)
投稿元:
レビューを見る
相変わらず表紙のイラストがキツく、ブックカバーなしでは電車内で読めません。
物理学上の仮説がベースとなっている点は機本氏の他の作品と同じですが、今回の主役ともいえるシステムの構築過程があまりにスムーズすぎて拍子抜け気味。悩めるAIがどのように進化するか、下巻に期待します。
投稿元:
レビューを見る
神様のパズルとかに引き続き呼んでみた本。哲学ちっくな内容を織り交ぜつつ、SF的なストーリーで話は進みます。
別に内容が難解なわけではないのだけど、イマイチ世界観にのめりこめない。
投稿元:
レビューを見る
(上下巻あわせての感想)
神様のパズルを読んでみたかったのだが、先にこちらを図書館で見つけたので借りてみた。
感想はまぁまぁ。
量子コンピュータのことなんかは、半分も理解できていない感じですが。
そーゆー話に触れるのは、嫌いじゃないです。
神づくりの話も。
ただ、主人公の立ち位置がよくわからん。
ど素人の主人公がいるからこそ、こちらもついていけるのかもしれないけど。
展開がどんどん変わっていって、一貫性がない気がしたけど、読み終わると一応あったのかな?という感じ。
最後の方で、神様のパズルとの関係もちょっとだけ出てきたので、そちらも読んでみたいです。
投稿元:
レビューを見る
弾道軌道で飛ばす飛行機型の量子コンピューターで普通よりちょっと精度がいい占いやってみない?
周りに流されがちな女子大生が巻き込まれるSF世界。
ノイマン型コンピューターと量子コンピューター。
弾道軌道で人を飛ばす飛行機。
なんだかめちゃくちゃな設定だけどこういうSFもあっていいんじゃない。
投稿元:
レビューを見る
「神様のパズル」のスピンオフ作品で、天才女子高生(になった)穂瑞沙羅華が飛行機にのりたいがために考えたトンデモ理論で構築した量子コンピュータにふりまわされるサラリーマンと、それにふりまわされる平凡な女子大生の話。
人の悩みを導くために、神をつくる。
神をつくるために、人工知能で神の意識、量子コンピュータで神の無意識と世界を構築する。
"神"とはなにか、何をみたせば"神"かは考えているが、"世界"とは何か、何を構築したら"世界"なのかということには一切ふれないことに不満を感じる。
「人工知能が世界というシステムを構築する」というところで、膨大なソフトウェアの開発部分は人工知能が頑張ってくれるとしていいとしよう、じゃあ、人工知能さんは一体何をシステムとして構築するんですかね?本題じゃないことは理解してるけど、「資料をあたえたら勝手に~」という程度での描写じゃちょっと手ぬきすぎじゃない?
そもそも、ヒューマンインタフェースにしても、人工知能と人が会話でやりとりしているけど、そんなエラーが大量に発生するような手段をつかうなんて、ファンタジーがすぎる。量子コンピュータのエラーについてはちゃんとエラー検証するくせにね!!
SFとしてサイエンス部分の詳細をつめるのであれば、粒度をそろえてもらいたかったな。ストーリーとしては面白いんだけど、システム屋としての職業病で粗がみえるせいで、不満が無駄にたまってしょうがない。
あと、NP完全とかサラリーマン巡回とか、キーワードがでてるけど何のために話題にしたのかよくわからない。計算量の問題を解決できるっていうことをいいたいのかしらん。
投稿元:
レビューを見る
大学で占いサークルに所属する女子大生の日常という、なんということも無い情景に量子コンピューターというとてつもない尖がったものが挿入されるというギャップ。しかも、皆自然と受け入れて生活が続く・・・
現在に限りなく近い近未来の風景に登場する最先端テクノロジー。それが生み出してしまう異様なひっかかり感というかコメディーにくるんだブラックな笑いが作者の魅力。
下巻に続く。
投稿元:
レビューを見る
量子コンピューターで「神」を作ろう!という壮大な物語。
具体的には、神たる自律学習型AIを「箱庭」(解析世界)の中に置き、
その「箱庭」の中で、量子コンピューターの演算能力を活用して、
宇宙誕生から現在までのシミュレーションを行う。
「箱庭」から見たAIは、宇宙存在前に存在する、言わば“創造主”の位置づけ。
本プロジェクトは、リストラ寸前の量子コンピューター部門メンバーによる計画で、
この“創造主”に、現実世界の未来を占わせる事業を立ち上げるというもの。
この占い事業が当たれば部門を存続できるのでは!と一縷の望みを託すが、
AIが「箱庭」における自分自身の位置づけに疑問を覚えボイコットしたり、
別方式の量子コンピューターの実用化を目指す“同業者”からの妨害工作があったり。
果たして、部門存続は成功するのか?
そして、「箱庭」世界と、その世界の「創造主」の行く末は?
///
シミュレーターにおける「神」と「箱庭」(解析世界)を設定することで、
「神」とは何ぞやを真面目に追求/論ずる内容。
遠藤周作の「沈黙」では、人間の叫びに対して神が応えない(応えられない)、
その沈黙(苦しみの共有)を以って、その存在を確認していたと思うのですが、
それに近いプロセスを本作でも踏襲しているのは、興味深い。
SFという仕掛けを使うことで、「神」(AI)と人間(プロジェクト
メンバー)の会話を可能とし、また、別な角度から神の存在問題に
切り込んでおり、非常に刺激的でした。
本作は、山本弘の「神は沈黙せず」と極めて対照的な内容となっており、
比べて読むと、非常に面白いと思う。
(これ以上書くと、ネタバレになるので、書けませんが。。。)