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アシェさんのレビュー一覧

投稿者:アシェ

13 件中 1 件~ 13 件を表示

物語の本質は個々の事件にはない

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

矢吹駆シリーズ2冊目。
正直に言って、第一の殺人が起こった時点で、カケルの「本質直感」でなくても犯人と犯行方法くらいは見当がつきます。しかし、それはこの作品の場合瑕疵ではありません。物語の本質は個々の事件にはないからです。
物語のある段階で、ある地点に戻るためにプロットが折り返されます(このあたりどう書いてもネタバレになりそうなので難しいのですが)。そして最後に至り、実は表層に見えていたものとは違うところで、作品全体の原理が明かされることになるのですが、ともすれば形而上に昇華されてしまいそうな作品のテーマをカケルが解き明かす辺りは実に象徴的で、おそらくはシリーズを通じて笠井が書きたかったことがそこに集約されているような気がします。
そういう事情ですから、推理部分だけを取り上げて論じるのはこの作品の本質を見誤ることにもなりかねませんが、それでも一応推理小説としての側面を見てみると、細かいところまでしっかり作り上げられている本格ものといえます。おそらくそれだけでもこの作品の価値は高いでしょう。
なお、未読のかたには注意していただきたいのですが、このシリーズは順番に読むことをお勧めします。この作品でも前作『バイバイ、エンジェル』のネタを割っていますし、シリーズ全体を貫いている鍵が、順番に読まないと分からないようになっているからです。

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紙の本五匹の赤い鰊

2002/12/26 01:42

遊び心あふれる名作

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

強力な動機を持つ六人の容疑者。真犯人を除いた五人がレッド・へリング(偽の手がかり)をばら撒いて…タイトルにはそういう意味がこもっています。
真犯人以外の五人は事件のことも知らずにそれぞれ怪しい行動をしているのですが、ただでさえ難解な事件が、そのせいで余計に複雑化していく、という趣向です。
クライマックスでは捜査側の五人がそれぞれ別の犯人を、それぞれにもっともらしい理由を付けて告発するのですが、ここにはもしかすると、この作品の二年前に発表された、A・バークリー『毒入りチョコレート事件』の影響があるのかも知れません。そんなところといい、事件現場で捜査中に
(ここでピーター・ウィムジィ卿は、探しているものとその理由を巡査部長に告げたのだが、頭のいい読者諸君は詳細を聞くまでもないと思われるので、このページから省略させていただく)
…などと、あからさまに手がかりを伏せるところといい、稚気に溢れていて、これぞ正統派英国推理小説、との思いを抱きました。こういう遊び心なくしては、彼の国の推理小説は語れません。
また、この作品で使われたトリックは、その種のトリックが世界一発達している我が国(ここまで書いてしまうとどんなトリックか分かってしまうでしょうか)の読者から見ても斬新だと思われます。

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紙の本十角館の殺人

2002/12/26 01:37

『新本格』の幕開け

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綾辻のデヴュー作にして、いわゆる『新本格』の幕開けを飾った作品(余談ですが、『新本格という言葉は、かつて笹沢左保が世に出た時にも使われたので、何か他に言い方はないものかと思うのですが)。この作品の魅力は、『一言で世界をひっくり返した破壊力の凄まじさ』にあると思います。のちの作品にも言えることですが、綾辻はトリックやロジック云々より、『いかにして読者を騙すか』に腐心する作家です。その『騙し』が、この作品では先ほどあげた『一言』に集約されて、鮮やかに決まっています。
ちなみに、冒頭で登場人物の一人、エラリイが語った言葉──「ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうが、やっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック……。絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめればいいのさ」という言葉は、綾辻の『本格ミステリー宣言』ととれなくもありません。このあと続く館シリーズや他の作品を見ても、その裏づけとなるでしょう。さらにこの言葉はこう続きます──「但し、あくまで知的に、ね」。

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紙の本占星術殺人事件

2002/12/26 01:33

長年待った本格中の本格

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アゾート──『完璧な女、ある意味では神でもあり、また通俗的な呼び方では魔女と言ってもよい、全知全能の女(本文より引用)』
某漫画に剽窃されたために、もはや有名になってしまったメイントリックもさることながら、冒頭のデモーニッシュな手記の謎といい、そしてその謎が解明されていくプロセスといい、これぞ長年待った本格中の本格、といった作品に仕上がっています。
この作品の最大の魅力は、一家皆殺しという陰惨な事件を、後味の悪さを残さずに解決させたことにある気がします。そしてそれは、御手洗という希有な探偵役の登場によって初めて可能だったのではないでしょうか。それほどにこの作品には、推理小説的魅力ももちろんのこと、御手洗という人物の持つ魅力が溢れているのです。
更に、のちに島田が「本格ミステリー論」において定義付けた本格ミステリーの要素──「幻想味ある、強烈な魅力を有する謎」に始まり、「推理の論理性」によって解決される──を、すでにこのデヴュー作において現実化していることにも注目するべきです。彼にとって「本格」とはかくあるべき、という確固たる信念を、すでに最初からきちんと示してみせたということは、この作家の推理小説に取り組む真摯な姿勢を如実に表しているといえるでしょう。

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紙の本月光ゲーム

2002/11/01 00:32

本当によく出来たロジック

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地震と噴火という極限状況下の殺人。さり気なく、しかし周到に張られた伏線といい、百出する推理といい、さらにはダイイング・メッセージも飛び出して、この作品は有栖川がデヴューにむけて全身全霊を傾けた、まさに乾坤一擲の小説です。しかしただそれでは終わらず、作者は更に青春のほろ苦さという味を加え、余韻を増すことに成功しました。この作品がマニアといわれる人たちの間でも、いまだに深い愛着を抱かれ、受け入れられているのは、その辺りに理由があるのでしょう。
副題に『Yの悲劇’88』とあるように、作者はクイーンに傾倒し、この作品でも見事な論理的推理を探偵役・江神二郎に披露させます。このロジックは本当によく出来ていて、初読のとき、蒙をひらかれた思いがしました。クイーンのロジックですら、ここまで感動しなかった気がします、などと言うと贔屓の引き倒しかもしれませんが。
しかし江神の推理は、犯人を糾弾する苛烈なものではなく、犯人に対する理解と同情を滲ませ、探偵の悲哀を訴えるようです。のちに描かれる火村助教授のシリーズとの最大の違いは、実はこの、探偵役の立場の相違にあるのではないでしょうか。

『新本格』という言葉ももはや死語に近いですが、この小説を読まなかったら、それらの作品群と私の出会いは、もっと遅かったでしょう。その意味でもこの作品には感謝していますし、何より愛着のあるシリーズです。もう何年も言い続けていることですが、本当に続編が待たれます。

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我が最愛の小説

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三大ミステリーの一つといわれ、戦前から日本推理小説史上に惨然と輝く金字塔『黒死館殺人事件』ですが、この作品を一言でいうと『言葉によるゴシック建築』ということになりましょうか。つまりこの作品は、『黒死館における殺人事件の物語』ではなく、『殺人事件の舞台である黒死館』そのものを描いた小説なのです。すべての事件、魔法書や異端審問会、異様な登場人物達、さらには法水の推理に至るまで、全てはこの壮大な建築物を装飾するためにある、そんな気がします。そう思えば、あのやたらに難解な、口さがなくいえば悪文とも言える文章も、複雑な装飾紋様にも見えるでしょう?
推理小説として見ると、各々の推理が跳躍し過ぎ、というか超絶に過ぎて、ちょっと本格としては読めませんが、乱歩の評に『夥しい素材の羅列』とあるように、随所に探偵的趣味が溢れ、読むものを飽きさせません。さらに、あるいははっきりと、あるいは隠し味的に、ヴァン・ダインへのオマージュが散見され、ヴァン・ダインを読んだことがあるのならニヤリとできるでしょう。また、ゲーテの『ファウスト』を主題としているので、そちらとの関連も面白いはずです。
この一文を読んで、興味を持たれたなら、ぜひ一読をお勧めします。私にとっては『無人島に持っていくならこの一冊』であり、『棺桶に入れて欲しい一冊』でもあります。

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事件

2002/11/01 00:40

推理小説らしくない推理小説

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推理作家協会賞受賞作。実際のところ、確かに法廷ものではありますが、推理的要素は薄い作品です。それでも協会賞が贈られたのは、表面に現われるトリックや論理がなくとも、全体として推理的雰囲気が濃厚なためでしょう。そのうえ小説として面白いのですから、受賞は順当なものだったといえます。

作品のほとんどを占めているのが法廷場面です。作者はやや煩瑣かと思われるようなところまでないがしろにせず、法廷でのやり取り、実際に裁判を行う時に判事や検察官、弁護人がどのように考え、動き、感じるのかを微に入り細にわたって描いています。ややもすれば退屈になりそうなこれらの描写が、この作品においては一番の魅力であり、楽しく読める部分なのです。むろんそこには作者の力量が遺憾なく発揮されているからでもあるのですが、同時に、めったなことでは窺えない法廷の内部の出来事を知る、という好奇心が刺激されるからでもあるのでしょう。「情報小説」という評価があるのも当然です。しかし、それもやはり一面的な評価であって、単に情報を得るための小説ではなく、展開の組み立てかたなど、エンターテインメントに昇華しているところが面白さを感じさせるのだと思います。

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紙の本死角に消えた殺人者

2002/12/26 01:44

天藤の違う面が見られる佳作

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天藤真、というと、『大誘拐』(未読ですが)のイメージが強くて、クレイグ・ライスばりのドタバタコメディ…とまではいかないにしても、コミカルな作風なんだと思っていました。たしかにデヴュー作『陽気な容疑者たち』などはかなりスラップスティックな感じですし、そこまではいかずとも、皮肉さに裏打ちされたようなユーモアが漂う作品が多いです。
ところがこの作品になると、そういった面はすっかり影を潜め、徹頭徹尾シリアスに話が進行します。同時に殺された四人の被害者に一見何のつながりもないことから、それぞれの被害者の生前を探るうちに、肉親も知らなかったような事実が次々に明らかにされていく過程には呵責がないし、犯行動機にも、これまでの作品に見られたようなどこかしら牧歌的なところは微塵もありません。天藤作品をずっと順番に読んできて、それまでユーモア推理小説の作家だとばかり思っていたのが、『皆殺しパーティ』『殺しへの招待』辺りで裏面の皮肉さを強く感じはじめ、「これは違うぞ」と思わされ、この作品にいたって、また違う面を見せられた気がします。
ところで、著者の言葉として、「お読みになったあと、もう一度、プロローグに目を通して下さればありがたい幸せです。ある意味で、作の全部を最初のひと言に込めたつもりでおりますので」とあります。先にこれを読んでいながら、読み終わったあと改めて感心してしまいました。なるほど、これはたしかにその通りで、しかもそれが分かっていても、最後までその本当の意味が分からないところなど素晴らしいの一言に尽きます。実際読んでいただいて、この感触を味わっていただけるとよいかと思います。

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紙の本とむらい機関車

2002/11/01 00:49

夭折惜しまれる作家

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大阪は戦前ほとんど唯一の本格派とは聞いていましたが、半信半疑で読みはじめたところ、ほんとうにガチガチの本格だったので驚いたような次第。いずれも論理主体の緻密な推理が展開されるので、やはり戦前には余り人気がなかったようですが、逆に今人気が高いのも分かる気がします。どの作品にも本格の精髄が見られ、第二次大戦の犠牲となった大阪の夭折が惜しまれます。
島荘ばりの奇想で「そんなのありか!?」と思いつつ妙に納得してしまう「石塀幽霊」や、発端の奇妙な謎が綺麗に収斂していく「とむらい機関車」、理詰めの解決の末、事件の様相が一変してしまう「気狂い機関車」「坑鬼」などは、むしろ現代に置いた方がしっくりくるような先進性を持っているといえます。
気になるのは、どういう影響を受けてこのスタイルを確立したのか、ということ。乱歩は「ドイルを更に論理的にした作風」というような意味のことを言っていますが、現代の作家がクイーンの洗礼を受けてロジックを重視するのとは訳がちがいますし(当時クイーンは人気がなくてほとんど読まれなかったらしいので)、そうすると大阪の論理的なスタイルは、たしかにドイル以来の正統的な流れの上にあるとはいえ、おそらく自力で到達したものなのでしょう。その点だけを見ても、大阪には稀に見る先見性があったと言わざるを得ません。

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紙の本銀座幽霊

2002/11/01 00:47

ルソンに散った本格の雄

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大阪は戦前ほとんど唯一の本格派とは聞いていましたが、半信半疑で読みはじめたところ、ほんとうにガチガチの本格だったので驚いたような次第。いずれも論理主体の緻密な推理が展開されるので、やはり戦前には余り人気がなかったようですが、逆に今人気が高いのも分かる気がします。どの作品にも本格の精髄が見られ、第二次大戦の犠牲となった大阪の夭折が惜しまれます。
心理的な錯誤をついた「銀座幽霊」「寒の夜晴れ」、無気味な謎が解決で見事に収斂される「燈台鬼」、大技トリックに驚かされる「動かぬ鯨群」、ホラーばりの雰囲気でありながら、やはり結末に論理性を持たせた「人間燈台」、意外な解決にあっと驚く「幽霊妻」など、佳編が揃っていますが、私が特に気にいったのは、「大百貨注文者」。冒頭の不可解な謎が解かれたあとの、落ちがきれいにまとまったところが素晴らしいと思います。
古き良き時代の海外探偵小説の読後感と、現代にも通じる論理性を合わせ持った作家─大阪はそういう意味で、他には得難い独自性を持った作家でした。

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紙の本3000年の密室

2002/11/01 00:51

ダイナミックな密室

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

3000年前の縄文人の密室殺人の謎を現代において解こうという、いわゆる歴史推理の範疇に入るこの作品は、その謎の魅力もさることながら、発掘・考古学的考察・様々な論争など、古代に関する興味をかき立てる話題に満ちて、面白い作品です。さらに現代において起きた事件の謎も絡んで、学術的興味を持てない読者にも充分楽しめる作りになっています。
一般に現代において過去の事件を解くタイプの歴史推理は、様々な資料や記録、時には当時のことを知る人たちからの伝聞なども交えて解いていくというパターンが多いのですが、この作品のように、文書などの資料のない時代の謎を解くためには、やはり発掘や科学的分析などに頼ることになるわけで、ともすれば地味な内容になる可能性が大きいのですが、そこを飽きさせないように興味を引き続けた物語の展開の仕方は上手いです。
最後に明かされる密室の謎もダイナミックで驚かされます。現代の事件の方が後味が悪いだけに、この最後の謎解きがよけい鮮やかに見えます。

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紙の本フリークス

2002/12/26 01:25

引きずり込まれる不安感

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中編連作集。「夢魔の手──三一三号室の患者 ──」「四〇九号室の患者」「フリークス ──五六四号室の患者 ──」の3編収録。
「患者」シリーズと名付けられたこの中編集は、その名の通り、K**総合病院精神科の入院患者にまつわる話というつながりをもった連作となっています。
ある長編や、「囁き」シリーズを見れば明らかなように、綾辻には精神的な病に関して執着ともいうべき感心があるようです。それが初めて直接的に表に出たのが、このシリーズだといえるでしょう。そして、ともすれば幻覚や妄想などの夾雑物のおかげで論理だてた推理が成立しなそうな題材に対し、最後にはちゃんと筋道の通った答えが用意されているのは、綾辻の処理のうまさと認めないわけにはいきません。というより、そういった精神病患者の妄想などを逆手にとって、謎をより謎めいたものに仕上げるという手法のおかげで、このシリーズは成り立っているともいえます。
しかし、私自身が精神的に病んでいるのでしょうか、どうしても作品世界に引きずり込まれてしまうおかげで、読むのが辛かったのも事実で、このシリーズ、もし続きが書かれたらどうしようかという不安があります。読まなければいい、と思うかも知れませんが、綾辻の作品を読まずに我慢することなどできそうにありません。

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紙の本淋しい狩人

2002/12/26 01:20

本好きとして共感

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短編連作集。「六月は名ばかりの月」「黙って逝った」「詫びない年月」「うそつき喇叭」「歪んだ鏡」「淋しい狩人」の6編収録。
主人公は古書店の雇われ店主とその孫。彼らの本を大事にする気持ちが伝わってくるのは、本好きとしても共感を覚えます。
そして関わることになる6つの事件。その解決は、関わった人たちに厳しい現実を突き付けるのですが、宮部の文章にくるまれると、それすらも暖かい気持ちにすり変わるところが読んでいて救いになります。
宮部の文章は上手い、とよくいわれますが、その上手さとは、「あってもなくても変わらない、けれどそれがあることによって物語に幅が出る」ようなちょっとした文章・フレーズを、さり気なく挟み込むことで成り立っていると思われます。それとセンテンスの区切りかた、セリフの軽妙さ、そういったひとつひとつへの細やかな気配りが、誰が読んでも面白い小説を作り上げることに役立っているのでしょう。
ところで、総タイトルになっている「淋しい狩人」ですが、これは後の『模倣犯』の原プロットなのでしょうか。『模倣犯』をまだ読んでいないので分かりませんが、何となくそんな気がしたのですが。

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