桜元来さんのレビュー一覧
投稿者:桜元来
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紙の本100まんびきのねこ
2004/10/28 15:00
古典絵本の重み
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
昔話のおなじみのフレーズ、「あるところに」で、お話は始まります。
おじいさんとおばあさんは、さみしいので、ねこを飼うことに、決めます。
おじいさんは、ねこを探しにでかけます。
そして、とうとう、ねこでいっぱいの丘に着きました。
おじいさんは、おばあさんのために、たくさんのねこを連れて帰ります。
が、一匹しか飼えないので、どのねこを、うちに置くか、ねこたちに決め
させようと言うおばあさん。ねこは、自分がいちばんきれいなねこと、
けんかを始め、最後には…。
次々と驚く話の展開は、大変おもしろく、ひきこまれていきます。
が、なんといってもこの本の魅力は、白と黒で描かれた絵です。
絵と文の調和、余白の使い方、見開きページを使った大胆な構成、
場所や時間、動きが流れるように描かれています。(流れる雲と一緒に)
繰り返し、読めば読むほど、味わいのある、読むたびに新しく感じる絵本。
絵本の「古い」は、読み続けられてきたという意味となり、ずっしりとした
重みがあります
紙の本たいせつなこと
2004/06/01 11:14
自分は自分自身でいいんだよ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この絵本を選んだ理由は、本のシンプルなタイトルと
コップの透明さ、りんごの赤色にひかれたからだ。
絵は、カルデコット賞受賞のレナード・ワイスガード、
古くなつかしいセピア色の感じがする。
どちらかと言うと、日本人が好む、おだやかな
落ち着いた色彩である。
なかでも、わたしは、かぜのページが好きだ。
どこからか、強い風が、窓をならす音が、聞こえそうだ。
また、そらのページでは、こんな青い空を何度も
見ることのできる、幸せさえ感じる。
マーガレット・ワイズ・ブラウンの文は
彼女らしい物の見方で、ひとりひとりの読者に
素直に語りかけてくれているのだが、
うちだややこさんのきれいな邦訳は、思わず、
声に出して読みたくなる。
そして、読み終わった後は、自分は自分自身で
いいんだよ、と心がつぶやいている。
今まで、育て、はぐくんでくれたものへの
感謝の気持ちでいっぱいになる。
たいせつなことは何か、いつもの忙しさの中で、
呼吸したくなった時、絵本のいちページ、いちページに
語りかけてみたくなる。
たぶん、これからは、日本のみんなからも、長く
読み続けられていくことだろう。
紙の本パパのカノジョは
2004/11/30 17:41
「前向きに明るく」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
パパのカノジョと女の子の、大人と子どもの関係に、
心温かくなります。
子どもにどう接したら良いかわからないと迷っている大人達も、
大人って?と思っている子ども達にも、
ぜひ読んで欲しい物語。
何でも一生懸命生きている(そのように見えます)
パパのカノジョ、
自分にも本音でぶつかってくれる姿を、だんだん
「カッコいいかも」と尊敬し始める女の子。
大人も、子どもも、素直な心で他人を認め合う。
そんな心の交流が、ページをめくるたびに、
さわやかに描かれています。
「パパだけの家庭でも悪くないじゃない。
こんな経験できるんだもん。
パパのカノジョに会えて良かった。」という女の子の
つぶやきが聞こえてきそうです。
大人の階段を登りはじめた女の子に共感しながら、
大人もいろいろ考えさせられます。
「前向きに明るく」生きる勇気が湧いてきます。
紙の本こすずめのぼうけん
2004/05/26 13:19
こすずめの自分探しの旅
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
はじめて飛び立ったこすずめが、迷子になり自分の居場所をみつけて
飛び続けるという話。訪れたところで自分と相手の関係を確かめては
否定され、また飛び続ける。
わたしたちの日常も、そういうことの繰り返しではないだろうか。
仲間を求めるためには、自分から問いかけつづけなければならない。
「あなたは、わたしを受け入れてくれますか。」
相手から否定されつづけても、問いかけずにはいられない。
さて、こすずめの居場所はみつかったのでしょうか。
ラストシーンとことばが胸をうつ一冊です。
紙の本となりのせきのますだくん
2004/09/06 10:50
教室という原点
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
なにをやっても出来ないみほちゃんと、そんなみほちゃんが気になりながら
いじめてしまうますだくん。
みほちゃんにとって、ますだくんは怪獣のような存在です。
あることがきっかけで、みほちゃんはますだくんに反撃します。
びっくりしてまう、ますだくん。
みほちゃんの心にも、ますだくんの心にも共感でき、笑いとちょっぴり泣けてくるお話は、ずっと忘れてしまっていた心のドアをノックしてくれるようです。
教室というせまい、でも子供にとっては、初めての大きな社会。
他人とのふれあいや葛藤も、ここから始まったんだなぁと思います。
他人とのつきあい方、自己認識、様々な社会性を学習するところ。
現役子供も、卒業してしまった大人も、教室という原点にもどって、
もう一度他人と自分のあり方、考えてみたいですね。
2004/08/22 23:27
まっすぐ進むのは難しい!!
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おばあちゃんからのお誘いの電話で、ひとりでおばあちゃんの家へでかける
ことになったぼく。
おばあちゃんの家へ着くために守ることは、「まっすぐまっすぐ行くこと」
おばあちゃんとの約束を守るだけでなく、ぼくは途中でおばあちゃんへの
お土産をみつけるということもやってのけ、川や山(子供にとっては大きな
もの、でも大人にとっては小さなものかも)を乗り越えるという冒険も経験。
“まっすぐ”に向かって、ぼくは迷うことなく進み続けます。
最後には、どうしておばあちゃんがぼくにお誘いの電話をかけたのかという
謎が解けるという、物語はこうあるべきというお手本のような、流れるよう
なお話です。
“まっすぐ”進むということは、思ったより難しいと思っている大人だから
こそ、ぼくのひたむきさにひかれる人は、多いのではないでしょうか。
紙の本オリビア
2004/08/14 01:21
オリビアを読んで元気になろう
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アメリカ生まれのかわいい子ブタの女の子、オリビア。
オリビアは、ちょっと生意気で、好奇心旺盛。
いつまでも変わらない子供の本質と現代ッ子気質を兼ね備えています。
自分もくたくたになるぐらい、周りの人もくたくたにします。
子供ってほんとうに大人には考えられない様な行動をします。
オリビアはその子供の中の子供。
創造力と行動力、しなやかな心と体、そしてユーモア。
規制にとらわれて生きている大人達には真似できないですが、
この絵本を読むと、オリビアと一緒になって心が開放される感じです。
そしていつの間にか、オリビアは憎めないあなたのアイドルになっている
ことでしょう。
お仕事、子育て、その他もろもろのしがらみに振り回されて、くたくたに
なってしまっている大人達、オリビアを読んで元気な心を取り戻しましょう。
紙の本ペレのあたらしいふく
2004/06/28 16:34
新しい青は希望の色
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絵本の舞台は、スウェーデンの田園地帯です。
ペレは大きくなり、飼っていたひつじの毛は長くなりました。
ペレは羊の毛を刈って、自分の新しい服を作ることにしました。
この絵本には特別な事件が起こるわけでもなく、たんたんと物語は
すすめられていきます。羊の毛は糸になり、布になり、染められ
服に裁縫されていきます。服は手仕事で完成していき、ペレは代わりに
自分のできる手伝いをします。服ができるということは、ペレの幼児から
少年への成長の過程を表しています。
出来た服はきれいな新しい青、大きくなったペレにぴったりです。
その横で毛のはえた羊も笑っています。
そのラストページは、ペレの少年としての、これからの新しい生活への
期待がこめられています。そして小さい子は、うらやましそうに
ペレを見ています。
やがて、その子たちもペレと同じように、新しい服とともに
成長していくことでしょう。それは、確かな輪となり、未来にずっと
続いていきます。
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