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    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

えどがりさんのレビュー一覧

投稿者:えどがり

8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本檻の外

2009/09/18 16:25

じわっと広がる温かい気持ちと、抜け殻になるような焦燥感、今は両方があるけれど、時間が経つとどちらがより濃く残るのだろう

14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

一気に読み、読み終わった後、しばし呆然と放心状態になった。
心の中にいろんなものが残った気もするし、空っぽになってしまった気もする。

冤罪だが最高裁まで戦ったため実刑判決を受けてしまった堂野と、親の愛情をまったく受けず、閉じ込められた部屋の中で時々窓から投げ込まれるものを食べ、言葉も忘れてしまうくらいの孤独の中で育ち、母親に唆されて殺人罪で服役中の喜多川。
二人の出会いと特殊な環境での特殊なふれあいを描いた「箱の中」の続編。


堂野が出所してから六年。
喜多川が「ずっと探していた」と堂野の前に現れるが、すでに堂野は結婚し、可愛い娘が居た。

そんなカバー裏のあらすじを見たとき、怖いと思った。
さすがに喜多川が妻子に対して何かするのではとは思わなかったけれど、前作であれだけ堂野に固執した喜多川だから、妻子があろうが人目があろうが箱の中と同じように堂野を追い回してしまうのではと。これ以上二人にも周りの人にも傷ついて欲しくないのにと。
けれど、違った。

喜多川の姿は、年月が経って変わったようにも見えた。
けれど、その変化の後の姿はやはり、あまりにも喜多川らしい。
30歳近くも歳の離れた堂野の娘と結婚すれば一生傍に居られるだろうかとか、もし二人目の子供を作るのなら堂野の子供として生まれ変わるためにすぐ死ぬから教えて欲しいとか。
箱の中に居たときとは違って、喜多川は誰にも、堂野にも迷惑をかけていないし無理やり手に入れようともしない。ただ気持ちを素直に伝えるだけだ。追い詰めるつもりでもなく、ただ純粋に、堂野の傍に居られる方法を思いついて嬉しいだけだ。
喜多川の成長は嬉しかったけれど、成長したのは社会的な部分であって、心ではない気がした。
そういうの、教えてくれる人にも恵まれなかったのだろうと思うから、また切ない。


人って、「強い人」とか「弱い人」が居るわけじゃなく、状況やコンディションやタイミングで強くなったり弱くなったりするんだ……と、改めて感じた。
欲しいと思う気持ちや、誰かに何かを求める気持ち、ちょっとした身勝手さ、そういうのが全部ごちゃ混ぜになっているのが人間だと思う。
何かしら他人に依存する部分があるって、その時余裕のある人がその時凹んでいる人を支えてあげて、お互いに補い合っているのが人だと思う。

だからこそ、何にも揺らがない喜多川の想いがとても綺麗に見えたし、同時にとても痛々しくも見えた。

なにも手にしてこなかった喜多川の夢はあまりにもささやかで、そんなささやかな幸せ以外は何も要らないと言ってしまえるのは、「その夢は誰もが望むものだ」ということを喜多川が知らないからだ。
純粋にも見えるし本人にはとっておきの幸せなんだろうけど、沢山の欲を知っている私の目から見ると、あまりにもささやか過ぎてとても悲しい。

「こんなにやさしくされたら図に乗って取り返しの付かない我侭を言いそうだ」と前置きして「死ぬまで一緒に居れるなら、一生(食事は)キャットフードで良い」と、さも幸せそうに、嬉しそうに言う。堂野が飼い猫を優しく撫で、嬉しそうに餌を与えるから。
媚びるでもなく、自分を卑下しているわけでもなく、子供のような純真さで、幸せそうにそう言うのだ。もちろん、冗談でもない。だからこそ、その生い立ちが切ない。


少なくとも、喜多川のささやかな夢だった「家があって、庭があって、あんた(堂野)が居て、犬が居る」だけは叶った。
「だけ」と思うけど、それがすべてなのかもしれないとも思う。

喜多川は多分、堂野を信じているわけではない。もちろん信じていないという意味ではなくて、信じるということが何かを知らないだけだ。
ただ、「傍に居たい、傍に居ないときは気持ちが変になる。なんでか知らないけど泣きたくなる」と、理由も分からない感情を子供のように持て余して、それを解消してくれるのが堂野だけだということしか分からないのだ。
子供の頃は閉じ込められ、大人になれば刑務所に入れられた喜多川にとっては、人と関わりあいながら学んでいく感情を育む環境がなかったのだから、仕方がない。
願わくば、二人きりの世界に閉じこもらず、堂野がいろんな感情を分け与えていってくれたらいい……と、祈るような気持ちで表題作を読み終えた。


作品自体もちゃんと幕引きがあったけれど、書下ろしを読んで、ようやく安心し、そしてどっと疲れた。
良くぞココまで描ききってくれた!と、木原さんの想いにも胸打たれた。
堂野の子供の目線から、二人の老年までを見つめ続けたお話で、羅川真里茂さんの『ニューヨーク・ニューヨーク』に通ずるものがあった。
子供と同じ目線で、その後の二人の暮らしを垣間見、想いを想像し、幸せな気持ちになり、胸を痛め、羨ましく思う。
これは決して「BL」と一言でくくってしまう訳にはいかない作品だと思う。
人間の綺麗な部分、汚い部分、綺麗なものを綺麗と思う気持ち、ズルイ気持ち、色んな側面を、ひとつとして取りこぼすことなくさらけ出す、そんな作品だった。


あれもこれもと色んな欲を知っていて、手に入れたり諦めたりしながら上手に付き合う人生と、ただひとつだけに固執し全感情を注ぐ人生、どっちが幸せなんだろう。
……そういう感想は、読み終えて数日たって、ようやく思い浮かんだ。
しばらくは、見せ付けられた喜多川圭という男の、壮絶な人生をだけが焼きついていた。
壮絶だと感じたけれど、喜多川にとってはそうでなかったのかもしれない。
ただ淡々と寂しい時間が続き、欲するものを見つけ、追いかけ、手に入れ、添い遂げた、それだけの、静かな人生だったのかもしれない。分からない。

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紙の本交渉人は振り返る

2009/08/24 11:57

信じると言うこと、信じたいと願うこと。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


元検事で元弁護士という経歴を持つ交渉人の芽吹と、高校の後輩で現在ヤクザの兵頭
が織り成す、交渉人シリーズの3作目です。
BLというカテゴリを越えて、いろいろ考えさせられる作品でした。


今回は、芽吹の過去が絡んできます。
弁護士時代関わった事件の被告の青年。
弁護士として勝ったはずなのに、その後の被告や家族にとっては辛い現実がひたすら
続いていてちっとも終わりじゃなかった事件。
詐欺グループに属し、ドラッグに手を出し、すっかり堕落してしまった元被告の青年に
再会し、事件後の彼の家族がどんな生活を強いられたのかを知ります。
芽吹にとっては勝って終わったはず事件なのにこんな風に姿を変えていたと言う事実が、
今回の芽吹の心に重くのしかかります。

他にも決定的に芽吹を変えた事件があり、そのトラウマのようなものがチラチラ見える
のですが、それについては詳しくは描かれず、先に続きそうです。
続きそうですが、芽吹の心の傷はちっとも癒えることなく残っていて、トラウマとなった
事件の出来事がフラッシュバックします。
(どうも、弁護する被告か被害者かを信じきれず、その相手が死んでしまったようです?)

…なにがあったんだ!!! と、気になって仕方がない!


ともかく、そういった過去を、すべて自分の弱さのせいだと思う芽吹は、苦しいくらい
頑なに「信じる」ということを貫こうとします。
どう見ても嘘くさい相手、胡散臭い、バックがヤバイ、そもそも立場的にヤバイ。

なのに、どれだけ誰に何を言われようと「信じる」と言うことに固執するのは、
芽吹にとってそれが過去への清算であり、懺悔であり、強くなりたいという切実な願い
だからです。
「人は変われる」と信じるのではなく、「変わりたいと思う人を信じる」というのは
真理だなと思いました。

そして、「信じている」と思うことは「信じたいと思っている」ということだ。
という言葉に、ドキリとしました。
本当に信じていたら、「信じてる」なんて思わない、無意識なんですよね。
そして、「信じたい」と思っているということは、本当は「信じていない」ということ
なのかもしれない。
信じていない自分を諦め切れなくて、「信じている」と自己暗示をかけている。

それが良いことか悪いことか、と問われたら、私は良いことなんじゃないかと思います。
自己暗示でもなんでも、本当に信じようとするならその時点で真実になるんだと思うし、
その姿が相手の目に「信じてもらっている」と映るなら、救いになると思うんだけど。

それは偽善になるのかな?
けど、だったら最初から「信じてなんかあげない」と言っちゃう方が良いとはやっぱり
言いたくない。

とても難しく、デリケートなテーマだと思いました。
人間は神様じゃないから、いろんなこと考えるし、打算もあるし。
けど、だからこそ、間違いを正そうと足掻くことも出来ます。
その姿は全然美しくないけど、素敵だなと思います。



この作品の中で恋愛要素はボチボチと亀の歩みなのですが、それでもゆっくりな中で
ちょっとずつ歩み寄ったり確かめ合ったりという過程が丁寧に描かれています。

お互いの過去には興味がない、どんな過去があったって関係ない。
そんな風に伝え合い、決して踏み込まない二人は、恋愛関係の線引きも微妙です。
芽吹はまだ、兵頭を好きではないんですよね。
「ヤクザは嫌い。だけど兵頭は嫌いじゃない」が今の兵頭のポジション。

これからお互いの過去が明らかになっていく中で、お互いの存在がどんどんなくては
ならないものになっていくのは必至です。

とても続きが楽しみなシリーズです。
まずは1作目から続けて読むことをオススメします。


ちなみに…。
私は芽吹の事務所のアルバイト、キヨがとてもツボです。
背が高く、はっとする美形。人見知りで無口、でも人のこと凄く良く見てる。
なぜか裏社会にめちゃめちゃ詳しくて、人脈と情報網が広い。そして喧嘩強い。

キヨの過去がめちゃめちゃ気になります!

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紙の本君にもわかるISO

2009/07/15 17:12

切磋琢磨しながら前に進む関係は理想です!

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この許可証シリーズは、文句無く面白いです!
どのお話も、一読の価値あり!
二人の関係が、とにかく良いのです。


同じ職場にいながら、弘は品証のホープ、前原は製造の若頭、と立場が違います。
それぞれの立場で、それぞれの矜持があり、譲れない部分を守りながら、相手を受け入れる。
普通の同僚としてなら許せることに引っかかりを覚えたり、逆にただの同僚じゃないからこそ分かり合えたり。
近くにいるから劣等感を感じて凹んだりもするし、逆に近くにいるからこそただの同僚だったら気づけなかったことに気づけて、今まで以上に尊敬できたり励まされたりもする。
立場が違っても、「会社を支えたい」という気持ちや目的とする方向が同じだから一緒に歩いて行けるし、何よりも互いを想う気持ちがあるから、めげそうになってもちゃんと立ち上がれるのです。

この二人のすごいところは、お互い「ただの同僚だったら言わないこと」は恋人同士とはいえ言わないし、「同僚だったら言うべきこと」は恋人との関係を考える前に言うところです。
「体壊すから残業やめろ」なんて、いくら心配でも絶対に言わないし、報告順序をすっとばして上司より先に恋人に知らせたりもしないし、「すぐやらないのは逃げてることと一緒だ」なんて怒鳴りあったりもします。


恋人同士でも仕事では一切妥協しません。
製造部から非難を受けるとわかっている提案でも、会社のためだと思えば断行するし、恋人が考えに考えた案だとわかっていても、無理なものは無理と突っぱねます。
そこに一切「恋人同士」の馴れ合いが無いのです。

けど、馴れ合いはなくても、思いやりがあります。
前原たち製造の中のルールを決してないがしろにしない方法を模索したり、弘の案は却下したけど別の方法でフォローしようとしたり。
その「馴れ合わない思いやり」のバランスが、絶妙なのです。

お互いに「負けたくない」とか「置いて行かれたくない」とか思っていて、結果お互いに「勝てない」「負けた」と思いながら、切磋琢磨する姿がとても好ましいです。


この二人の関係は仕事抜きでは絶対語れなくて、恋愛を絡めずただお互いを高めあっていく男たちの話でも良いんじゃないか…と見えるかもしれませんが、それは絶対違うのです。

ただの同僚だったら「負けた、悔しい、次は負けない!」で終わる話ですが、相手が恋人だからこそ、「負けた、悔しい」の後に、自分が敵わなかった相手への尊敬と恋人を誇らしく思う気持ちが生まれるのす。

本の帯にあった「前原という男に感動するんです」という弘の台詞が、このお話の全体をすごく表わしていると思いました。


理想のカップルでもあり、理想の同僚でもあり、理想の仲間でもあることが、読んでいてもとても気持ちいいです。
だからいつも、読んだ後とってもスッキリ清々しい気分になれます。

騒がしい脇キャラたちもとても魅力的で、シリーズが進むごとに培われていく人間関係や仕事のスキルなど、とても自然に人の成長を見ることが出来ます。
是非一作目から読んで欲しいオススメの一冊です!

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紙の本何でやねん! 2

2009/08/06 17:32

お笑い芸人さんを見る目が変わります!

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「なんでやねん!2」…というからには、もちろん「なんでやねん!1」があるわけですが。
このお話だけでも充分楽しめますし、私はもういっそ、どっちを先に読んでも良いんじゃないかと思います。
順序通り 1→2 と読んでもいいですが、 2→1→2 と読んでもきっと面白い。
どっちを先に読んでも、必ず二冊目を読み終わった後もう一度一冊目を手にしてしまうこと請け合いです!

主人公は若い漫才師の土屋と相川です。
1は高校生の二人が知り合い、コンビを組み、夢に向かって進路を決めるまでの話(ざっくり要約しすぎですが…)。
そして2は、二人が芸能界で売れっ子お笑いコンビとして活躍しているところから始まります。
もちろん順風満帆だったわけではなく、つらく苦しい下積み時代があったようですが、その辺はさらりと。

で、2で二人が迎える新たな試練が、二人の関係を大きく変えます。
この「試練」の発端が、実は1で乗り越えた相川のトラウマなのですが、1の最後に二人が交わした「約束」が、再び確かめ合うことで今まで以上に大切な意味を持ちます。
やっぱり最後に相川を救うのは土屋をはじめとする相川を大切に思う人たちです。
このお話で相川や土屋がたくさんの人に支えられているのは、それだけたくさんの人を大切にしているから、というのがヒシヒシと伝わってくるのです。

なんでやねん!1を読み終えたときには、これが二人の関係の完成形だと思っていましたが、2を読めばもっと深くなって。
このさきもこの二人はドンドン進化していくんだろうなぁ…と感じることが出来ました。

どっちかというと仕事にも恋にも行き詰ったお話だし、テーマも決して軽くないのに、何故だかスカッと爽快です。
若い日の二人をを知ってるからかな?


それにしても……久我さんは、ホントこういうテンポの良いお話がお上手です。
本を開いて最初の数行で、もう一気に作品に引き込まれ、後は止めどころもわからないまま最後まで一気に読んでしまいます。
軽いけど軽くない。重いけど重くない。
後にじわりのあったかいものの残るお話ばかりで、この方の作品は本当にいつも大好きなのですが、この「なんでやねん!」こそ久我さんの真骨頂!という気がしました。


それから、これはまったくの余談ですが、この二人はこの後、芸能界の中でカリスマ的で絶対的な立場を確立します。
この後の久我さんのお話で「月も星もない」というお話と「月よ笑ってくれ」というお話があり、どちらも芸人を夢見る若者のお話なのですが、この中で、芸能界に圧倒的な存在感で君臨する40歳前の土屋と相川の姿を見ることが出来ます。
事務所の先輩ということでちょいちょいゲスト出演(笑)するのですが、若手にも温かく、いろんな人に慕われ、決して偉ぶらず、そして馬鹿みたいにラブラブ…な姿が描かれています。
「なんでやねん!」を読んでいると、「あんな風にお互いや周りを大切にしていた二人だから、今がこうなんだな…」と感慨深くなります。
続けて読むことをオススメします!

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紙の本オールトの雲

2009/06/23 15:56

幼馴染に癒されます

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

とにかくあったか~くなれるお話です。

ハーフで綺麗で、そのため子供の頃からからかわれてきた流星と、流星をずっと傍で見守ってきた太陽。
そんな風にずっと寄り添ってきた二人が惹かれあうのはとても自然なことで、友情が曖昧な感情に変わって、やがてじんわりと恋愛に発展していく様子にとても素直に感情移入できます。

「想いを確かめ合ってようやく結ばれる時」=「別れの時」なのですが、離れ離れになることに対する寂しさや不安よりも、相手を想い背中を押してあげたいという気持ちのほうがずっと強くて、そんな距離感や信頼関係は、やはり子供の頃から想いを育んできた幼馴染ならではだなぁ…と感じます。

タイトルが綺麗で壮大ですが、情景描写が繊細で、タイトルでイメージした通りの美しさや綺麗さが伝わってきます。
また、木下さんの柔らかい挿絵もとてもお話の雰囲気に合っていて、文章、挿絵、表紙、すべてがタイトルの持つ綺麗なイメージに繋がっています。

柔らかい気持ちになれる、素敵な作品です。

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紙の本雪よ林檎の香のごとく

2009/06/11 15:36

言葉も雰囲気も綺麗です

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

胸がきゅ~っとなるお話でした。
全体的にしっとりとした印象のお話で、けれど会話はテンポが良くて、グイグイ引っ張られます。

桂に対して冒頭の「何を考えているかわからない教師」の印象を持ったまま授業の場面へ移るのですが、初めて桂という教師の魅力を感じるエピソードが登場する絶妙なタイミングでとても綺麗な挿絵が描かれていて、さらに桂の魅力をインプットされました。
このあと読み手も、志緒と一緒に桂の魅力に引き込まれていくのです。

志緒の幼馴染の女の子りかもとても魅力的で、志緒とりかが抱き合って泣くシーンは二人の性別を超えた絆が見えて感動的です。
りかに対する志緒が凛々しくてぶっきらぼうな普通の男の子なのも、桂と居るときとのギャップがあってドキドキします。

紆余曲折あって展開もめまぐるしいはずなのですが、なんだかゆっくりと時間が流れているようで、優しい作品です。

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紙の本夜空に咲く恋

2009/08/04 13:44

棋士という職業に興味を持ちました!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

前半は四冠のプロ棋士・不動と、サラリーマンの渉の、すれ違いっぷりが見事でした。

まず二人が仲良くなるきっかけだった中学時代のエピソードが、とても微笑ましいんです。
将棋のことなんて全然知らない真面目な委員長の渉は、本当にビックリするくらい将棋に無知で、詰め将棋で「詰んでみろ」と言われれば、駒の上に別の駒を積むような大物です。
そんな渉の将棋への無関心ぶりとボケっぷりが、中学生でプロ棋士になった勝負師・不動の琴線に触れ、不動は渉に将棋のことを勉強したり対局の結果を見たりすることを禁じ、「癒しグッズだ」と言って傍に置きます。

不動の20歳の誕生日に体の関係を持つ二人ですが、その後も二人が抱き合うのはいつも闇の中で、行為も無言です。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、暗闇をつくり声を殺して抱かれる渉にはちゃんと渉なりの理由があり、それが決定的に不動の想いとズレていることに、実に5年も気づきません。
ホントはすっごく大切にされているし、渉目線で描かれるお話の中でも読者にはちゃんと不動の本音がわかるから、「あーもう、渉の馬鹿、そういう意味じゃないんだよ!すっごい愛されてるじゃないか!」とヤキモキします。
けれどお話が卑屈にも湿っぽくもならないのは、渉がとても天然で素直で可愛い奴だからです。

不動はもう、この人どんだけ!ってくらい俺様なのですが、こと渉に関してはすごく温かく一途です。
そして、本当にわかりやすい!
逆に渉が鈍感すぎて不動が可哀想な気がしてくるくらい独占欲丸出しで、よくよく考えると不動のほうが可愛い奴なのかも…という気すらしてきます(笑)
かと思えば将棋に対する姿勢は厳しく、狂気の淵ギリギリを行ったり来たりしていて、まさに勝負師!という感じ。
孤高の天才棋士かと思えば実はものすごく努力をしているということがチラチラ見えるし、周りにもちゃんと不動を慕う人やライバルがいます。
けれど、将棋と渉以外はどうでもいいくらいの俺様。
そのバランスが絶妙なのです。


後半は、将棋から遠ざけられ続けた渉が、今更ながら不動の生きる世界に関わりたいと足掻き、不動とすれ違うという内容なのですが、コレがまた不動がかっこいい!
不動が渉を将棋から遠ざける理由は、全体を通してなんとなく読者も理解しているのですが、不動の言葉で聞くと、渉だけではなく読者も「そこまで大切なことだったんだ」と息を飲みます。

すれ違ってても二人の気持ちがとてもストレートだから、このお話が綺麗なんだと思いました。


個人的な好みで言えば、このお話は三人称で読みたかったですけどね。
けど、そんなの全然関係ないくらい素敵なお話でした。


ただ、残念だったのは、本の装丁です。

裏表紙のあらすじには、「不動は渉を暗闇でしか抱かない」という風に書いてあるのですが、実際闇を作るのはいつだって渉のほうで、これがもし不動だったなら、このお話はまったく意味の違うお話になってしまいます。
素敵さ半減どころか、素敵さ激減です。

中の扉絵も。
あんなに素敵なシーンがたくさんあるのに、なんでココを描くかな…というセレクトです。

それから帯の煽り文が、ちょっと。
煽り文を見ると、このお話がとても閉鎖的で刹那的で、愛欲に溺れている感じのお話だって印象なのですが、これは内容と全然違います。
イラストが山田ユギさんとどちらのお話も描かれる方ですから、余計に「そういう感じのお話なのか」と納得してしまいます。

私は通販で買ったのですが、手元に来た本を見て、正直「失敗したかな」と思いました。
本屋さんで手に取ったら絶対に買わなかった一冊だと思います(山田ユギさんに釣られて買ったかもしれませんが)。
私のようにストーリーありきで後味の良いお話を好む方はまず買わないと思うし、逆に刹那的な愛憎劇が好きで手に取った方には物足りない一冊だと思います。
素敵なお話なのに、双方にとってもったいないです。
全部を通して一貫してそのようなので、おそらく意図的にそういう装丁になさっているのだと思います。
確かに、普通なら手に取らない層の方の目に触れる機会は増えますが、逆にストライクゾーンの層は敬遠するんじゃないかな……。
どちらが良いとか、どちらの作戦が売れるのかとか、そういうのはわかりませんが、私としては残念に思いました。


お話&挿絵は文句なしです!
「勝敗以外にある将棋の機微」というものに、個人的にものすごく興味がわき、将棋や棋士をもっと知りたいと思いました。

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紙の本家賃

2009/07/08 13:10

不器用な子供と振り回される大人の意地の張り合いです!

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表紙裏のあらすじで「先生の家に転がり込んできた元アイドルの元生徒」という設定を見たときは、私には現実味を感じられない話かも…と若干二の足を踏んでしまい、しばらく開かずにいたのですが…。
さっさと読めば良かった!!!と思いました。

内容は大人と子供の意地の張り合いです!

好きだと知れたあと放り出されるのが切ないから、どうせいつか放り出されるなら嫌われてから叩き出される方が良い!と、無理して傍若無人に振舞うお子様・和哉と、この子供に惚れているとなかなか認められなくて「教師だから仕方なく」とか「脅されて仕方なく」とか自分に言い訳しつつ世話を焼く大人・遼。

ずっと遼目線で語られる中で、どう見てもこの和哉は傍若無人で可愛げがなくて、読みながらこっちまでムッとしてしまうのですが、和哉の本音がチラリと見えた瞬間に思いがけなく「可愛いじゃん」と思ってしまいます。
遼と一緒に、読み手も思わず陥落です(笑)

書き下ろしは逆に和哉目線でお話が進み、和哉がどんな風に遼のことを想っているのかを知ることができると同時に、人生に投げやりだった和哉がちゃんと人との関わりを持ちはじめていることに、ほっと心が温まります。
それにしても…、「和哉の目に、遼はこんなにかっこ良く映っているのか!!!」と思うほど、とにかく遼がかっこ良いです。

ただ残念なのが、エッチシーン。
この方のお話には、多少言い回しの違いこそありますが
受「俺ばっかり気持ち良いのは嫌だ」
攻「お前が気持ち良よさそうな顔を見ると、俺も気持ち良いんだよ」
という会話が、かなりの高確率で出てきます。
このお話もご他聞に漏れず。(表現は「気持ち良い」ではなく「めろめろになる」でしたが)
月村さんにとってはよっぽどお好きなシチュエーションなんでしょうが、読むほうとしては「またか」とガックリしてしまいます。
なんか、どんな素敵なストーリーもどんなドキドキの展開も、結局全部そこに行き着くのか。という感じがして残念です。
ただまあ、もしこのお話がはじめて読む月村作品だったなら、きっとなんのわだかまりもなく大好きでした!

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