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H2Aさんのレビュー一覧

投稿者:H2A

470 件中 61 件~ 75 件を表示

紙の本

紙の本千一夜物語 完訳 改版 1

2022/11/30 20:42

物語の宝庫

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シェエラザードは物凄い物語の化身で次々に物語が紡ぎ出す。彼女の語る物語の中の登場人物がさらに語る幾重もの入れ子構造で迷宮のよう。途中に謳われる数々の詩文も当時の風俗も豪奢で味わい深い。爛熟した中世アラブ世界にベル・エポックのフランス風の(原文に忠実な)脚色が加わって最高の読み物。1巻の24夜までだけでも満腹だが、これが最後まで続くとすれば大変なことかも。買っておいてよかった。

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紙の本

「倫理」を問う

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メタ倫理学、それどころか倫理学についてもほぼ知らない読者を念頭に書いたというだけあって、この著者の著述はとても丁寧。難しい用語をちりばめて満足したりせず、努めて平易な語りが心地よく、しかも見通しが良い。この興味深い内容といい、「倫理の問題」への最良の導き手となっている。巻末の文献案内も重宝しそうで指南役にもなってくれそうだ。良書

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紙の本

思春期の実相

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小学校、中学校の頃の記憶なんて脳内で理想化されて淡くほのぼのしたものに変貌しているような気がするが、この小説では世界を生々しく痛々しく描いているのにはっとする。大人がそこに抱くだろう郷愁も吹き飛ばし苦いものにする。当時は「スクールカースト」などという仰々しい言葉はなかったし、クラス内での階級なんて意識もしなかったが、ああした日常的なつば競り合いは確かにあった。自意識の地獄に辿り着く前の、煉獄の状態がそこにあって幸福などではなかった。そこを突きつけて作者は読み手には「しょせんは子どもの話だ」と侮ることを許さない。まだ未熟な性への意識、疼きも鮮明に書いているので、読み手は居心地の悪さを感じるはず。それにある意味で閉ざされた、都心から少し離れた箱庭のような白いニュータウンが少女たちの成長(性徴)とも重なり合って印象的。人間は猿山の猿たちのように、ごく幼い頃から内に秘めた衝動に突き動かされて争い、救い難く蠢いているのだ。

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紙の本

バブル期の傑作

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映画を観てから読む気になった長篇漫画。映画版が意外なほど忠実にこの原作をなぞって、一方で巧みにアレンジしていたことがわかる。原作の方は1989年というからバブル全盛期の作品。当時の生活風景を写しているので古めいて感じる部分も確かにあるが、この作品はそれにとどまらない今でも驚くような新鮮さがあってとてもおもしろい。

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紙の本

異色の青春小説

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高校生活を描いた小説で背の高い髪を染めた音楽好きのアザミが主人公。成績も振るわず音楽をただただ聴くのが好きなアザミ。その親友のチユキ。大学進学を目指して周りが受験勉強するのに勉強もせずアザミは音楽を聴くだけ。恋愛にも興味がない。冴えないのだが、こうした日常のディティールが積み重なっていく。でも意図的にドラマになりそうな題材を避けているようにさえ見えるのに、何気ない部分で妙に感動させられる。上手い。

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紙の本

紙の本ひらいて

2021/11/06 20:46

映画の原作

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映画を観た後で読んだ。高校生活という舞台設定についてくるキラキラしたイメージは早々に裏切られる。主人公の愛の視点で物語るので綿矢りさらしいユニークで痛い言葉の数々が健在で、恋愛が思いもよらぬ方向に進展していく。作者に抱いていたどこか上品そうなイメージは吹き飛ぶような踏み込んだ内容。愛という主人公の行動や心理がエキセントリック過ぎて共感できない向きもあるだろうが、そんな自己中心そのもので他人を顧みない行為の中にも好きな相手を振り向かせたいという切実さはある。物語の最後に、愛が美雪にかける言葉とは裏腹に物語では愛の恋の行方はどこにも落ち着きようもないところで結末を迎える。言葉の力がある分こちらの原作の方が映画よりも少し上のような気もするが、映画の2人のヒロインの演技も熱演で(特に愛役の女優の目力が強いので)映像の方も原作の世界と拮抗している。

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電子書籍

人間は地球を食い尽くすだろう

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好著。題名からは想像もつかない多彩な深い内容。砂を使ってコンクリートを作ることが文明の思わぬ発展の礎になり、ビルや高速道路網を生み出した。さらに透明なガラスの材料にもなり科学の発達に大きく寄与した。シリコンチップやウェハーの重要な原材料にもなって情報社会の基礎もささえ、ごく最近では頁岩層からのシエールガス採掘のためのフラッキングに用いらて資源採掘にも寄与している。なんとなく知っていたこともあるけれど、そう指摘されると自分たちの足下にそんな多くのことに使えるものがあったとは気づかなかった。そして、地球で最もありふれたものである砂が、乱獲に近い急激な成長のために大量に消費され、近い将来枯渇するかもしれないという事実。砂をめぐって利権争いや殺人まで起こっているということ。これは稀少な鉱物資源のようで驚いた。必然的に環境にも甚大な影響を与えている。それに対する解決策として技術は少し役には立つ程度と著者は述べる。採掘者を責めるというありがちなところにも行き着かないところに好感を持った。
 ノンフィクションとして秀逸。

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紙の本

紙の本人間の文学 8 ゆらめく炎

2021/10/02 16:55

映画の原作

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ルイ・マルの『鬼火』の原作。麻薬依存で人生を踏み外した30歳のアラン。リディア、ドロシーとの自暴自棄な恋愛と結婚に傷つき、療養施設を抜け出したアランが自殺するまでを描いた長編。デュブールというエジプト学者、阿片まみれのプラリーヌ、作家ユルセル、友人に囲まれ遺産で社交的に暮らすソランジュとシリルのラヴォー夫妻。無職のミルーというかつての仲間。彼らを次々に訪れては繰り返される空しい議論、すれ違い、誤解、友人たちは彼を(上辺だけでも)気遣っているが、アランは結局自らを追い詰めていかずにいられない。戦間期という「時代」に固執し続けた作者の閉塞感の充満した深刻な一編。

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紙の本

紙の本グライフェン湖の代官

2021/08/22 09:57

枠物語

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中年独身の代官ランドルトが、かつて出会った恋人たちを自宅に招いてある提案をもちかけるという話。そこにカワラヒワ、道化師、つぐみ、うぐいす、大尉、と代官がひそかに名付けた女性たちとの出会いと別れが連作短編のように織り込まれる。短いが腕を揮ったエピソードたちは読後もじんわりとする。ケラーはリアリストでありながらユーモアも忘れない。健全で強い。「その時代のどんな悲惨と圧迫のなかにあっても彼の芸術眼は、熱病の夢のようにめまぐるしく変わる千変万化の光景の上にはっきりと見開かれていた」。名作。

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紙の本

紙の本パルムの僧院 改版 下

2021/08/22 09:44

物語の醍醐味

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下巻に入ると宮廷内の陰謀が激しさを増し、そこで汚されたジーナは復讐を果たす(スタンダールらしいやり方で)。一方でモスカは権謀術数を駆使しながら政争に明け暮れるが、最終的に権力を得て公国に善政を敷く。ファブリスは終盤でようやくクレリアとの想いを遂げるが、パルムの僧院で短い生涯を終えることが明かされて物語は終わる。情景描写もそうだが、作者の文章はひと筆書き。有名な庭園の場面も言葉少なく、イメージ喚起させる。物語った後の人物たちの生き方を語っても実にあっさりしているが、かえって作品世界が現実と対置して際立ってくる気もする。結びの句はふさわしく、この小説が語る対象は「少数の幸せな者たちへ」なのだ。

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紙の本

増補による文庫

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文庫版に寄せて長い後書きが追加されている。英語が他を圧して「普遍語」になる世紀。著者は大変に悲観的な未来を予感している。その徴候はいたる所にあるという。「国語」は「現地語」と化し、叡智を求める者は普遍語で書き読むという言語の二重化。著者は日本近代文学を奇跡として顕揚する一方で、この国ほど自国の文学に価値を置こうとしないものはないと言う。そこに共感できるかどうかはさておいて、著者の指摘の多くは鋭く慄然とさせられることが多く、歴史的な洞察には感心させられる。日本語がGHQによる戦後政策の一環でもう少しでローマ字表記になっていたかもしれないという事実には多くの人が驚くのではないか。イエール大学に学び、ポール・ド・マンや、当時渡米していた柄谷行人に遭っていたという回想もよくあるトリビア程度に見える。文庫にもなったので多くの人に読んでもらいたい名著。この人の小説も読まないと。

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紙の本

濃厚すぎる史劇

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アントニーとクレオパトラ。歴史に名を残す人物たちが織りなす重厚な劇。人物たちの挙動ややりとりが激しく、権謀術数が渦巻いている。アントニーは、ローマ軍との決戦の真っ最中に怖じ気づいた愛人を追って戦線を離脱するような(そのために自軍を総崩れさせてしまう)愚かさもありながら、同時に誇り高く高潔な人物として描かれていて、人物としての器が大きく魅力がある。エジプト女王クレオパトラの高慢な激しい性格のため衝突し、愛なのか憎み合っているのか矛盾をはらんだぶつかり合いは周囲の人物を翻弄し読者を引き込まずにはおかない。そのため終始冷静なシーザーの遠景として存在もかすんでいる。シーザーのマキャベリストぶりもなかなかだと思うが、主役2人の造形が圧巻。正直この濃厚さにかなり疲れる劇だった。

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紙の本

紙の本ハムレット 改版

2021/05/21 08:11

ドラマの中のドラマ

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これこそドラマ。世界観と人物心理の複雑さ、激しさ、矛盾も孕んだスケールの大きさで直近に読んだ『マクベス』を凌駕する。映える台詞も多く鏤められて数ある作品の中でももっともシェイクスピアらしい劇かもしれない。ハムレット本人はおろか、その恋人オフィーリアさえも狂気に陥り自ら命を絶つ。王位簒奪者クローディアス以下ほとんどの人物が呑み込まれていく劇終盤も、世界が崩壊していくカタルシスを感じた。

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紙の本

紙の本音楽の歴史と思想

2021/05/16 01:29

名著

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年代的に近代ドイツ音楽至上の音楽史観をそのまま引きずっている(バッハ以前の音楽を、それ以降の「機能的和声の時代」の音楽とは比較にならぬと述べる)。でもその叙述には魅力があり、例えばラッススの世俗曲やヘンデルのオペラを紹介するくだりは、その文章力もあって惹きつけられずにはいない。多少古くても今でも色褪せない内容。

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電子書籍

電子書籍最愛の子ども

2021/04/04 20:00

わたしたちの家族

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女子高生3人が妻、夫、そして子ども(王子)の「わたしたちの家族」と呼ばれる。目撃者である「わたしたち」が語る「家族」たちの出会いから、それが離ればなれになるまで。百合などと言えばそれまでだが、相変わらずこの言葉の切れ味は健在。形容しづらい居心地悪い揺さぶられた気分になる。お見事。

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