平良 進さんのレビュー一覧
投稿者:平良 進
紙の本天国は、ほんとうにある 天国へ旅して帰ってきた小さな男の子の驚くべき物語
2016/12/07 20:07
牧師の長男の臨死体験?
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冗長な部分もあるものの、それなりに面白く読んだ。天国の描写を見ているとなかなか魅力的だ。私もそういう体験をしてみたく思った。天国では歳をとらないらしい。ほんとにそういうところがあるのならぜひ行ってみたいと思うのだった。
紙の本歯科医は今日も、やりたい放題 被害者にならないための、大切な話
2016/09/03 11:09
歯科医たちの生態を暴く?
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被害者にならないための、大切な話という副題がある。著者は自由診療で開業している。法・厚生労働省と、理想の間で葛藤しながら、よりよい歯科治療はどうあるべきかを模索しているように思える。歯科医は構造不況業種になりつつあるとまで言い切る。しかし文章を読む限り歯科医の在り方を真摯に取り組もうという姿勢が感じられた。
紙の本ルポ認知症ケア最前線
2016/08/24 12:40
全国の様々な実験のありよう
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突然、夫が怒るようになりました。というのは介護にあたっている妻の証言。それは私もわかる気がした。以前はそんなことでというような些細なことで怒るようになった母を思うと、この人は認知症なんだったんだと改めて思うようになりました。
それと、ケアする者に対するケアが重要という指摘は、意外となされていない印象があってこれもまた意義深いものだと思います。
2016/08/19 10:36
マインドマネジメントの薦め
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16分野にわたって著者の識見による脳の活性化の知恵が語られている。たとえ話が上手い人はボケにくいという指摘が一番惹かれた。
啓発本にありがちな精神論はなくて、臨床場面における実践例が多いので科学的かつ具体的で読みやすい。いろんな人が世の中にはいるのでそういうことをきちんと加味して書かれている。私も著者に診断してもらおうかと思った。
少し行き詰まりを感じている人にお勧めしたい。
紙の本分裂から天下統一へ
2016/08/18 14:05
中世日本の東アジアでの覇権
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禁教令のころはキリシタンが50万というから大変な数に上ったものです。現代のように信教の自由があっても一億3000万もの日本人口でもクリスチャンは80万そこらいるかどうかといわれています。その意味で最近の中世研究はさらに精度を深めていることがわかりました。
また秀吉の大陸侵攻で鼻削ぎという残虐なことをしていたことが明らかになっていましたが、これはたいていどの国でも殺戮した国の首をカウントしていたこととパラレルに数えることができるとのことです。ただ、倒した数が多すぎて、首を持ち帰るより鼻をそいだという単に「かさばり」の問題だったという指摘も同書ではされています。しかしそれでも鼻削ぎの残虐性は朝鮮半島の人々に怨念を残したことは否めないことになるでし
ょう。
本書は一連のシリーズですが最新のデータをもとによくまとめられていると感じました。
2016/07/31 11:22
3年以内に革命が起きる?
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日本はまだ自分たちの力で体制権力を変えたことがないといっていい。しかし湯浅氏の告発といい、現実の過酷さは日を追って悲惨なものとなっている。タイトルを3年としてみたが年内にも大きな動きがあってもおかしくないだろう。貧困層はこの国で1000万人を超えたとの指摘もある。安部政治は長く続かない。トリクルダウンなどというおためごかしはもうたくさんだ。庶民は誰が自分たちを搾取しているかを気づき始めている。「一億総活躍」だなんていう放言を信じる者はいない。たたかいはもう始まっているのだ。
2016/07/23 16:52
歴史教科書ほど論争にならない盲点
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いい宗教教科書を作るに際して、慢性的に不況な出版業界の問題が教科書出版社にも否定できないとの指摘は重要だ。政治家がおのが偏見をむき出しにして言いたいだけのことは言うが、実際に奔走する編集者や学者たちの苦労がどのくらい理解されているであろうか。
また、宗教がどういうわけか紛争や殺人などに結びついてしまう実情について、それを扱う地理科などと宗教科などとの連携がきちんとできていないなどの貴重な指摘もある。宗教学が専攻の著者ならではの視点であろう。
著者は最後に、価値中立ではなくて価値自由という認識が広く共有されてしかるべきではないかと述べている。必要とされている洞察ではないだろうか。宗教や哲学あるいは倫理は歴史教科書論争ほどは議論されているとはいいがたい。貴重な提言と受け止めた。
紙の本現代たべもの事情
2016/07/20 04:44
日本人の食生活の移り変わり
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1995年と少しデータが古いが、世界の食糧メーカーなどが途上国などを席巻していく様子なども丁寧に説明している。主に日本人が加工食品を多用するようになったことなどを書き口説いている。
マクドナルドと学校給食で育ったこれからの世代にどういう成人病が出てくるか、恐ろしい思いもさせてくれる一冊である。
2016/07/16 12:57
読みやすさに技アリ
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2010年期の格差問題を精緻にしてきているピケティの警世の書、をダイジェストしている。平易に問題をまとめているのでその意味でも星五つ。
格差は確実に進むので、持てる階層が、持たざる階層への想像力を欠く事態が出来するとの指摘は貴重なんである。
紙の本健康で文化的な最低限度の生活(ビッグコミックス) 12巻セット
2016/07/14 16:38
現場の実態の一面
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かつてNHKで『サイレント・プア』というドキュメンタリー番組があった。深田恭子が主演していたように思う。似たような趣向のコミックであると思った。いずれも若い世代が、マスメディアと自民党によって隠された現代日本の深刻な現実に直面して葛藤する物語。読者に迎合しない筆致が好ましい。
食べ物も払底したと言われた第二次大戦後より、生活保護の全体数は現在が過去最高になっているという。年間3万人前後を数える自殺率の高さとともに”隠れた社会問題”といえるだろう。
掲載されている媒体が若い層に人気あるコミック誌であることも、評価されてよいと思う。高い大学の授業料や、生活費、それとそれを稼ぐためのアルバイトに金利付きの奨学金という名の教育ローン…。これから激増する団塊の世代の老後を支えるのは若い世代だ。
18、19歳が初めて国政選挙に参加した。投票したうち自民公明に半数が投票したという(朝日新聞の分析)。現実が何も見えてないのがありありだ。初めて権利を行使して戸惑いの方が大きいのかもしれないが、年金をはじめ自分たちが高齢者を支えなくてはならないという宿命が見えていない。自分たちの親たちが、その親を支えきれなくて「介護殺人」にまで追い詰められているという実態を知ってほしい。
第四巻が待ち遠しい。
紙の本世界の名前
2016/07/01 08:36
地球人の普遍性と多様性
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まことに岩波辞典編集部らしい一冊なんである。この本一冊で世界のあらゆる地域・国家の人間の名づけという行為の特徴がわかるようになっている。一読して感想を言えば、チョムスキーを引き合いに出すまでもなく各言語には、違いよりも共通性の方がくっきり見えるということなのだった。
顕著な例をあげれば、乳児の段階の子供につけておく名前は、魔物や狼にさらわれぬように「犬の糞」だとかいった名前をつけておくとかいったことは全世界中に見られている。先住民にも広く取材されているのはとてもいいことで、そのためか文化人類学の研究者の担当が多い。
キラキラネームといえば日本だけの現象かと思っていたら、ラオ語にも見られるとのことであった。こういうところにも狭いこの星の文化現象を見て取れる気がする。
著者によると、のべ100にのぼる項目建てをしているという。ラストを飾るのは、あの『指輪物語』であった。この浩瀚な物語世界をつくる独自の(架空の)言語は、著者トールキンにとって魅惑にかられる営為であったようだ。これはのちに、『スタートレック』『スターウォーズ』に影響を与えていくなどの指摘をしている。実に4作に及んでいる前者では無限の多様性というバルカン哲学から発している思考からなのか、多様な宇宙の世界についてその「名前」もまた、独自の文化を持ち生存しているとの世界観を提示しているように思われる。
グローバルだのコラボだのいつもカタカナ語で私たちを翻弄する役人の方にはぜひご一読いただきたい。世界の民族や住民はとても本来の文字や名づけの表現を大事にしている。時には命を賭してでも。
電子書籍精神科は今日も、やりたい放題
2016/09/27 11:08
精神科医への極めて挑戦的な提言
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著者は精神科は要らないと断言している。内科医として漢方を主体として治療を行っているらしい。逐一もっともな言説が述べられており、一定の説得性があるように思われる。こうした議論が精神科にかかわる多くの人々に起こればよいのにとさえ感じた。しかし一点、疑問もある。195ページにおいて、トラウマや傷つき体験は誰にでもあり「そしてそれを共感する家族や友人がいれば、病院にかかるような事態は防げるということである」と述べている。ここは本書の結論に近いようなところなのであえて取り上げるが、実際には、患者の多くがそういう人的資源に恵まれていないゆえに病院にかかっているという現状を無視しているとは言えないだろうか。自殺するような状況に追い込まれた人というのは、視野が極めて狭隘になり、周囲に助けを求めうるような人間がいないことが多い。そういう人がいれば自らを殺めるなどということにはならないのである。
2016/09/27 10:53
戦後を遠く離れて
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苅部氏のこの著作でわからないのは、現代の岩波書店に関していろいろと新機軸などを分析しておいでなのに、かなりな冊数を数える岩波新書赤版などに関する叙述が欠けていることである。「岩波オタクの」東大教授とされてはそういうところにも配慮くださればよかったのにと思い、残念でならない。
2016/09/22 16:12
地と場に恵まれなかった名将を描く
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一言で言って真田信繁という武将は、日本人が引き継いできた判官びいきの伝統の文脈の中でとらえられてきた人物ではないかというのが読後感なんである。現在、大河ドラマで堺雅人が演じているが、佳境に差し掛かっている。同ドラマには珍しく、むろん毎回の出演ではあれ、華々しいシーンが多かったとは言えない。後の回がどのように描かれるのかが注目されるところではあるが、家康を生涯悩ませた弱小武将ではあれその生涯には同情が集まるべき要素がたくさん詰め込まれていたのだということを感じた。家康は若くして老獪な人物であるとはいえさんざん「徳川260年の平和」を築いてきたとばかり言われてきた。もう家康礼賛の話は人々は読みたくないんであろうと思われる。