たあまるさんのレビュー一覧
投稿者:たあまる
2018/05/20 23:15
ああ、この本を読んで書いたのか
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
人を食った書名です。
世の中のさまざまな問題を切って捨てているのですが、なんか、どっかで聞いたようなハナシだ、と思って読んでると、章末に参考文献が書いてあって、ああ、この本を読んで書いたのか、と得心することも。
意外な視点のハナシもいくつかありましたが、全体に底が浅い感じで、あまり良書とはいえないな、と思いました。
一番有益に思えたハナシは、宝くじのこと。
日本の宝くじは世界で最も割りの悪いギャンブルで、経済学者は宝くじのことを「愚か者に課せられた税金」と言うそうです。
愚か者と言われようと、それでも夢を追いたい人は買えばいいわけですね。
2019/07/05 12:30
残念ながら
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ち止まる
この印象的なフレーズを持つ「帰途」という詩を書いた田村隆一。
その人が晩年に語った言葉を集めた『言葉なんかおぼえるんじゃなかった』という本を読みました。
でも、あんまりぴんときませんでした。
残念ながら。
紙の本永遠の0
2018/05/28 23:26
再読して気づいたことは
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『永遠の0』は、大きな話題になり、映画化もされた本です。
私も文庫で読み、「若い人が戦争のことを知るのはええなあ」と思っていたのですが、昨今、作者の言動がなんとも不可解なので、読み直してみました。
再読して気づいたことは、この作者は戦争に負けたことを批判しているが、戦争をしたことは批判していないという点です。
そして、読み終えて思うことは「愛する者や祖国を守るために君は死ねるか」なんていう問いをさせてはいけない、ということです。
そんな問い、純粋で善良な若者を苦しませるだけです。
「命を捧げます」という若者を賛美するのではなく、そんな答えを言わなくてもすむようにするのが、政治家と、それを選ぶ大人たちの責任なのです。
紙の本校閲ガール
2018/05/07 22:25
期待外れ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
テレビドラマは見てないのだけど、校閲という仕事に興味があったので。
でも、校閲という仕事の話というよりはファッション好きの女の子の話で、私はあまりなじめませんでした。というか、よく分からない部分が多かった……。
ただ、コンビニ弁当を食べても、ちゃんと洗ってプラゴミに出す、という場面が何回かあって、案外きちんとしたところもあるんだなあとは思いました。
続編が出ているようだけど、もう読まないなあ。
紙の本学校の戦後史
2018/05/29 20:47
公教育の目的が見えにくくなっているなあ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『学校の戦後史』(木村元 岩波文庫)を読んでみました。
職業柄、こういうのも読まなくちゃ、と思って。
予想通り、あまり面白い本ではありませんでした。
でも、こうやって現代の歴史をちゃんと見直すのも必要です。
終章の「教育を社会の共有財として受け止める意識の希薄化のなかで、改めて教育の公共財としての側面に注目する必要がある。」という部分に共感しました。
佐藤学が指摘したように教育の私有化がすすみ、公教育の目的が見えにくくなっているなあ、と思っていましたから。
2018/05/21 22:50
星新一の文体久しぶり
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
星新一の『進化したサルたち』は昔、ハードカバーの単行本で持っていました。
千円以上もする本なんて、中高生の私にはおもいきったぜいたくでした。
アメリカのヒトコママンガをめぐるこの本への思い入れがそれだけ強かったということですね。
いつしか星新一は読まなくなって、ほぼ全部持っていた星の著書も、震災を機にすべて処分して、私の中では星新一は過去の人になっていました。
複数冊あった本を1冊にまとめたリニューアル版が文庫になったので、読んでみました。
版権の関係かヒトコママンガは載ってないし、さほど面白いものでもなかったのですが、星新一の文体に久しぶりにふれて、なつかしさをおぼえました。
紙の本群青のタンデム
2018/05/05 23:15
うーん
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
長岡弘樹『群青のタンデム』を読んだのですが、うーん。
精緻な描写で、ひっくり返しの切れ味も鋭いのだけど、なんかあんまり面白くない。 点数稼ぎに走っているような警察の仕事の描写も、二人の主人公の人間性が見えにくいのも面白さを減らしている。
「驚愕のラスト」というけど、そりゃないようなあ、という終わり方。うまい作家なのになあ。ちょっと残念。
だいたい、タイトルは、何のこと? タンデムって、二人こぎの自転車ですよね。群青は警察官の制服の色? うーん…。
紙の本狐火の家
2021/02/13 10:33
でもねえ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
うまい。
トリックがすごい。
女性弁護士の空回りぶりも親しみやすく、面白い。
本格ミステリである。
トリック重視だから。
でもねえ、話としては、あんまり後味がよくないし、
あまり楽しめないなあ。
まあ、何を期待して読むかによるんだろうけど。
2021/01/30 19:47
ある意味、反面教師
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
書名の文意には大賛成。
本文の中にも、なるほど、それには賛成!
という部分がいくつもある。
知らなかったこと、参考になることも、
いくつもあった。
しかし、著者の主張はなかなか世に受け入れられていないようだ。
それはなぜなのか。
社会がまちがっている、と考えると、
話はわかりやすい。
もちろん、この世の中には問題が山積だが、
それだけだろうか。
非常に思い込みが激しいように思える著者(そしてその父親)の
姿勢、処世にもその一因はあるかもしれない。
これはある意味、反面教師であろう。
いくら正しいことを言っても、相手が受け入れる言い方をしないと
それは意味をなさない。
紙の本遠い山なみの光
2019/07/14 19:52
得体の知れぬ不安感
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
長崎が描かれる。
期待して読んだ。
だって、ノーベル文学賞だもの。
村上春樹だって、評価してたもの。
ミステリアスな会話が続く部分はけっこう楽しめた。
ただ、翻訳文であるだけに、
もとはどんなテイストなんだろう、
この訳文でいいのかしら、
などと、自分で評価できない部分が気になってしまった。
稲佐山の「ケーブルカー」が出てくる。
え、ロープウェイちゃうん、と思って読み進めると、
描写からすると、やっぱりロープウェイやんか。
そんなことも、落ち着いて読めなかったひとつの原因。
また、長崎時代の回想の章は、常に得体の知れぬ不安感、悲劇の予感みたいなものがつきまとって、それも落ち着かなかった理由の一つ。
紙の本星降り山荘の殺人
2019/07/05 12:22
ミステリー作家としての力量はあるんだ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『星降り山荘の殺人』(倉知淳)は、いわゆる本格ミステリー。
つまり、謎解き、犯人当てを楽しむ小説ということです。
こういうの、若い頃は好きだったんですけど、いつのまにか、人間模様とか社会問題とかが絡んだ方が面白くなってきました。
というわけで、ちょっと物足りない作品でした。
じゃあなんで読んだのかと聞かれると、実は別の作家とかんちがいして買ってしまったのです(とほほ)。
でも、最後まで読むと、読後感は悪くなかったです。
ミステリー作家としての力量はある作家なんだなあと思いました。
紙の本木暮荘物語
2019/07/04 21:15
そればっかりというのはどうもねえ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
三浦しをん『木暮荘物語』は、古ぼけたアパートをめぐる人々の話。
一見のんびりした人々で、話もそう暗くならない。
7つの物語が主人公を少しずつずらしながらつながっていく。
前の話の脇役が次は主人公……というのは、わりと好きなパターンです。
そうなんだけど、あまり手放しでおすすめできないのは、ひとつのこらずセクシャルな要素がからむ(というかそれがテーマだったりする)から。
それは人事の一つの側面ですから、別にいいんだけど、そればっかりというのはどうもねえ。
紙の本灯籠
2019/06/20 15:25
ちょっとびっくり
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
広島が舞台と帯にあったので、原爆関係かと思って読んだら、原爆は少しも出てきませんでした。
読後感は、まあまあというところです。
印象に残った一節は
「我慢すんなよ。泣きたきゃ泣けよ。だけど泣き終わったら、涙の痕は消しんさい。それで何もなかったって顔で、前見て笑いんさい」
さて、読み終えてカバーをつけてみてちょっとびっくり。
あ、ここ説明がいりますね。
私は本を読む時、カバーや帯ははずして本の本体(?)だけにして読みます。
読み終えて本をしまう時に、はずしておいたカバーをかけるのです。
びっくりしたのは、カバーの折り返しにある、著者の写真。
うえむらちかという著者は、女優もやっている若い女性でした。
そういえば、CMで見たことある。
若い書き手が出てきてるんですね~。
1985年生まれですって。
紙の本オロロ畑でつかまえて
2019/06/18 22:14
ちょっとがっかり
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『オロロ畑でつかまえて』は、荻原浩のユーモア小説。
荻原浩だから、と思って選んだんだけど、言ってしまえば、ただのユーモア小説でした。
題名からしてサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』になんらかの関連があるのかな、オマージュだったりするのかな、と期待したのですが、別に何もなかった。
ちょっとがっかり。
2019/06/17 13:46
疑問を持て
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
光文社新書の『99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』(竹内薫)を読みました。
当たり前と思っていることや、科学的と思っていることが、実はあやしい仮説に過ぎない、「疑問に思う能力」が大事だと説く本です。
「疑問に思う能力」が大事だと、私も思うけど、この本の中身にも疑問を持たなくちゃ。
「疑問を持て」に疑問を持て、ということか?