uruudukiさんのレビュー一覧
投稿者:uruuduki
2020/05/03 14:22
つかみがいい
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
そもそも、お試しで読もうと考えるかどうかは、お試し価格であるかどうかというだけでなく、別に何らかの理由が有るのが普通だろう。例え只でも、読まない物は読まない。
ところで、この「鬼滅の刃」は、理由が有っても読むか読まないか、だいぶ迷っていたコミックだ。理由は、まずアニメからだったというところにある。印象がえぐくて、コミックに手が出なかったのだ。
どうも、他のアニメの原作で懲りたというのが原因だったのだろう。
ところが、このお試し版を読んで、考えを変えた。
まず、第一につかみがいい。自然に話に入っていけるのだ。主人公の炭治郎の心情に無理が無く、展開の速さにも置き去りにされない。たまに、絵に分かり難い所も有るが、読む勢いを削がない。
話も、書きようによったら殺伐とした話になるところを、アニメよりも遙かに温もりが有り、後も読んでみたいと思わせる展開だった。弱さと優しさが、応援をしたい気持ちを掻き立てるいい作品だと思う。
2019/11/22 13:53
予約してでも読みたい
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
予約してでも読む本というのは大きく分けて二種類ある。
先が見えなくてどうなるか気になって仕方がない本と、先が見えていても本当にそうなるのか確認せずにはいられない本だ。推理小説でいえば前者は正統派で、後者は倒叙だ。その見方からいえば「黒執事」は時間を遡り、ある意味結果が先に提示されているともいえるので、倒叙の要素があるか。だが、先が見えるようで見えないストーリーが、つい予約という行動に走らせる。
そこには、話のテンポにたるみを感じないからもある。
執事コミックとして読むか、少年の成長を読むか、ファンタジーとして読むか。それとも、ジャンルを抜きにして読むか。どれにしても、どう読んでもハッピーエンドにはならないだろうなと感じながら、どこかに一縷の望みを「シエル」にかけたくなる。
紙の本大辞林 第4版
2020/10/23 12:47
ジレンマ
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
辞書が紙である理由。
文章を書く時。また、読んでいる文書に気になる字が有る時に、手元に置いて必要になる物。
この定義を考えるとすれば、辞書はスマホに入っていて有用な物だ。当然のように、利用をしている。
だが、これが不都合な時がある。何がかと言えば、目的の字だけを引き、こうだったかな?といった関連だけ調べれば、後は見ないか、目に入らないからだ。
広く項目が目に入る。
この漠然とした見方が意外と必要になる時、重要な場合が有るのだ。
ある時点では、その字は意味が無いかも知れない。つまり必要としているか、いないかという点では必要の無い語句と言える。
ところが、そうして目に止まった語句は、思いがけないところで力を発揮する。
文章に変化を求める時、表現に生きてくるのだ。何故か紙の匂いと共に思い出したりする。単なる文字だけではないということなのだろう。
因みに私はこの大辞林に載っている文字で忘れられない語句が有る。
「ちょんちょこりん」
何故か引っ掛かって忘れられない。他のこういった辞書には、見た限り無かったと思う語句。何だかほんわかとなる言葉である。
紙の本少年と犬
2020/08/12 15:08
予測と違った小説
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どうも、馳星周さんにはとんだ先入観を持っていたようだ。
どこかで、犯罪どっぷりの「ハードボイルド」みたいな。
そころが、読み始めて少し背筋が寒くなった。まるでこの犬が「守護天使」ではなく、死神のように思えてきたからだ。それほど賢い犬なのだろう。けれども、人の意を汲み、また、意に介さない。
真意は投影する人の心次第とも、言えなくは無いのだ。
ただ、最後まで読んで「ああ、そういうことなのか」と思った時、とても悲しくなった。自分の都合次第で犬の想いを斟酌する人の悲しさ、犠牲を払ってでも守ろうとする犬の忠誠心に……。
それでも、人はこれを愛情というだろうか?
オオカミの血を引く犬の、忠誠心は固いという。どう感じるか、読んで確かめて頂きたい。
紙の本歴史手帳2020年版
2019/10/02 11:13
本か手帳か!
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ちょっと資料がほしい、だけど、あの本どこだっけ?とか、○代目の首相や将軍の名前なんか、失念して思い出せないとか。他にも。現役を離れて年数が経つと結構有るんですよ。そんな時、メモついでに調べられて便利。一回試しに購入してからもう、ずっと。無いと不便ですね。
紙の本9番目のムサシ ゴーストアンドグレイ 2 (BONITA COMICS)
2020/07/11 12:52
大がかりなドラマ
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
異世界ファンタジー、恋愛どっぷりなどの話が多いこの頃、恋愛を絡めながらでもいい、大がかりな冒険漫画というのが少なくなったなぁと思っていたところで、この「9番目のムサシ」シリーズに遇った。
どちらかと言えば、話のつくりは正統派なのだと思う。けれども、ドキドキ、ハラハラしながら読める。話が大きいだけに、次に何が出てくるのだろうとワクワクする。
スーパーウーマンが活躍すると言えば、変身ものを考えるかも知れないが、一応生身の女性だ。強過ぎて、自覚はほとんど無いようだが……。それこそ、国際問題にズバズバと切り込み、踏み込んで行くのだ。自らを災禍の中に放り込むように、出て行く。
読み手を引き込む要素の強い作品に、すっかりはまってしまった。
そして、気が付けば、発刊されたらすぐに分かるように、登録をするまでにのめり込んでいる自分がいた。
チョット立ち読みが、チョットでは済まされなくなったという話だ。(笑)
紙の本日本の刃物 研ぎの技法 この1冊を読めば和の刃物の知識と研ぎ方がわかる 刃物の研ぎ 手入れと保管 砥石の知識 研ぎ場の作り方 刃物ができるまで
2021/02/21 23:53
自分で研ぐべきか、専門家にお願いするべきか
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
かれこれ半月以上迷っている。
ざっと見ただけで、購入したとしても、自分で出来る自信が一向に湧いてこないからだ。
以前は、身近に刃物の研ぎを全部してくれる人がいた。それこそ、包丁や鎌は言うに及ばず、鋸の目立てまでして貰っていた。大変ありがたかった。
その人に言われたことが有る。包丁くらい研ぐことを覚えたほうがいいと。
生半可な返事をして本気でやろうとしなかったことを、今になって後悔している。切れる包丁が切れなくなるのと、その人が研げなくなるのが相前後してだったからだ。
仕方なしに、この本を買って、やってみようかと中を見てそのまま諦めた。いつも簡単そうにやっていたから何とかなるのではないかと思ったが、自分でやったらもっと切れなくなるリスクの方が大きい気がしたからだ。
これは、近いところで専門家を探す必要が有る。同時に、切れなくした包丁などを散々研いでくれた人が、器用だったのだと思い至った。
紙の本赤と青とエスキース
2022/08/03 16:46
絵と人と――
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
絵は流転し、熟成するのだろうか?
絵が熟成するように、出会った二人の関係も熟成し、一所に留まらないように、人も流転を逃れられないのだろうか?
一枚の絵を軸に人達は関り、離合集散をする。
絵自体の何かが変わるわけでもない。
ただ、関わる人の気持ちと関係が常に動いて、生を綴って行く。
ただハッピーエンドの小説を読みたいと思うのなら、お薦めしないけれど、愛しさを求めるのなら是非とも読んで頂きたい。
電子書籍新版 おいしい紅茶の図鑑
2021/06/07 11:04
紅茶の本
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
何冊有っても、つい欲しくなる本が有る。そんなに買ってどうするのか?と自分でも疑問を持っている。
そんな本の一つが紅茶の本だ。
基本的には、紅茶の淹れ方がそう変わるものではないが、細かい所で微妙に違っていたりする。本によって載っているカップが違う。お菓子も、同じお菓子でもレシピが少し違ったりする。
それに、掲載されている茶葉も、著者による好みの違いか、傾向が違う。
だから面白くて、気が付けば「また買ってしまった」になる。
ここでも、ハーブティーの紹介が有って「ふむふむ」と読んだ。因みにフレーバードティーも載っていたが、こちらは匂いのきついのが苦手な方は、用心かも知れない。フォションなど、海外のは特に香りが強い傾向にあるので、好みが分かれるのだ。
なお、チャイティーでは、先日テレビでインドの方が本格的な淹れ方を披露されていたが、香辛料をたっぷり入れ、ベースにはアッサムを使い、煮出すのだそうだ。是非試したいと思う。
紙の本歴史手帳2021年版
2020/10/04 21:29
手帳を買い求める頃
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
十月が近付く頃、毎年様々な手帳が出て、特設コーナーが設置されるが、歴史手帳は、時に手帳コーナーではなく歴史関係の書籍の棚に納まっている時がある。
理由はわかる。厚さのほぼ半分が歴史資料だからだ。
毎年、その年表や官職名や図録が要るのか?と不思議がられる時も有るが、これが有るからありがたい。
何分、それぞれの関係の本が有ったとしても、急遽必要となった時に、調べる手間を掛けられない、時間が無いという時がある。ネットで調べるにも、絞り込みがどうもという時も有る。案外紙の資料の方が調べ易いと思う時だ。
だから、今年もまた、来年に備えて購入するのだ。
紙の本月の影影の海 上
2019/10/18 14:46
講談社から新潮へ
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
当初講談社のX文庫で出た時はライトノベルか?といった括りだったのかも知れないが、読み始めてじきに、主人公の成長に従って、どうもライトノベルではないと感じたのを今でも思い出す。たしかに主人公は若い。けれども、この、上巻を読み終わる頃には、背景が複雑になり、関わる多くの登場人物の感情や動きに読んでいるこちらまで物語の世界に飲み込まれていた。
そのシリーズが今度新潮社から再び出た。しかも、表紙にかかっている絵が新たになっているのだ。買うべきか買わぬべきか。当然新たな話については買うとして、なかなか悩みどころだ。
ところで、なぜか気になるのは、陽子を失った親達(「育ての親」というべきなのか)の消息で、その後どうなったか、どうしたか、直後だけでなくその後を知りたいと、作者の小野先生がどう考えていらっしゃるのか知りたいと思うのは、本話からの逸脱か……。としても、あくまで個人的興味として、今後書かれるかもなど、期待をしている。
2021/12/21 14:22
身近に「能」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どうも、「能」というだけで堅苦しく感じて敬遠をする人も結構いる。
他人事ではない。
演目に聞き覚えは有るし、何となく話の筋は「聞いたよな」などということは有る。けれども、説明をしてくださいと言われて出来るかと言われたら、そこは「NO」なのだ。
恥ずかしながら、改めては話をしようとすると、話にならないのだ。
この本は、そんな素人にも分かり易く、波津さんの絵も相まって読み易い。
漫画の延長で読めるので、気楽に読めていいだろう。
2019/12/29 08:18
キャッシュレス-そもそも
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
やはり出て来たか、という本だ。
そもそも、クレジットは借金だ。収入を先使いしているのだ。キャッシュレスというと、何だか「借金をしている」という負担感が薄れるが、使ったら「確実に出費をしている」という自覚が必要になる。
だが、世の中は何でもかんでもキャッシュレスに持って行こうとしているようだ。そこで、自衛策だが、出金管理に自信が無かったら、読んでみて自分の消費行動を見直すのもいいし、自信が有っても「大丈夫か?」と自問する機会にしてもいい。
ただし、一つ気になるのは、この本の代金をクレジットやペイで決済したら、さてこれは本末転倒なのだろうか?(笑)
紙の本秘密 10 season 0 (HANA TO YUME COMICS SPECIAL)
2021/06/04 10:41
期待していいのか?
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「悪戯」編が完結すると、予告が有った。
これまでの展開からすると幸せな終わり方は無いように思うのだが、それでも子供がらみの話だけに、多少なりとも幸せな結末であってほしいと望んでしまう。
お人好しとも言える「青木」のこれまでの話からしても、少しは報われてほしいとは思うのだが、描いているのが清水玲子さんだから、どうなんだろうか?
読めるのを待っていたけれど、読める日が迫って来ると、期待と、残酷な結末の予測との間で、気持ちが行き来する。
電子書籍山はおそろしい 必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難
2023/03/02 12:03
たとえ里山でも――。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
四方を高い山に囲まれ、四季の風景に恵まれた長野県で、以前目が点になるような経験をしたのを、この本を読んでいて思い出した。
戸隠神社と言えばパワースポットとしても知られていて、奥社に向かう道は両側に杉の大木が並び立ち荘厳な気持ちになる――。のだが、そこは途中から大きな石が有ったり、木の根を踏んだりのなかなかに急な山道を歩いて行かなければならない、山の中だ。
スニーカーでも、山道に慣れていない人には厳しいだろう。
そこをハイヒールで登っている女性がいたのだ。
上まで行けたのかどうかは不明だが、途中で動けなくなったらどうするのだろうかと、とても気になった。
最近は、キャンプだの、バックカントリースキーなどがもてはやされているように思う。
だが、たとえ里山でも軽い気持ちで入らない方が良い。里山も奥には道の定かではない深い山が控えていて、方向を見失ったり,熊や猿の群れ、猪などと遭遇する危険が有るのだ。
ベテランの登山者でも何が有るかわからない、元は神聖な神の地として畏怖されたのだ。怖い場所だったからだろう。
多くの人が入るようになった現代でも、山が危ない場所なのは変わらないのだと、改めて思った一冊だ。