フォックスさんのレビュー一覧
投稿者:フォックス
2001/07/22 23:26
これ一冊でOK
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マックのヘビーユーザーから初心者まで、見た目のきれいさと裏腹なMac OS Xの風変わりさをていねいに解説しています。ウィンドウズに浮気していた私のような人にも懇切丁寧。今のところこれ以上の入門書兼参考書はありません。
紙の本ドキュメント屠場
2001/09/03 00:24
知られざる巨大工場
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本書ではJR品川駅港南口すぐにある東京都食肉市場の歴史が詳しくレポートされている。平成15年の東海道新幹線品川駅の開業を控え、周辺は再開発ラッシュである。その一方で、朝早くに天蓋付きのトラックの荷台一杯に積まれた食肉牛が我が身の運命を悟って悲しい鳴き声をあげることを知っている人は少ない。
本書では食肉市場で働く労働者が差別されてきた歴史、食肉を巡るマーケットの変化により翻弄される労働者、食肉市場を運営する行政の対応を絡み合わせて淡々とした筆致でレポートする。
牛一頭を屠殺して解体するのに水1トン必要だという。近代化されても、今なお表にでることのない屠殺の現場を知り、パック包装された牛肉や家族連れでにぎわう焼肉店とのギャップを感じてみてはどうだろうか。
テレビだけが報道ではないことを思い知らされる活字の重みを感じる1冊だ。
紙の本ガープの世界 上巻
2002/01/30 23:30
何の予備知識も無くこの本を手にした人がどんな顔をして讀むのか楽しみ
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日本のアービングファンの大多数が村上春樹経由でこの作家を知ったのでは無いかと思っているが、村上春樹経由ではなく、本屋で偶然この本を手にとって、讀んでしまった人がどういう顔をしてこの本を讀むのかとても興味がある。そういう小説だと言えます。
瀕死の兵士にまたがって無理やり身ごもったガープのお母さん以外にも、へんてこキャラのオンパレード。でもちょっと悲しい笑い泣きという感じでしょうか。本を讀んだら、ぜひ映画も御覧下さい。アメリカを代表する性格俳優(喜劇俳優か?)のジョン=リスゴーが元アメフト選手のおかま役を怪演しています。
2002/10/28 08:13
ダイヤモンド業界をあらゆる角度から丸裸に
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冷静に考えればほとんど価値のない鉱物、ダイヤモンドをいかにダイヤモンド業界が価値あるものとして維持しているかを教えてくれる一冊だ。ダイヤモンド鉱脈の探査から、カッティング、取引の実態など私たちの興味を満たしてくれるディテールで一杯だ。
あなたのネックレスやリングに乗っかっている極小のダイヤモンドがインドの何万人というカッティング技術者によって加工されている実態は大変興味深い。日本人の男性は給料の3か月分のエンゲージリングリングを買わされていることも指摘されているのだが、他の国にも同じような言い方があるらしい。但し、何か月分かは国によって違うとのことである。
もっとセンセーショナルなルポルタージュを期待していたので、冷静で淡々とした本書にはややがっかりしたが、宝石店で初めてダイヤモンドをじっくり眺めることになるほとんどの男性には、しっかり予習していて欲しい基本的なダイヤモンド学でしょう。
紙の本世に棲む日日 1
2001/12/12 23:24
吉田松陰の若き日を人間味たっぷりに描写
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こんなに楽しい本なのに、最近初めて読みました。司馬遼太郎ファンのみなさま、ごめんなさい。
この本では、司馬先生はまるで大河ドラマのナレーターでもするかのように、淡々と吉田松陰の若き日を描きます。文庫本第一巻は、吉田松陰の生い立ちから、松陰が成人し、脱藩し、ペリーの黒船来航にびっくりし、鎖国を破って外国へ出ようと決意するところまでが描かれている。吉田松陰は、ことごとくタイミングを逸する人間として、なんともすべてのエピソードが微笑ましい。また、女性関係にもオクテだった様子が描かれていて、親しみを感じます。
司馬先生の吉田松陰像は、徹底した人間性の追求の上に成り立っている。もう20数年前にこの本が書かれたことが信じられない位、いきいきとした文章であり、とても感動しました。
紙の本依頼人 上巻
2001/11/28 00:22
グリシャムが描く子供と母性愛
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依頼人は、森の奥で見てはいけないことを見てしまった子供。FBIとギャングの両方を敵にまわすことになってしまい、助けを求めたのは女性弁護士。「ドル(a dollar)は持ってるのか」と聞かれ、本当に1ドルで弁護士を雇うことになった依頼人と女性弁護士との心の交流が始まるというストーリー。子供が登場すること自体非常に珍しいグリシャムのリーガルミステリーの中では、かなり異色の作品ではないだろうか。捜査当局と悪党との板挟みというシチュエーションを巧みに描く。
紙の本スターバックス成功物語
2001/11/09 00:47
アメリカンドリームのサクセスストーリーを読みたいあなたに
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スターバックスの実質的創業者シュルツ氏は、ハイスクールを卒業するまでほとんど生まれ育った街から出たことも無いような育ちでした。たまたま才能に恵まれたアメリカンフットボールの奨学金で大学に入り、人生が開けます。
決して一流大学でなくても、ビジネスの才能があったシュルツ氏がコーヒー豆の販売店だったスターバックス社と出会い、紆余曲折を経て、現在のスターバックスチェーンを作り上げるのです。
ビジネスの哲学を語るというより、「僕はこんなふうに幸運に恵まれてここまで来たんだ」という飄々と半生を語るという感じで読んでて疲れないだろう。
2001/10/26 01:15
カジノ誘致を真剣に議論する前に
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谷岡先生はギャンブルを研究しておられる大学の先生です。カジノが一部の州を除き合法化され、さまざまな形で役立てられているアメリカと違い、日本にはカジノやギャンブルを研究しておられる方は少ないようです。本書はギャンブルを社会学的に考察した書物で最も入手しやすいものの一つです。
お台場にカジノを誘致する石原都知事の構想以外にも各自治体で起死回生の地方活性化策としてカジノ誘致が議論されています。
競馬・競艇・競輪・オートレースなどの各省庁縦割りの利権絡みの既存ギャンブルをご破算にして、健全な娯楽としてのカジノを考えるためにお勧めだ。
紙の本ポータブル韓日辞典
2001/10/18 23:57
コンパクトな韓日辞典ならこれで大丈夫
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コンパクトで収録語数も多くて申し分無し。
でも、この辞典は韓国で出版されたものをそのまま日本発売しているだけなので、日本語による使用方法の説明など一切ありません。従って、全くのハングル初心者はかなり戸惑うはずです。初級レベルを卒業したら使い倒して上達しましょう。アンニョン。
紙の本最高裁調査官
2001/08/25 19:03
テレビコメディ育ちの著者が放つ軽快ミステリー
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ジョン・グリシャムに代表されるリーガルミステリーの難しさは、プロットにどこまで法律的な知識を盛り込むかである。法律の盲点を題材にするおもしろさも大切だが、複雑だと読者がついていけない。
ブラッド・メルツァーの「最高裁調査官」は、読者の最高裁判所に対する知識と興味をうまく利用して一流のリーガルサスペンスに仕上げている。会話は巧妙で、人気の恋愛コメディー「フレンズ」に出てくるような常にジョークで切り返すような展開であり、著者の若さを感じるし、これが良い点だと思う。
アメリカ人なら小学生でも最高裁長官と有名な判事の名前ぐらいは言えるという背景があることも忘れてはならない。
文庫版で600ページを超える大作だが、大半は主人公達の軽快なやり取りであり、一気に読める。ただ、なぞときを後ろに引っ張り過ぎているのがややミステリーとして不満な点だ。
紙の本連鎖
2001/08/04 17:35
売れっ子作家の実質的デビュー作の出来は?
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映画「ホワイトアウト」の原作で一躍有名になった真保裕一の江戸川乱歩賞受賞作を読んでみたいというのが人情というものでしょう。この作品で真保裕一はちょっと探偵や刑事以外をハードボイルドの主人公に持ってくるという、日本を舞台にしたハードボイルド小説の難しいハードルをクリアしている。
しかし、登場する女性人物との関係があまりに淡白すぎてハードボイルドの主人公に必要なセクシーさが欠けている。デビュー作でそれは無理な注文か。
2001/07/22 23:10
日本の読者には説明不足
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自らをショッピングの文化人類学者に例えて説明するあたりはいかにもアメリカ人の好きそうな展開。目新しい発見はないけれど、小売業者のコンサルタントとしての著者の経験談を聞くのはとても興味深く、今まで感じていた疑問がいくつか解消しました。
しかし、この本に登場する小売店はアメリカ人なら全く説明不要のポピュラーなお店ばかりだけど、日本人にとってはなじみのない店鋪もあります。名前は知っていても、そのお店の雰囲気が分かっていて初めて実感できるものも多いのでは?
例えば、レディオシャックはアメリカのどこにでもあるコンパクトな店鋪を有する電気用品店であり、独特な店鋪です。そういった店鋪の雰囲気が分かっていればこの本に書かれていることはよくわかるのですが、それを知らないと想像でしかわからない。そういった日本人になじみのない店鋪を例に説明されるため、ちょっと分かりにくいと感じるかもしれません。訳者の注解がほとんどないのが不親切ですね。
2001/08/30 21:08
定番中の定番だけどマーケティングの教科書は最新の事例が乗ってなかったらつまらないでしょ。
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マーケティングを勉強する人必読です。でもマーケティングの教科書は最新事例を取り入れて毎年のように改訂版が出ます。原書は第9版まで出ています。上海に出店したスターバックスの事例まで載っています。それでもこの古い翻訳を読みますか。
訳者も出版者もきっと目まぐるしい改訂に追い付かないのでしょう。そもそもこんな本を翻訳で読むのがナンセンスか。