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いくらさんのレビュー一覧

投稿者:いくら

25 件中 16 件~ 25 件を表示

紙の本

紙の本テロリストのパラソル

2005/04/13 15:09

「くたびれたアル中男」の内に秘めた輝きに魅せられました。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

文庫で出たら絶対読むぞ!と楽しみにしていた作品でした。
前評判も上々でしたし、安心して読み始めたのですが、展開がとてもスピーディーで全然飽きません。
そして、主人公、島村と周りの人間の会話が非常に魅力的です。
島村は一見すると「くたびれたアル中」という、探偵役でもあるミステリの主人公としては異例のタイプなのですが、事件を追うごとに内に秘めた輝きがキラリと光り始めます。
その魅力の見せ方がとっても自然で好感がもてます。嫌味じゃないんですよね。
いつの間にかただのアル中男が素敵なオジサマになってるの。(笑)
作品の象徴でもありますが、20代の私にとっては遠くて現実感がなかった、大学闘争の細かい描写が印象的です。読んでいるうちに安田講堂事件について詳しく知りたくなりました。
熱くて甘くて、そして破滅的な彼らの青春時代が愛おしかったです。
社会派ミステリは苦手・・・という方もすんなり読める作品だと思います。
導入的な意味でも、試しに読んでみてはいかがでしょうか。
また、社会派ゆえにテーマや背景に気をとられがちですが、本格ミステリとしての側面も充分に楽しめます。上手い具合に伏線が張られていて、読み進めるうちに「あっ!そういえばあの時・・・」と言った驚きが味わえますよ。

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紙の本

紙の本名探偵猫丸先輩の事件簿

2005/03/26 01:22

10人の「猫丸先輩」に出会える一冊。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ミステリ小説のコミック化としては珍しい形態である「アンソロジー」ってことで、興味津々で購入しました。
原作を読んだことがなく、猫丸先輩についての基礎知識は全くない私でしたが、非常に面白かったです。
絵柄・内容共にバラエティに富んでおり、10編それぞれが個性を出しています。
また、漫画家さんによって猫丸先輩の印象がかなり違うのが面白い。
これぞ原作小説のコミック化の醍醐味ですね!
是非とも原作本も読んで、どの猫丸先輩が自分のイメージに近いか知りたいなぁ〜と思いました。

日常の謎系の『桜の森の七分咲きの下/秋乃茉莉』は繊細なタッチで色っぽい猫丸先輩が桜という主題と相まって、コミカルでミステリアスな雰囲気の作品に仕上がっています。

ホテルの深夜バイト中に起きた心臓発作事件の真相を探る『高僧の刺客/風祭壮太』は、バイトの同僚の女の子目線で描かれており、謎解きだけでなく客観的な猫丸先輩の印象が楽しめます。

こちらも日常の謎系列の『めしやより愛をこめて/月嶋つぐ美』は絵柄はもちろん、しぐさとや行動なども含めて、猫丸先輩が一番可愛いです。
オチも楽しくて、お気に入り。

海にまつわる昔話に隠された真実を見抜く『海に棲む河童/河内実加』は、かなりホラーな仕上がり。
可愛い絵柄に騙されてはいけません。
デフォルメされた部分と緻密に描き込まれた部分の対比がより怖さを演出しています。

他の場所で殺されたはずの女の生首を目撃した男の話、『生首幽霊/宗美智子』は、一番ミステリらしい作りで読み応え充分です。

全10編のうちご紹介したのは半分だけですが、これだけでも色んな味が楽しめることが分かって頂けると思います。
また、このようなアンソロジーにはお気に入りの漫画家さんを見つけてコミックスを購入する楽しみもありますね。
とてもお得な一冊です。

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紙の本

イマドキの小学生は可愛いだけじゃないぞ?!

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

可愛い。
とにかく可愛い。
思わず表紙買いしてしまうほど可愛い。
その一言に尽きるのですが、可愛さの中に子供独特の不条理さがあって、面白い。
最近流行りの「萌え系」かと思いきや、それだけではない独特のギャグセンスが光ってます。
甘くないし、パンツ丸出しでもあまり萌えないのが良いところです。(笑)
内容は、高校生の姉を持つ小学生の女の子と、その仲間達のゆる〜い日常をたんたんと描いたもの。
それだけなのによくもまぁこんなにネタが続くよな〜ってくらい、特別なことは起こらない。
でも、少々(?)ぶっ飛んだ性格のトラブルメーカー美羽のおかげで、プチ騒動が耐えず、千佳&伸恵姉妹のツッコミが炸裂するのです。
小学生だけだと破綻してしまう物語が、ちょっぴり大人で男前な伸恵の存在によって引き締まります。
ただ、ばらスィーさんご本人も言っていましたが、慣れるまでキャラクターの見分けが付きません。(^^;)
髪型だけでの判断を強いられますが、だんだん台詞だけでも誰か分かるようになるくらい個性があるので、ご心配なく。
キャラクターCDから始まり、今後ゲーム化にアニメ化と忙しい作品ですので、今のうちに要チェックですよ☆

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紙の本

緊迫した法廷でのスピード感ある攻防は読みごたえ充分。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

法廷ものにありがちの専門用語の羅列を排除し、簡略化することで、リズム感がある読みやすい作品に仕上がっています。
予備審問や陪審制度など、新しい制度を導入した日本という設定がとても生かされていて、現在の日本の「長い」裁判へ警鐘を鳴らしているように感じました。
物語の大半が法廷を舞台にして進み、基本的に捜査は警察と雇われ探偵が行い、集まった情報を基に論理を組み立てていきます。
それだけだと坦々とした印象になるところですが、そんなことないんですよ。主人公達にとって都合の良いこと後には悪いことがあり、その緩急の付け方が上手いんですよね。スピード感があって、飽きることなく一気に読ませてしまいます。

ただ、女性のキャラクターがちょっと使い古されたパターンの中にいるのが残念。
なんていうか・・・女の私が読むと、これは絶対作者は男性だな〜って妙に感じるのですよ。
その代わり、主人公の山鹿をはじめとする男性陣のアウトローっぷりがなかなか素敵。
山鹿って自信家で鼻持ちならない性格なのですが(^^;)、言うだけの事をきっちりやるから爽快なんですよね。法という決められた枠の中で、それを逆手にとって無罪を勝ち取る様はアンフェアながらもスカっとさせられます。
でも、それ以上に相棒の探偵・影野が主人公を食う格好良さなんですよね!2人のちょっぴりガキっぽい会話も青春してて好きです。

物語の根底にあるのは「被告人を信じること」です。
もし私が被告人だったら、こんな風に信じてもらえるだろうか?「あの人ならやりかねない・・・」なんて言われないよう、日頃から実直に生きたいものです。(笑)
だからこそ、山鹿が「疑わしい被告人」に出会ってしまった時、それでも「信じる」のか?そんな姿を見てみたいと思いました。そこに彼の弁護士としての真価が問われるように思います。
続編に期待。

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紙の本

紙の本幽霊刑事

2005/04/13 15:00

「もどかしさ」と「切なさ」に縁取られた幽霊の物語。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

正直言って、ミステリとラブストーリーの融合って聞くと、ちゃちな2時間ドラマのような展開を思い浮かべてしまい、苦手意識が働きます。
そもそも、私は恋愛小説ってのが大の苦手なんですよ。(^^;)
とは言っても、この「幽霊刑事」は私の大好きな有栖川氏の話題の作品。騙されたと思って読んでみることにしました。
主人公は、信頼していた上司に訳も分からず殺された神崎刑事。もちろん、殺されたのだからこの世のものではない。いわゆる「幽霊」。
かと言って犯人に復讐する能力がある訳でもなく、愛するフィアンセを慰めることさえ叶わない、無力極まりない存在だった。誰にも気付かれることはなく、何かに触れることも叶わない、まるで空気のようである。
唯一神崎の姿が見えたのは、隣の席の同僚刑事の早川。イタコの祖母譲りの霊媒体質の持ち主で(本人は今まで気付いてなかったようだが)、お人好しな性格の彼は神崎と協力して捜査に乗り出す。
その頃、警察の捜査は暗礁に乗り上げており、もちろん犯人である経堂課長に捜査の手が及ぶこともなかった。そこで、神崎は幽霊の特権とも言える「追跡調査」を行うが、目を離している間に、なんと経堂課長が密室の現場で殺されてしまう・・・。
「もどかしさ」「切なさ」がこの物語に輪郭を作っており、ほどよくラブストーリーの要素が謎解きと絡み合っています。読む前の心配など忘れる出来です。
幽霊となって戻ってきた彼の存在を認めることができない彼女の様子に憎らしさすら感じました。
特に読後の余韻は何とも言えない切なさで、素晴らしいの一言。
幽霊だからこその捜査方法、そして得ることができる情報を推理に使えるという利点もあるが、むしろ幽霊だからこその虚無感やもどかしさが丁寧に書かれているのが面白く、違和感なく主人公に感情移入していくことができます。早川とのコンビネーションも絶妙。
もし私が幽霊になったら、神崎のように感じるのだろうか・・・と、彼と照らし合わせて、自分という存在を見つめなおすきっかけになるのも、本書の読みどころです。
ただ、「幽霊」という特殊な形態がどのようなものか読者に説明する必然性はわかるのですが、少し自嘲的でクドイ印象を受けたのが残念でした。
登場人物は主に神崎の職場である刑事課の人間ですが、みんなそれぞれに怪しく見え、最後までフーダニット(誰が犯人か)で楽しませてくれます。
また、仕掛けられたトリックはこの「幽霊刑事」だからこそ成り立つもので、なるほど!そういうことか!と妙に納得しました。
「ラブストーリー」、そして「幽霊もの」と特殊で欲張りな設定でありながら、それを充分に活かし、新しい「ミステリ」の形を楽しませてくれる一冊です。

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紙の本

紙の本子どもの王様

2005/04/13 15:17

「子供の感性」に大人になってしまった私はドキッとさせられました。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「Mystery Land」の第1回配本の1冊ということで、そもそも子供向けに書かれた「本格ミステリ」である本シリーズは、装丁も素敵で、文字は大きくルビがふってあります。
しかし!大人も楽しめる・・・っていうか、逆に大人のための子供向け本のような気がしてなりません。

殊能氏の作品は初めて読んだので、他と比較はできませんが、非常に繊細な台詞回しにドキっとしました。
特に「子供の感性って確かにこんな感じ」と思わせるような、以前自分もそうだった・・・という懐かしい記憶がよみがえりました。
大人になって忘れてしまった「何か」がそこにはあると思います。
本格ミステリとはちょっと違う気がしましたが、ショウタ君に共感しながらドキドキハラハラの展開に身を任せるのは楽しかったです。
難を付けるとすると、後味の悪さかな。そこが魅力でもあるのですが。

小学生の頃って、確かに男の子はこんな感じだった!と主人公たちを見ていて思いました。
バラエティ番組のコーナーで行われているゲームが流行っていたり、無意味に暴力的な遊びが好きだったり、ヒーローものに憧れていたり・・・。
確かに記憶の中に存在しているような彼らの様子を見ているだけで、懐かしい気持ちになれます。
そして、そんな彼らの目に「大人」たちはどう映っているのか・・・。
子供の頃の自分を取り戻してみたい方は是非!

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紙の本

紙の本失踪症候群

2005/04/13 15:12

誰もが陥るであろう現代社会の闇。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ストーリー自体は、序盤は失踪者を地道に探すところから始まるので、派手さはないのですが、細かく場面転換をすることによって飽きさせない構成になっています。
また、環をはじめとするチームのメンバーについての描写が見事で、読み進めるうちにいつの間にか彼らのキャラクターが頭に入り込んできます。
それぞれ底知れぬ何かを持った雰囲気に興味を持たずにはいられませんでした。

全体を通じて感じられたテーマは「虚無感」でした。
中でも、原田とその娘のやりとりは、社会問題の一つである家族崩壊の核心を突いているように感じます。
誰もが陥るであろう現代社会の闇を感じ、ふと自分の胸に問いかけている自分がいました。


あなたは、ふといなくなりたいと思ったことはありませんか?

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紙の本

逃れられない遺伝子の呪縛。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

山口雅也氏の人気シリーズ「キッド・ピストルズ」が漫画家されました。
繊細なタッチの絵柄がとても魅力的で、原作を知っていても登場人物に違和感がないのがすごい! 特にピンクは可愛いです。

第1巻では「ノアの最後の航海」が中心です。
反進化論を唱える創造論者ノアが、異常気象で長雨・洪水が続く英国であるプロジェクトを開始する。
それはまさしく「ノアの箱舟」の再現。三千万種類もの中から動物を選定し、ノアの親族と見届け人として呼ばれたキッド達と共に航海を始める。
死期を知りながらもノアとの結婚を決めた若く美しい女、創造論者と対極に位置する遺伝子学者のいとこ、ノアに捨てられた女の子供…と登場する人物はみんな胡散臭い。
そんな中、心臓疾患で先の短いノアを巡る遺産、そして各人の陰謀が入り混じった船内で殺人事件が起こる…。

軸となる生物学・遺伝子学の仮説は非常に興味深く読めました。
ただ、ちょっと説明台詞が多くって読みづらい印象があります。
特にキッドが推理をする場面は読み返さないと理解できないほど、抽象的かつ説明的で辛かった…。
漫画化するにはちょっと難しい題材だったのではないかと思います。

「キッド・ピストルズの慢心」はキッド刑事誕生秘話やピンクとの出会いのエピソードなどが詰まった一話で、シリーズ導入編として読めます。
まさしくこのパラレル・ワールドの世界観が凝縮された作品です。
そもそもの原作が良い意味でも悪い意味でもクセのある作品なので、好みが分かれるかと思いますが、この漫画でパンクス刑事達の世界に触れてみるのもいいかもしれません。

By T.O.M.

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紙の本

マルタ・サギーは探偵ですか?はミステリーですか?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 マルタ・サギーの職業は『名探偵』。けれど推理はしないし、できない。彼あるのは『事件を強制的』に終結させる力だけ…。

 富士見ミステリー文庫新装刊ということで、表紙もキレイで目を惹いたし、紹介文が妙に印象的でこの本を選び試しに購入。きっと全く新しいミステリに出会えるだろうと期待しました。

 何に関しても無気力な高校生、鷺井丸太が迷い込んだコンビニは異世界「カード戦争」の舞台への入り口だった。そこで手に入れた「名探偵」のカードを使い、丸太は「マルタ・サギー」として新しい自分と向き合う…というのが大筋。

 読後の第一声は「これミステリじゃないだろ!」です。本当に全く推理してないよ!! 特に今回は彼が名探偵になるまでの話がメインだったこともありますが…。これはファンタジーです。断言。
 とは言っても、素直にファンタジーだと思って読めばそれなりに面白かったです。語調も読みやすいし。続編も出るようですが、機会があったら読んでみてもいいかなぁと思います。2冊目からの方が事件がメインになって面白いかも。マルタの能力がどう物語に活きていくのかをもうちょっと確かめたいですね。

 探偵とは? 名探偵とは? 既存の概念に囚われず、新たな世界を体験したい方は是非。特にファンタジーが好きな方にはお勧めできるかと思います。挿絵も多く、キレイなので読書が苦手な方でも読みやすいです。かなり薄いですし、手軽です。

by Think Out Mystery

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紙の本

政治的な思惑ひしめくこの世界のあるべき未来とは?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この小説は冒険小説である。

少なくとも私はそう思う。舞台設定はファンタジーであるし、ミステリ的要素もあるが、それ以上に異世界を旅する感覚が何よりも味わい深いのです。著者によるあとがきにも「この作品は旅の物語である」とはっきり書いてあって、やっぱり!と大いに頷きました。

魔法が日常的に使われる世界。
騎士や魔導師が存在し、各国の様々な思惑によって戦争が行われている。
長期化した戦争の停戦協定を結ぶため「戦地調停士」を初めとする面々が独立都市、ロミアザルスに集結した。
ロミアザルスはどの国にも干渉されない中立の地である。それは竜が棲み、守る土地だからだ。
この世界における竜は圧倒的な存在であり、竜の前では人間など何の力も持たない。

そんな竜が殺された。

術が施され、許可なく足を踏み込むことの出来ないはずの閉鎖された空間で、何者かに刺殺されたのだ。
これらの謎を解明するため、第1発見者となった戦地調停士EDと仲間は、過去に竜に面会した記録のある人物を訪ねる旅に出るのだが…。

EDと共に旅をするのは、女性でありながら特務大尉を勤めるリーゼと、風の騎士として名の知れた少佐ヒースロゥの2人で、物語はリーゼの視点で進んでいきます。
クセのあるEDの語り口調は好みが分かれると思いますが、とても興味をそそられる人物で、この1冊では語りきれない過去や、大きな決意が垣間見れ、続編への期待も膨らみます。
また、真っ直ぐな気性で男気溢れるヒースロゥの人柄も、EDと絶妙なコンビネーションで物語を引っ張ります。
バランスを取るためなのかリーゼにあまり個性が見られないのが残念ですが、旅先で出会う人々が3人以上に魅力的で、そこもまた冒険小説として面白く読めるポイントなのかなと思います。
キャラクターがその世界で「生きている」姿が目に浮かぶのですよ。
そしてその人物達を通じこの独特な世界観に触れることで、読んでいる私自身も違和感なく異世界の住人になれるのでしょう。

ミステリとして読むとなると、そもそも前提となる世界観がアンフェアなのはこの際目をつぶるとしても、やはり読者に対する情報の提示が段階的で「後出し」の感じがするのは否めません。
やはりそれはファンタジーの宿命なのでしょうか。
ただ、その世界観に頼ることなく、きちんと論理的な推理を進めているのはさすがです。
たとえ推理の材料の出し方に違和感があったとしても、決してそれは読者を裏切るものではなく、きちんとミステリとして成り立っています。

ミステリとして期待して読んだ感想なので★2つと辛口ですが、やはり本書の楽しみは「謎解き」ではないと思うのです。
政治的な思念のひしめくこの「殺竜事件」の世界を旅し、EDと共にあるべき世界を創造していく、そんな未来に思いを馳せて…。

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