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木こりさんのレビュー一覧

投稿者:木こり

7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本李欧

2003/05/20 21:48

再会を求めて

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 タイトルの‘李歐’とは美貌の殺し屋の名前。彼にふさわしい、美しい名前だ。しかし李歐が実際に登場するシーンはごくわずか。大部分は主人公一彰が“李歐と離れている”時間が描かれている。本当に気が遠くなるくらい長い時間、相手を待ち、あるいは待たせる。それこそ、読んでいるほうがもどかしくなるほどに。

 二人は友達か、恋人か。その関係をカテゴライズするのは難しいし、あまり意味がない。あえていうならば作中にある‘心肝=特別な人’という表現が一番しっくり来るように思う。出会ったときから特別で、それは年月を経ても変わることがなかった。変えなかった、変えさせなかったというほうが正確かもしれない。離れている間も李歐は時々ふと影を覗かせる。その影がまた、強烈で美しいのだ。だからたとえ一彰が李歐への想いを変えたくても、なくしたくても、きっとできなかっただろう。

 物語は一彰の視点で綴られているため、李歐の心情を察することはほとんどできない。ただでさえつかみ所のない人物だし(そこが魅力的なのだが)、とにかく登場場面が少ない。それだけに二人の別れのシーンは印象的だった。突然、激情をあらわにする李歐に胸が苦しくなる。

 別れたその瞬間から、私は二人の再会を待ち望むようになってしまったのだ。

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紙の本アラビアの夜の種族

2003/05/16 04:15

夜の種族に、なる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 読後に体中を支配するのは満足感や達成感、ではなく、解放感だ。憑物がとれたような感じ。実際、霊などに憑かれたことはない(と自分では認識している)のであくまでも“感じ”なのだが。でもやはり憑かれていのだと思う、この物語に。

 本書の価格は2700円(税別)。これは結構なお値段である。少なくとも私に購入を逡巡させるには充分だった。文庫になるまで気長に待とうかなどと考えている間にも、世間の評判は高まり、帯には賞の名前がふたつばかり並んでいた。決して大げさではなく、清水の舞台から云々という気分でついに、ようやく、買ってしまった。さて、それでは値段分の価値があったのか、といえば————やめておきましょう、そんな野暮な話は。
 描かれているのは『災厄の書』とよばれる物語と、その物語をめぐる物語である。『災厄の書』とは、読み出したが最後、“その内容に魅入られて余所目にはほとんど茫然自失の態となって、書物の世界に没入してしまう”という危険な書物。平たくいえば、「もうとにかくむちゃくちゃ面白くて、仕事なんかやってらんない!!」という状態になってしまう、とんでもない本なのだ。でも、読書好きならこんな経験、一度はしてみたいもの。というわけで、さっそく経験させていただきました。
 時に美しく、時に勇ましく、時に禍々しく、時に滑稽に、物語は語られる。変幻自在の魅惑的な文章と、これでもかと並ぶ“それらしすぎる嘘”。あっという間に虜だ。真夜中(もしくは明け方)になっても本を閉じるのが惜くて、開いたまま眠ってしまったこともしばしば…まさに『災厄の書』。睡眠時間と体力をすっかり削られてしまった。

 無事に読み終えることができて、ほっとしている。これでしばらくはゆっくり眠ることができる。でもきっと、またこの本を開くことになるだろう。再び憑かれるのは覚悟の上だ。“夜の種族”よろしく、昼間の倦怠感と引き換えに夜の興奮を求めて(決して2700円の元を取ってやる、というせこい考えからではない。既に十分、十二分に元は取った)。

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紙の本13

2003/05/04 20:36

小説に遊ばれる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 読みやすい本ではない。文体はとっつきにくいし、序盤は改行がやたらと少ない。それに慣れず、最初の30ページはいらいらした。しかし50ページを過ぎたころには夢中になっていた。
 
第一部の舞台となるのは、ザイールのジャングルだ。溢れるような色と音に酔わされる。原住民の社会は陽気なイメージとは裏腹に複雑な問題をはらんでおり、それが原因となって、主人公は不思議な体験をすることになる。第二部で描かれるアメリカは、“いかにも”。まるで翻訳物を呼んでいるように感じる。そのわざとらしいほどのアメリカ的な明るさや華やかさが楽しい。
思い出すのは、映画『ロストハイウェイ』。ふと気がついたら、その世界に飲み込まれている。思いもよらぬ展開があったり、いきなり雰囲気がガラリと変わったり、まるで作品に遊ばれているようだ。しかしその“遊ばれている”感覚がなんとも楽しくて病み付きになる。読み終わったときに残るのは、「よくわからないけど、なんかスゴイ!」という子供じみた感慨である。
 
裏表紙の内容説明に、“空前絶後のマジカル・フィクション”という言葉がある。読む前は大仰な煽り文句だと苦笑したが、それも今では納得してしまう。まったく、見事にはめられてしまった。

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紙の本舞姫 3 (MFコミックス)

2003/04/26 01:17

おススメしたくて…

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私はいま、この漫画についてふたつの欲求を抱えています。ひとつは“続きが読みたい!” そしてもうひとつは“人に薦めたい!” 前者については、首を長くして続刊を待つほかないでしょう。後者の欲求については、この場を借りて満たさせていただきます。というわけで、以下、お薦め文です。

 装丁とタイトルから、なんとなくお分かりになるでしょうが、本作はバレエ漫画です。え? 「バレエなんて興味ない」? 大丈夫、問題ありません。読めばイヤでも興味がわきますし、知識がなくても十分楽しめます。作中にチョコチョコ入る注は素人にもわかり易く、バレエ通を気取れる日も近いかもしれません。
 絵はシンプルですが、安定感と不思議な魅力があります。ほとんどセリフがなくても、踊りのシーンは華やかで緊張感に溢れており、思わず溜息が漏れます。うっとりです。私はこの作品で“人間の体の美しさ”に気づきました。こういう絵を、“巧い”というのでしょう。
 しかし、うっとりとしてばかりもいられません。華麗なバレエの世界も裏側はなかなか大変なのです。ドロドロしております。主な登場人物は小学生ですが、たとえ相手が子供でも現実は甘くありません。思わず目を背けたくなる場面もしばしば…。それでも挫けずにバレエに情熱を燃やす少女たちの姿には胸を打たれます。とはいっても、熱血スポ根モノではありません。絵の効果でしょうか、独特のシュールな雰囲気が全体に漂っており、決して暑苦しくはないのです。
 主人公・篠原六花(ゆき)は天真爛漫で少々間の抜けた性格が愛らしく、ついつい応援したくなります。彼女の姉、美人で優等生の千花も素敵です。類まれな技術と才能を持ちながらも、過酷な運命に翻弄される不幸少女・須藤空美には同情を禁じえません。そしてそれを取り巻く大人たちの想いは複雑です。子供への期待と不安、お金の問題、過去への執着…大人の世界にはやっぱり色々ありますねえ…。人間ドラマとしてもかなり深みのある作品なのです。
 さて、少しでも興味を持っていただけたでしょうか。長々と語ってきましたが、私が言いたいことはただひとつ—すっごくおもしろいんです、この漫画!!

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楽しく、かっこよく

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「専業主婦なんて絶対イヤ!! 結婚なんてできなくてもいい。社会に出て自立した大人になるんだ!」
 中学生のころ、本気でこう思っていた。それもかなり、熱く。二十歳を過ぎた今でも基本的な考えは変わっていない。だけどもし、もしもだ。物凄くお金持ちで、でっかい家を持っていて、お手伝いさんなんかも雇えちゃって、おまけに優しくて格好よくて…(さすがに空しくなるので以下略)…そんな男性と結婚したとしよう。彼は言う「君はなんでも好きなことをして暮らせばいいよ」と。それでもやっぱり働こうと考えるだろうか。やりがいがあって楽しい仕事など、そうはないことを私はとっくに気づいている。だったらいっそ、日がな一日好きな本でも読んで暮らそうじゃないか。なんてね? うーん、…どうしよう…。
 これが女であるということ。本書でいう、“女の子の出世の道・その2”である。
 
この本を読んでわかったのは、女性の社会進出や自立の歴史がなかなか複雑だということ。理想に燃えた勇敢な女性が男女平等の旗を掲げて一心不乱に突っ走ってきた、苦しくも美しい営み、というイメージは間違いなのだ。良妻賢母思想や戦争、階級差別など、意外なところから追い風を受けたり逆に邪魔をされたりと流されまくり、行ったり来たり。だけどそれが健全なあり方なのだろう。単なる理想ではなく、現実の問題なのだから上辺の理屈やきれい事だけでは進まない。
もう“男女平等なんて夢のまた夢”という時代ではない、と思う。“男女平等なんて夢”というくらいかな。もうひとつ“夢”を取り除くのに必要なのは何か。この本にその答えは書かれていない。それはきっと仕方のないこと。これまでの歩みを見てきても、なにが味方になり、なにが敵になるのかわからないのが現実だ。結局わたしたちは、流れに惑わされながらも意思を持って健全に(がむしゃらに?)進むしかないのだろう。そちらのほうが(少々痛い目にあったとしても)甘い妄想にふけるよりはかっこいいし楽しそうだ。

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紙の本ブレイブ・ストーリー 下

2003/04/09 02:24

夢と現のファンタジー

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 読み始めて数十分、あるいは数時間、不安になった人は少なくないだろう。「これってファンタジーだよな?」 たしかそう宣伝されていた、紹介されていた、はず。では一体いつになったら少年は冒険の旅にでるのだろう?

 この物語において“冒険に出るまで”は単なるイントロダクションではない。読み飛ばせるような軽い内容ではない。重苦しい現実こそがファンタジーの扉を開く。少年のゴールは世界を救うことではない。自分の運命を、現実を変えること。現実あっての冒険なのだ。だから、その現実の部分が(読者に一抹の不安を抱かせるほど)長々と描かれるのも当然だろう。
 
 とはいえ、幻界(ヴィジョン)での旅が始まってしまえばこちらのもの(?)だ。まさにゲームの世界。剣に宝玉にゴーレムにドラゴン…ファンタジーのフルコースである。さすがに呪文まで唱えられると、なんとなく鼻白んでしまうのは歳のせいだろうか。とにかく最近ではなかなかお目にかかれないほどの王道を突き進んでいる。凝りに凝った世界観のゲームに食傷気味の方には良い清涼剤になるかもしれない。
 
 旅の中でどんどん成長していく主人公ワタルとそれを助ける個性的な仲間たち。彼らがみんな魅力的なのは、強いだけではなく、また弱いだけでもないからだろう。それは幻界(ヴィジョン)でも現実の世界でも同じこと。強さの中に覗く弱さと、弱さの中で光る強さ。そんな登場人物たちだから、引き寄せられずにはいられない。中でもワタルのライバル・ミツルの存在は出色だ。彼の視点で描かれる場面では、とても子供とは思えないその怜悧な思考と、悲しいほど優しい親族への愛情に圧倒される。恐ろしくも美しく、また哀れな(などといったらミツルくんは怒るでしょうが…)彼の幸福と平和を祈らずにはいられなかった。

 幻界(ヴィジョン)でのゲームのような夢のような冒険を存分に楽しむことができる。だが読み終えて本を閉じたときには、きちんと現実と向き合って自分も成長しようと思える、そんなファンタジーだ。

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紙の本女たちのジハード

2003/04/07 03:25

人間臭い聖戦と清々しい感動

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 自分が単純な人間だと気づいた。この小説を読んでいて思ってしまったのである。「わたしもがんばろう」と。焦りや強迫観念に駆りたてられたのではなく、わくわくしながらそう思った。
 彼女たちの戦いは、聖戦(ジハード)という響きからはかけ離れたもので、なんとも世俗的。三十を過ぎてもなんとなくOLを続けている女、理想的な結婚のために打算を尽くす女、目標が判然としないまま溢れる上昇志向が空回りをする女。これは彼女たちがなんとかスタート地点にこぎつけるまでの物語。その華麗とは言い難い奮闘ぶりを、かわいい・きれい・かっこいいと感じるのはやはり私が同じ女だからだろうか。巻末の解説によると男性に人気なのは、グズで内気で他力本願な女・紀子だという。なんとも理解に苦しむところだ。結婚を考える際には試金石として相手にこの本を読ませようか、などと少々本気で考えている。
 世知辛い世の中をぼろぼろになりながら生きていく。なんとか、一応、なんとなく前に進んでいく。その姿が清々しい感動をもたらすのだ。

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