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東方綾さんのレビュー一覧

投稿者:東方綾

30 件中 16 件~ 30 件を表示

紙の本脳のなかのワンダーランド

2001/07/22 23:25

不思議な脳の世界に引き込まれる科学読み物

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 脳卒中の後遺症やロボトミー手術などで脳に障害をおってしまった人々が示すことのある、一見とても奇妙な行動の数々が、本書では取り上げられている。例えば、片方は左側から炎が見えている家の絵であるにもかかわらず、二つの家の絵が区別できない半側無視。麻痺してしまった左腕を、他の人の腕だと言い張る患者。顔であることはわかるのだけれども、人の顔の区別がまったくできない相貌失認。そのほかにも、脳のスライスを保存している博物館の話や、訓練によって記憶力を高められるのか調べた結果や、ほ乳類の中で夢を唯一見ない動物だとされるハリモグラの脳の秘密など、脳にかかわるさまざまな事柄が扱われている。
 明晰夢を見る話や体外離脱の経験談など、なかには科学的に証明することが難しそうなトピックスもある。だが、どの事例もできるだけ客観的な立場から検討し、主流以外の意見もきちんと取り扱っているように感じられた。読みやすい文章で、時にはユーモアを交えて説明されており、おもしろい科学読みものだった。脳の働きにはまだ解明されていない部分も多いのだろうが、本書はその不思議な脳の世界にどんどん引きこんでいってくれる。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

目次
謝辞
はじめに
第1部 灰白質
1 博物館を訪ねる
2 脳を読み解く
3 シナプスを渡って
第2部 無視
4 大聖堂広場
5 心が描く外界の地図
6 燃える家
第3部 ホムンクルス
7 コーヒーカップ
8 脳の中の小人
9 幻肢
10 「これは私の腕なんかじゃないわ」
11 体外離脱
第4部 顔
12 この顔がわかりますか?
13 人の顔、牛の顔、逆さまの犬
14 右側の顔と左側の顔
第5部 記憶
15 H・M
16 いま、ここで
17 あのとき、あの場所で
18 偉大なる記憶力
第6部 夢
19 フロイトとレム睡眠
20 ハリモグラの夢
訳者あとがき
参考文献

The Burning House Unlocking The Mysteries Of The Brain, by Jay Ingram, 1994.

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確かな洞察力が感じられる刺激的な読み物

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 世界初の文章音声読み上げ機の開発者として、Kurzweil 250という幻のシンセサイザーの製作者として知られるレイ・カーツワイル。文字認識ソフトや音声入力ソフトなどのアイデアを次々と実現させていった発明家で起業家でもある。その彼が未来のコンピュータを予想し、それによって変わっていく社会の姿を予言したのが、本書である。

 宇宙の歴史や地球上での生命の発達の歴史を振り返り、彼は進化が指数関数的に進むだろうと考察している。コンピュータの能力も、リレー式や真空管式やそれ以前のものから現在のコンピュータにいたるまで、指数関数的に発展しているという。この調子でいけば、20年後にはチューリング・テストをパスする人工知能が登場するだろうと、彼は予言する。その時、その機械知能は人間のような意識や感情を持っているのだろうか。人はその人工知能をどのように受け入れていくのだろうか。ナノテクノロジーや仮想現実、コンピュータによる芸術、戦争や哲学の未来まで、彼の予言は広がっている。

 章ごとに架空の女性との会話でこれまでの話をふりかえる節があり、未来を予言する後半の章では、未来のその女性と現在のカーツワイルがその時代のできごとについて話し合っている。そのこともあって、SF小説でも読んでいるかのような本だ。荒唐無稽な未来の予想図だと思える人も多いかもしれないが、確かな洞察力を感じさせられて、とても刺激的な読み物である。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)


目次
「スピリチュアル・マシーン」の読み方
プロローグ
[第I部] 過去
第1章  時間とカオスの規則
第2章  進化の知能
第3章  心と機械
第4章  地上に現れた新しい形態の知能
第5章  文脈と知識
[第II部] 現在
第6章  新しい脳をつくる
第7章  …そして身体
第8章  現在
[第III部] …そして未来
第9章  2009年
第10章  2019年
第11章  2029年
第12章  2099年
エピローグ
レイ・カーツワイルの人工頭脳詩人による作品
三つの単純な理論によるインテリジェント・マシーンの作り方
年表
索引

The Age of Spiritual Machines, by Ray Kurzweil, 1999.

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紙の本ぼくもノーベル賞をとるぞ!!

2001/05/14 16:54

高分子の世界を分かりやすく紹介

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 設立五十周年を迎えるという高分子学会が、それを記念して出版したのが本書である。高分子(ポリマー)の世界をやさしく紹介し、若い人たちに研究のおもしろさを知ってもらうための本だそうだ。昨年、導電性高分子ポリアセチレンの研究で白川博士がノーベル賞を受賞したところである。どうしてもそれにあわせたのではないかと
考えてしまうのだが、あとがきによるとその受賞以前にタイトルが決まっていたとのことだ。
 高分子とは、プラスチック、ゴム、繊維、タンパク質やDNAなど、天然のものから合成されたものまで、実に様々なものの総称である。そこで、本書に掲載されているトピックスも、軽くなった携帯電話や鋼鉄より強い繊維の秘密、宇宙開発で使われる高分子材料、プラスチックのリサイクル問題などなどと、非常に幅広い。例えば、テフロン鍋がこげつかないのはどうしてだろうか。瞬間接着剤はどうして使うときに固まるのだろうか。北極の海の魚はなぜ凍らないのだろうか。不思議に思われた方はぜひ本書を手にとられるといいだろう。それぞれ見開き2ページずつ、イラスト付きで、わかりやすく解説している。
 タイトルにあわせて高分子関連でのノーベル賞受賞者のリストやこれからの研究者に求められることなどもまとめてあるが、それらがなくても、確かに未来のノーベル賞が高分子関連の研究にもっと与えられるだろうという思わせられる。これから研究者をめざす(かもしれない)若い人たちを対象にして書かれていて、小学生高学年ぐら
いから読めるだろうが、大人にも十分おもしろくためになる1冊だ。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

<目次>
はじめに
ポリマーって何?
1 身近なポリマーのなぜ
2ポリマーを科学する
3 ヒーロー「プラスチック」は大活躍
4 ポリマーはここまでできる
5 人と宇宙とエコロジー
6 ぼくもノーベル賞をとるぞ
著者一覧
あとがき

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情報が不足している一方で余計なことが書かれている

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 バイオ、ロボット、ナノテク、インターネット、エネルギ−問題と環境問題の最先端のトピックスから、あわせて60のポイントを選び、解説している本である。それぞれのトピックスが暮らしとビジネスへどのように影響を及ぼすかを中心にまとめてある。スーパー図解のシリーズの一冊で、それぞれの項目にきれいなコンピュータ・グラフィックスによる図解もついている。1項目あたり1分、全部で60分で一通り理解できるのだそうだ。
 ただ、項によっては、必要と思われる情報が抜けていたり、余計な情報が書かれていたりして、ムラがあることが気になった。例えば、冒頭のヒトゲノムの項を取り上げると、ここではDNAとゲノムを解説しているだけで、結局ヒトゲノムが何であるかわかりにくかった。あるいは、ASIMOの脚のどこにどれだけ関節があるかはあまり必要な情報ではないのではないだろうか。また、図解のきれいなイラストに、イメージ図程度の意味しかないのもどうかと思う。こけしみたいな形が人間で、それにヒビが入っているのが病気にかかったり何かの被害を受けたりした人を表すくらいなら、CGではないイラストの方がまだわかりやすい。
 一時間でビジネスのポイントをつかむ必要があるならいいかもしれないが、科学書と思って読むにはちょっと不満な本である。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

<目次>
第1章 バイオテクノロジーはここまで進んでいる
第2章 ロボットテクノロジーはここまで進んでいる
第3章 ナノテクノロジーの開発はここまで進んでいる
第4章 次世代インターネットはここまで進んでいる
第5章 エネルギーと環境保護技術はここまで進んでいる

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紙の本南極へ行きませんか

2001/03/27 01:17

南極のプロが南極へ赴く心構えを説く

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 すでに一年に一万人以上もの観光客が南極を訪れていて、ホテルと呼べるものも南極にはあるのだそうだ。日本の南極関係者の中では南極観光に最も強く反対してきたと語る著者だが、21世紀になったら南極もきちんとしたルールのもとで多くの人に開放せざるを得ないだろうという考えのもとに、この観光読本をつくりあげたという。
 「南極観光を希望する人は、まず南極に関する正しい知識と人間としての教養を身につけてから行って欲しい」と序文にある。教養はともかくとして、確かに知識を得ておくことは必要だろう。本書の前半では、観光で南極をめざす人が最低限知っておいたほうが良さそうなことがら、例えば南極大陸の探検と科学調査の歴史、最近の観測や研究の成果のさわりなどが、まとめられている。
 後半は、ガイドブックのように、筆者が訪れた各基地やペンギンやアザラシの生息地などの南極の観光ポイントの紹介に、南極に向かうツアーなどの情報も載っている。ただ、文章に書かれてある地名を地図上で追おうとしたとき、どこにあるのかわかりづらいところがいくつかあって、少し物足りなかった。それでも、さすが南極のプロが語るだけあって、南極へ赴くときの心構えを説く言葉には重みがあった。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)


<目次>
序にかえて
第一章 黎明期の南極
第二章 氷の大陸
第三章 ロマンの大陸
第四章 科学の大陸
第五章 南極観光
第六章 最高価の旅
第七章 未来に向けて
あとがき

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紙の本水の自然誌

2001/03/18 03:59

美しい自然写真集を見ているかのような気分に

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 本書の原題は“Fresh Water”で、つまり、海水ではない淡水のことだ。その自然史というからには、川や湖に生息する生き物の姿かなにかを描いているのかと思って読み出したのだが、そうではなかった。植物や動物に全く触れていないわけではないのだが、本書の主役は水そのものである。
 地下水の流れは地上からどのように観測されるのだろうか。川の流れはどんなところが速いのだろうか。冬の湖はどこから凍っていくのだろうか。このような淡水にまつわるさまざまなことがらを、イラストで図解しながら丁寧にわかりやすく解説している。また、地下水を汲み上げ過ぎたときの危険、貯水池建設や河川改修が生態系に与える影響など、各所で環境問題にも触れている。なかなか気づきにくい(が、実は重大である)問題点が、説得力のある冷静な文章で取り上げられている。
 どちらかというと北米、特に寒冷地の題材が多く、日本では身近ではない地形もしばしば登場する。そのためか、専門用語をわかりやすく扱う努力は感じたものの、ところどころなじみのない用語にとまどわせられた。それでも、読んでいるあいだ、美しい自然の写真集を見ているかのような気分にさせられる、そんな一冊だ。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

<目次>
プロローグ
1章 水の循環
2章 地面の下にある水 − 地下水
3章 利用される地下水
4章 地面の下にある水 − 循環水
5章 流れる水 − 小川と河川
6章 河川の働き
7章 湖
8章 水が凍るとき
9章 ダム、分水路、貯水地
10章 湿地
11章 顕微鏡でしか見えない生物
12章 大気中の水 − 水蒸気、雲、雨、雪
原注
訳者あとがき

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紙の本インフルエンザ大流行の謎

2001/03/04 05:03

インフルエンザの歴史や、感染の機構、予防と治療

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 第一次世界大戦中に死亡したアメリカの若い兵士の80パーセントは、スペインかぜという名で知られる致死率の高いインフルエンザで亡くなったのだそうだ。インフルエンザはお年寄りや小さな子供には危険だろうがふつうの若者には死にいたるほどの病気ではないと思っていたので、そこでまず驚いた。それから、1997年の年末にインフルエンザの流行を防ぐために香港中のニワトリを処分しなくてはならなかった事件があった。動物のウイルスがどのようにヒトに感染し、強毒なウイルスに進化していったのだろうか。
 本書では、国立感染症研究所で長年インフルエンザに取り組んできた著者が、インフルエンザの歴史や、感染の機構、予防と治療までを熱く語っている。最近の遺伝子研究から明らかになったウイルスの進化の様子には、恐怖さえ感じた。熱意のあまりところどころ読みにくい部分もないわけではないが、インフルエンザの実態に驚かされること間違いない一冊だ。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

<目次>
プロローグ 追跡! スペインインフルエンザ
第1章 インフルエンザの流行史
第2章 殺し屋ウイルスの正体
第3章 ウイルスのライフサイクル〜限りない挑戦
第4章 動物のインフルエンザ〜種の壁を突破した殺し屋
第5章 巧妙な遺伝子の戦略〜変幻自在のウイルス
第六章 知られざるインフルエンザ危害
第七章 インフルエンザの予防と治療
エピローグ 返還香港からニワトリが消えた
参考文献・図書
あとがき

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紙の本人体改造 あくなき人類の欲望

2001/02/20 04:10

生命科学の最先端を真剣に考えさせられる一冊

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 2000年4月に放映されたNHKスペシャル「人体改造時代の衝撃」をもとにして、生命科学の最先端をまとめたのが本書である。帯には「秒読みに入った、クローン人間誕生の瞬間!」の文字が踊っているが、クローン人間だけでなく、さまざまな衝撃的な題材を取り上げている。たとえば、失った組織を細胞を培養したもので復元しようとするティッシュ・エンジニアリング。すでにいくつかの部品をつくり出すことに成功していて、皮膚などは商品化もされているという。あらゆる組織に分化することが可能なES細胞は、クローン技術とあわせると拒絶反応の全くない臓器移植や難病の治療法になる夢のような可能性を持っている。だが、ヒトの受精卵や胎児の細胞からつくり出されるため、倫理的に問題視されることが多い。そのほかにも、ヒトの遺伝子を取り込んだ臓器移植用のブタや不妊治療としてのクローン技術の研究など、バイオ先進国のアメリカからのレポートを中心に、わかりやすい言葉で読みやすくまとめている。
 最先端の技術を紹介しているため推進派よりの発言が多いが、反対派のコメントもとり入れ、できるかぎり公平な立場からのレポートを心がけられている。このような新しすぎる科学技術には、倫理的な面だけでなく危険が伴うものもあるかもしれない。しかし、たとえどんな問題のある技術だったとしても、傷ついたり重病になった家族や身近な人が健康なもとの生活に戻れるのだとしたら、その技術を使わないでいられるだろうか。そこまで真剣に考えさせられる一冊である。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

<目次>
序章 到来する人体改造時代
第一章 ブタが人間を救う
第二章 利用される小さな命
第三章 夢の万能細胞
第四章 禁断の領域へ
第五章 命の尊厳か、新たな医療の開発か
第六章 倫理空白地帯アメリカ
第七章 クローン人間製造の野望
第八章 アメリカを追え 追随する国々
終章 衝撃の未来社会
あとがき
参考文献

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多数の図版で世界最大級望遠鏡を紹介

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 ハワイ島のマウナケア山頂につくられた世界最大級の8 m望遠鏡「すばる」。地上の望遠鏡はどうしても大気のゆらぎの影響を受けるが、標高4200メートルの山頂での恵まれた大気条件と補償光学によって、場合によってはハッブル宇宙望遠鏡より優れた解像度を得ることも可能にしているという。本書はそのすばる望遠鏡を、たくさんのカラー写真を用いて解説している。
 すばるで観測したさまざまな星雲や銀河の美しい写真も掲載されていて、それだけでも十分楽しめるのだが、本書の目玉は望遠鏡本体や観測装置の図や写真だ。それらによって、望遠鏡の仕組みはもちろん、測定の精度をあげるために使われた技術の数々をわかりやすく説明している。例えば、すばるの主鏡は有効口径8.2 mの凹面鏡で、平均誤差12 nmに磨きあげられている。これは鏡を直径80 kmに拡大したときに紙1枚分の誤差しかないことを示しているそうだ。こういった巨大で精密な各パーツの製造過程や、建設中の現場の風景など、天文ファンだけに限らず、機械好きの人間を夢中にさせる内容になっている。また、計画の推進にあたった天文台関係者や装置の製作にあたった会社の担当者のコメントも集めてあって、巨大プロジェクトの内側をのぞくことができる点でもなかなか興味深い一冊だ。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)


CHAPTER 1 Astronomical Images すばるで観る宇宙 とらえられた極微の光
CHAPTER 2 Telescope & Enclosure すばるデータシート 高性能の秘密
CHAPTER 3 Observational Instruments 観測の影の主役たち すばる観測装置
CHAPTER 4 Construction of SUBARU すばる望遠鏡の建設 9年間の道程
CHAPTER 5 At the Forefront of Astronomy すばるのライバルたち 協力と競合のパ
ートナー
CHAPTER 6 Who Made SUBARU a Reality すばるを創った人々

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紙の本教養

2000/12/03 03:15

常識にとらわれない独特の視点から科学を語る

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 日本を代表するSF作家の一人、小松左京は、非常に博識な教養人であるという。本書は、その小松氏の教養のすごさを、作家の高千穂遥と科学ライターの鹿野司の両氏を相手に行った対談の形で紹介している。取り上げた題材は、生命の発生から最新の進化論、クローン技術や種の寿命、不老不死、コンピュータの自己意識など、さまざまな科学のトピックスである。
 かなり過激な言葉になっているところがあるが、ユーモアを交えながらのわかりやすい言葉で語られていて、読みやすい科学読み物になっている。
 ただし、以下のどれかにあてはまる人にはお勧めしない。
  ・参考文献リストのない科学書には我慢できない。
  ・「日本人は」「欧米人は」というひとくくりに怒りを感じる。
  ・おやじギャグに耐えられない。
  ・環境保護運動に熱心に取り組んでいる、あるいは、動物保護活動に身も心も捧げている。
 常識にとらわれない独特の視点から科学を語っている本であると言えるだろう。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

目次
まえがき   キーワードは「教養」(高千穂 遥)
第1章 命とは何か
第2章 進化とその意味
第3章 知性と文明
第4章 人工生命
第5章 死を考える
仮想対談(高千穂 遥 VS 鹿野 司)
本文解説
本書をより理解するためのホームページ案内
あとがき(鹿野司)

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女のくせにと言われてしまった若い理系女性に

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 女性が科学を志すなんてまともだと思われなかった時代に研究者という職業を選び、結婚・出産・子育てをこなしてきた二人の女性研究者が、若い人へのメッセージとしてまとめたのが本書である。まず専門を選ぼうとする高校生・大学生へのアドバイスの章があり、その後に研究者としての心得をまとめた章が続く。女性・男性に関係なく若手研究者に有益な話も多い。続いて結婚や子育ての体験談などが語られていて、こちらは研究者に限らず仕事と家庭を両立させたい女性の参考になるだろう。
 私の専門の物理は女性が少ない分野のひとつだが、女性研究者として実績を積んできた諸先輩方のおかげか、幸いなことにこれまでのところ女性だからといって特に不利だったことはない。そのためか、本書で「女性に適した学科」「女性はねばり強い」などのように女性を強調した書き方をされると、少し違うのではと感じた。それでも、女のくせにと言われてしまった若い理系女性に、あるいは女性と仕事をすることになって困惑している理系男性に、読んでいただきたい一冊である。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

目次
はじめに
1 理系が女性に魅力的な9つの理由
2 分野を選ぶ8つのポイント
3 学部・学科について16のアドバイス
4 研究室を選ぶ7つのチェックポイント
5 理系男社会で生きる9つの心構え
6 理系で修業する11の覚悟
7 学会を活用する9カ条
8 世界を広げる7つのネットワーク術
9 結婚について9つのアドバイス
10 妊娠、出産と子育て15の乗り切り術
11 たくましい理系の女性たちに学ぶ7話
12 21世紀の理系の女性へ7つのメッセージ
おわりに

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内容は面白いが訳文がいまひとつ

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 火山の噴火、大地震、彗星や小惑星の衝突といった大災害は、地球規模で気候の大変動をひき起こし、全生物を絶滅に追いやることも可能である。本書では、噴火、地震、津波、天体の衝突の四つについて、発生のメカニズムから始めて、歴史や地球物理学的な調査から明らかにされた過去の大災害を紹介している。そして、今後どのような災害が起こり得るか、どのように対応していったらいいかをまとめている。近未来にそれぞれの大災害が起きた場合を、小説風にシミュレーションして描いた節も各章についている。ヨーロッパやアメリカの事柄が中心だが、地震や津波、火山の被害が集中している日本の災害についても、もちろん記されている。
 危機感をあおるかのようにショッキングに描かれすぎているきらいはあるが、わかりやすくまとめてある点は評価に値するだろう。ただ、訳文がどうにも読みにくいのにはまいらされた。

原題 "APOCALYPSE", Bill McGuire, Cassell&Co, 1999.

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

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複雑な形をした銀河の謎を解き明かす

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 銀河系はどんな形をしているかと聞かれたら、普通は美しく渦を巻いた円盤銀河、あるいは、だ円形の銀河を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、宇宙には想像以上に普通ではない不規則な形をした銀河が多いのだそうだ。本書では、その変わった形の不思議な銀河をいくつも紹介している。爆発する銀河、シェルを持つ銀河、リング型の銀河、触角を伸ばす銀河‥‥。複雑な形の銀河の写真は、見ているだけでも楽しめる。カラー写真が口絵に2ページだけなのが残念なくらいだ。
 驚いたことに、これらの奇妙な形の銀河の多くは、衝突・合体など銀河同士の相互作用で説明できるのだという。コンピュータ・シミュレーションの結果など近年の研究成果を豊富に用いて、銀河の構造・形成をわかりやすく解説している。ところどころに紹介されている天文学者の仕事風景も、ユーモアを交えた文章で楽しめる。秋の夜長、広大な宇宙に思いをはせながら読むのに最適な本だろう。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

<目 次>
1 普通の銀河 —プロローグにかえて
2 爆発する銀河 —M82—
3 消え入りそうに暗い銀河 —Malin1—
4 暗黒帯をもつ楕円銀河 —NGC5128—
5 シェルをまとう楕円銀河 —NGC1344—
6 イカリング状の銀河 —Arp147—
7 ポーラーリングを伴う銀河 —A0136-0801—
8 触角を伸ばす銀河 —NGC4038/4039—
9 塊のたくさんある銀河 —Mrk297—
10 合体する二つの銀河 —NGC7252—
11 ウルトラ赤外線銀河 —Arp220—
12 普通の銀河 ふたたび —エピローグにかえて−
付録A 本書で紹介した銀河のデータ
付録B 銀河と宇宙を知るための参考書

*関連書籍(本文中に登場するマリン博士の著書です)
『デイビッド・マリンの驚異の大宇宙』(デイビッド・マリン写真・文 長谷川 哲夫訳 ニュートンプレス)
『デビット・マリンがとらえた宇宙の神秘』(誠文堂新光社)

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紙の本物質を設計する

2000/08/26 08:54

化学を学ぶ若い人に

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 高校で化学を学んだ人を対象に最先端の化学研究の醍醐味を伝えていこうとするシリーズの最終巻の本書では、有機化合物を中心とした「合成」を扱っている。前半では、錬金術の時代から産業革命後に工業として飛躍的な発展をとげるようになるまでの無機化合物・有機化合物の合成の歴史を、様々なエピソードでつづっている。一方、後半は、複雑な有機化合物を合成するプロセスを組み立てる方法と、そこに用いられる代表的な反応をまとめている。化学式が並び、教科書かなにかを参考にしないとならない部分もあるが、具体的に化合物を取り上げてその合成の過程を説明したことや合間に読み物を挟むことで読みやすくなるように心がけられている。
 合成の分野の現在についての記述が少ないのが物足りないが、研究のおもしろさが十分伝わってくる一冊である。これから化学を大学などで学ぼうとしている若い人にはぜひ読んでいただきたい。
(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

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大人から子どもまで、100円ショップは実験器材の宝庫

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 100円ショップは実験器材の宝庫だと著者は言う。小型マッサージ機は振動を生み出すし、グラスは表面張力の実験に利用できる。マーカーペンからポンポン船をつくり、鍋のふたで真空実験ができて、ビー玉をインスタント顕微鏡の対物レンズにする。きれいな結晶を作る材料もあるし、100円だと思えば分解しても惜しくない電卓からは太陽電池を取りだせる。綿菓子機、ろうそく、電球、ラジコンや蓄音機もできるのだ。
 本書は100円ショップで手に入る材料を用いた100の実験を、各項目につき1または2ページで紹介している。説明には図や写真を多用してあり、実験中の様子を示す写真が各項目に一つはあるのでわかりやすい。材料さえあればすぐできる簡単なものから、大人の方が夢中になってしまいそうな工作まで難易度はさまざまだ。夏休みの自由研究の参考にもいいだろうし、休日にお子さんと取り組むのにもぴったりな実験がそろっている。

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