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  3. 好川 哲人さんのレビュー一覧

好川 哲人さんのレビュー一覧

投稿者:好川 哲人

41 件中 1 件~ 15 件を表示

eビジネスの企画をする人は必読

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 本書は日経産業の連載取材記事をベースにまとめられた本で、最近、ネットで起こっていることを非常に広い分野にわたり、非常に広い視点から紹介している本である。第1章では、変貌する企業ということで、重厚長大企業、中小企業、あるいは大量生産企業がネットによってどのように変わってきたかを紹介している。

 2章では、場を作るということで、いくつかのネットワークコミュニティの活動を紹介している。次に3章で、ネットが個々のビジネスマンにどのような影響を与えているかもまとめている。

 第4章では事業モデルの変化をトヨタやデルの例をあげながら解説し、その中での顕著な傾向として見られるリアルとネットの融合の動きを5章で紹介している。その例としてヤマト運輸、新日鉄、キャノンなどの活動を紹介している。

 本書は新聞取材記事のまとめであるので、個々の事例についてあまり、深く紹介されていない代わりに、恐ろしく話題が広い。また、事例を積み上げて結論を述べるという書き方をしている。その点でいくつもの分野で主張されていることは納得性が高い。情報量が多いので、eビジネスの企画をする人は必読であろう。また、かなり中小企業やSOHOに視点をおいているので、中小企業の経営者にもお薦めしたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第7回 クリック・アンド・モルタル より)

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第2世代のIT革命を非常に広い視野で眺め、分かりやすく解説

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 本書はジャーナリストの視点から、ドッドコム企業の問題点を分析するとともに、この数年間にドットコム企業が産業の世界で引き起こした常識の変化を整理している。中でも、クリック・アンド・モルタルの重要性を指摘している。その上で、これからはリアル企業がその新しい常識を踏まえてIT化を行っていき、経営資源の厚みを利用してドットコム企業のシェアを奪っていくだろうと予想している。

 さらに、その議論を中小企業に適用し、リアルの中小企業がネットを使って優位に競争を行っていける可能性を示唆している。また、その実例として、ニッチ戦略をとるミレニアムゲートテクノロジー、めがねの直販を世界ではじめて行ったビジョンメガネなどの例をあげ、商品の希少価値が成功要因であることを述べている。

 また、最後に日本版ITということで、日本独自のクリック・アンド・モルタルであるコンビニECや、iモードECについて整理している。また、そのようなECで変化が求められる業界として、不動産、物流などがどのように変わっていくべきかを議論している。

 内容はあまり深堀りされていないが、第2世代のIT革命を非常に広い視野で眺め、分かりやすく解説している。企業の経営者が、世の中の情勢を知るには絶好の一冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第7回 クリック・アンド・モルタル より)

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e革命の本質はサービスの高付加価値化にある。

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 本書では、サービスモデルという概念を提唱し、ビジネスモデルに代わり、サービスモデルをめぐって第2次のe革命が始まっていることを主張した本である。

 ビジネスモデルという概念は提供者側に立脚したモデルである。その中で、顧客中心であるとか、顧客満足が議論されている。そこにある種の無理がある。著者は顧客から見たモデルとしてのサービスモデルが大切だと考え、そのサービスモデルの新規性に顧客に取っての付加価値がある。e革命の本質はこのようなサービスの高付加価値化にある。そして、そのような意味では、ネットの強みを生かすことのできるリアル企業が覇者になるというのが本書の主張である。この主張はGAZOOを考えてみれば妥当であることが分かる。GAZOOが提供しているのは新しいサービスモデルである。

 本書では、最後にリアル企業が新しいサービスモデルを作っていくために、サービス化、サプライ化、ネットワーク化、シナリオ化、デファクト化、システム化、シリーズ化という7つの視点が重要であることを例をあげながら主張している。

 本書の議論は、明確にはされていないが、かなり、中小企業を意識した議論になっている。その意味で本書は経営革新をしたい中小企業、特にモノ作りを行っている中小企業の経営者にぜひ読んで見てもらいたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第7回 クリック・アンド・モルタル より)

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クリック・アンド・モルタルの展開をしていくための情報収集の初歩としてはもってこいの本

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 ECの入門書として非常によくまとまった本である。簡潔に米国でのECの動き全体を眺めると同時に、アマゾン、コビシントといった事例については深堀りしている。

 本書では2章でクリック・アンド・モルタルが登場した背景をインターネットバブルの崩壊の実態を踏まえながら説明し、そして3章でクリック・アンド・モルタルの実現方法、5章で成功の秘訣という流れで解説している。3章では失敗事例として、リビング・コムとショー・ファニチャー・ギャラリーの合併してできたクリック・アンド・モルタルの例をかなり詳しく説明している。この章は、クリック・アンド・モルタルの立ち上げ方法に多くの知見を与えてくれる。また、4章の成功の秘訣は14のポイントについて述べられているが、どれも納得できるものである。

 本書はネット企業のクリック・アンド・モルタル展開について、リアル企業のそれより容易であるとし、そのような視点でかかれている部分が多い。比較する意味があるかどうかについては疑問もあるが、ピュアプレイヤーがこれからクリック・アンド・モルタルの展開をしていくための情報収集の初歩としてはもってこいの本であろう。また、コビシントを事例にしたB2Bの今後の展開への考察は非常に広い視野で行われており、B2Bの事業をしている人にもぜひ、読んでいただきたい。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第7回 クリック・アンド・モルタル より)

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BPOが経営パラダイムをどのように変えるかについて「超」企業という形で具体的な姿で提示

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 本書はビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)やe-BPOについて、米国における現状と、日本でどのように普及してくるかを議論した本である。著者は、経営パラダイムの変革に関して非常に示唆に富む切り口を提供する論者であるが、本書で論じているのは、BPOが経営パラダイムをどのように変えるかについて「超」企業という形で具体的な姿を示している。

 GEのジャック・ウェルチが、同社のECの推進において、これからの企業のあり方として「境界のない企業」という概念を打ち出した。「超」企業とは、「境界のない企業」を、BPOやe-BPOという手法でどのように構成していくかを示している。

 また、「超」企業のもっとも重要な視点はダイナミックにビジネスモデルを変えていくという視点であり、ものごとを動態的に捉えることであるとした上で、これができないことが日本企業の課題であり、この課題を解決したところに日本型のe-BPOがあるという主張をしている。つまり、日本型のバリューダイナミックスである。

 また、バリューダイナミックスに関する著書としては、アンダーセンの「バリューダイナミクス—新しい価値創造のフレームワーク」があるが、本書で展開しているバリューダイナミクス論はアンダーセンの理論をコミュニティ的な要素を加えて再構築したものになっており、非常に新鮮である。

 かなり、本格的な経営論、アウトソーシング論であり、読むのに苦労するかもしれないが、新しい日本型経営の姿に興味がある人には一読の価値はある。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第6回 アウトソーシング戦略 より)

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製造業のあり方について考えさせられる本

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 EMSとは、Electronics Manufacturing Serviceのことで、日本語で言えば、製造アウトソーシングである。工場を持っていて、製品を持たない企業が、製造だけを引き受けるビジネスの形態である。ある意味では、トラックや倉庫というアセットを持っている企業が物流を引き受けるのに似ている。本書で紹介されているように、EMS企業は凄い勢いで増えてきており、日本を始めとする世界中の大手の製造業がどんどん、自社工場をEMS企業に売却し、ファブレス戦略をとり始めている。また、製造アウトソーシングからスタートした企業が、最近の情報技術の発展する中での競争戦略として、サプライチェーン全体を提供するような事業を始めているといった最近の動向についても詳しく説明されている。

 本書は製造業のあり方について考えさせられる本である。本書でも議論されている点であるが、最近のアウトソーシングは明らかに自社の従業員にはナレッジワークをさせるという目的で導入されているケースが多い。しかし、製造業についていえば、製造を切り離した研究開発、企画が可能になるのかという疑問が頭に浮かぶ。本書で紹介されているように、EMSは製造業でのナレッジを生かして、だんだん、上流工程に進出してきている。しかし、その行き着く先はメーカーである。そのように考えていくと、企業のあり方の問題になってくる。

 EMSを最も必要とするユーザはベンチャー企業であるので、モノを提供するベンチャー企業の経営者には一読をお薦めするが、上のような問題意識で、製造業、特に中小の製造業の経営者の方にぜひ、読んで欲しい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第6回 アウトソーシング戦略 より)

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経営変革を目的としたアウトソーシングの実用書

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 経営変革を目的としたアウトソーシングの実用書である。アウトソーシングの導入の際には一読の価値がある。

 本書では、アウトソーシングの実行プロセスを準備段階、移行段階、実行段階の3つのフェーズにわけ、それぞれのフェーズにおいて、プログラムマネジメント、ファイナンシャルマネジメント、ヒューマンリソースマネジメントの3つの視点からマネジメントを進めていくべきであるとしている。そして、そのマネジメント手法を具体的にまとめている。手法といっても,様式を埋めていけば戦略ができるというフいわゆるフォームレベルの話ではないので、本書をそのままマネジメントツールとして使うことはできないが、本書を熟読すれば、フォームを作れるだけの情報は含まれている。そういう意味での実用書であるとともに、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)が手がけた戦略的アウトソーシングの経験から得られた知見を、日本型アウトソーシング、および、アウトソーシング成功の秘訣という2章でまとめてある。読んでみるとなるほどなと思うことが多い。この意味でも実用的である。

 また、概論のところでは、M&A(買収/売却)とアウトソーシングの具体的な比較が述べられている。簡単な解説であるが、この議論は触れている書籍が見当たらず、参考になる。

 さらに、コラムという形で、モデルケースが取り上げられている。ダウケミカル、AMP、デュポン、テキサス・インスツルメンツといった企業のケースである。このケースは簡単なものであるが、本書の説明されている手法を理解する上では有益である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第6回 アウトソーシング戦略 より)

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アウトソーシングの究極的な目的とは

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 アウトソーシングの究極的な目的はES(従業員満足)であり、それが、CS(顧客満足)を生み出す。ESを生み出すためには、仕事をできるだけ得意な人、好きな人にやらせるに限る。そして、そのためには、作業のレベルで見て、適材適所、適材がいない部分の作業についてはアウトソーシングすべきである。それが企業力の強化になる。また、その結果として企業レベルのアウトソーシング戦略も定まる。これが本書の主張である。本書は、この主張を、ミッションに基づいたESという部分に焦点を当てて、展開している。本書では、ベストプラクティスとして多くの事例を挙げているが、もっとも重要な事例としてあげているのが明確なミッションの下で、従業員がやりたい仕事をしているマイクロソフト社の事例である。

 本書の主張は、米国のようなPEO(Professional Employer Organization)が存在しているという前提であるが、日本でそのような企業が生まれるかどうかは微妙なところであろう。しかし、アウトソーシングを突き詰めていくと、やはり、行き着く先はこの議論かなと思う。しかし、マイクロソーシングという議論はアウトソーシングという側面では業務遂行の議論である一方で、人事の領域の話でもある。その境界にあるという意味で、新しい人材マネジメントのあり方と言えるが、逆に業務遂行上の理由というだけの理由でここに到達するのは難しいともいえる。やはり、業務遂行の理由と人事上の理由のバランスが重要になってくる。その意味で、業務部門の人はもちろん、人事部門の方にも是非読んでみて欲しい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第6回 アウトソーシング戦略 より)

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紙の本アウトソーシングの知識

2001/09/12 20:16

アウトソーシングの戦略的な活用方法について、平易に解説した入門書

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 アウトソーシングという概念は分かったようで、よく分からない概念である。それは財務的な理由により生まれてきたものが、どんどん、戦略的な色合いが濃くなってきたことによるところが大きいと思われる。そして、適用分野によってその発展度はさまざまである。アウトソーシングという言葉を聞いたことがないという人も少ないだろうが、どういうことか説明を求められたときにポイントを押さえた説明が出来る人も少ないのではないだろうか?しかし、eマネジメントの中では、必須項目の一つである。

 本書は、アウトソーシングの戦略的な活用方法について、平易に解説した入門書である。本書ではまず、アウトソーシングとは何かを解説した後に、戦略的に活用するとはどういうことなのかを概論している。その後で、人事分野、情報システム分野、物流分野、生産分野において、具体的にどのように展開すべきかを事例を交えて解説するとともに、実践の際に発生しうるトラブルについて指摘し、その対処法のヒントを与えている。

 あまり詳しくは言及していないため、本書を読んでいきなりアウトソーシングに取り組むというのは難しいと思われるが、冒頭に述べたように、アウトソーシングについて断片的に持っている知識を体系的に整理し、不足部分を補うためにはもってこいの1冊である。eビジネスのマネージャーの方には必読書であろう。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第6回 アウトソーシング戦略 より)

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アウトソーシング戦略を立案される方に読んで戴きたい1冊

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 本書では、今までの「所有」が有利な時代は終わり、これからは「利用」が有利な時代であるということをバブルの崩壊の後のさまざまな社会現象を引き合いにして主張している。その上で、企業経営の中では、「利用」のうまさが経営成果に直結するとし、トヨタを始めとする優良経営企業で如何に「利用」が行われているかを紹介している。

 また、これからの企業の経営の着眼点として、「たくみ」、「ひらめき」、「お客をきわめる」、「しくみ」の4つのキーワードをあげ、それぞれに中小中堅企業の実例を上げている。そして、その中で「利用」がどのように位置付けられているかを解説している。また、新しいビジネスのトレンドとして、ユーザに「利用」を提供するビジネスに注目し、レンタル、アウトソーシングビジネス、代行ビジネスなどの例をあげて、今後の優良ビジネスであるとしている。

 アウトソーシングを考えるときに、「利用」という視点でモノを眺めることは必須であろう。何をアウトソーシングすればよいか、アウトソーシングによってどのようなビジネスが可能になるかなど、いろいろな着眼点が本書から得られる。本書は、アウトソーシング戦略を立案される方に、インプットとしてぜひ、読んで戴きたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第6回 アウトソーシング戦略 より)

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紙の本経営革命大全

2001/09/12 19:47

経営イノベーションを指向する人にとっては創造力を刺激される良書

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 経営イノベーションを理解する一つの方法は、人や企業に注目することであろう。本書のように著名な企業家や学者が残してきた足跡を振り返ることはイノベーションの本質を知る上で非常に有意義なことである。何よりも、経営学の読み物として異彩を放っており、読んで面白い本でもある。

 本書はアメリカ企業の革新者と企業活動の思想家の2部に分かれている。アメリカ企業の革新者では、発明(=研究開発、ホイットニー、エジソン)、製造の革新者(マコーミック、カーネギー、フォード)、販売の革新者(スチュアート、シアーズ)、運送の革新者(ヒル、ハリマン)、通信の革新者(モース、コーネル、ベル)、金融の革新者(グールド、モルガン)という風にそうそうたる企業家の活動の概要が10ページ程度ずつにまとめられている。また、思想家では、エフィシエンシー(テイラー、ギルブレス)、オーガニゼーション(ディラント、スローン、バーハード)、モチベーション(メイヨー、マズロー、ハーズバーグ)、リーダーシップ(マキアベリ、フォレット、マグレガー)、クオリティ(デミング、ジュラン、大野耐一)、マネジメント(ドラッカー)というこれまた、そうそうたる学者や実務家の思想をやはり10ページ程度にまとめてある。この面々の業績を合わせれば経営学になるといっても過言ではなかろう。この本の良いところは、彼らがイノベーションを起こしえた背景をきちんと押さえてあることであり、経営イノベーションを指向する人にとっては創造力を刺激される良書である。

 なお、同様に思想家だけに焦点を当てた本に『経営革命大全』がある。この本も経営イノベーションを起こした79人の「グル」たちの思想をまとめた本である。本書で取り上げられている思想家はほとんど、『経営革命大全』でも取り上げられている。『経営革命大全』の方がより手短にまとめられているので、本書を読む前にまず『経営革命大全』で思想のエッセンスを知っておくのもよいかもしれない。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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一人歩きしそうなイノベーション手法を集め、本質的な問題解決を行うにはどうしたらよいかを語った経営書

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 いろいろなソリューションというのは一人歩きすることが多い。一人歩きしそうなイノベーション手法を集め、それが実際に一人歩きしている事例を紹介し、その手法に対する疑問を投げかけた上で、その手法を適用したい問題の本質がどこにあるかを分析し、本質的な問題解決を行うにはどうしたらよいかを語った経営書である。

 一例をあげると、フラットな組織。著者のマッキンゼーにおける経験よりフラットな組織などはありえないとこき下ろしている。その上で、諸悪の根源がヒエラルキーにあるという認識がそもそも間違いであり、要は責任と権限を考えてみた場合に、諸悪の根源になるヒエラルキーではその配分がおかしく、ヒエラルキーとして機能していないからだと指摘。その上で、そのバランスをきちんと設計すれば、ヒエラルキーはあった方がよいと主張している。

 本書は一見イノベーションなんか必要ないという風に読める。しかし、よく考えてみると、すべて「現状から変える」にはどうするかという議論をしていることになる。そのときにコンサルティングファームのように手法ありきではだめでよく問題の本質を見極めなさいといっているわけである。まさに、イノベーションを引き起こしていくためのもっともポイントになる部分であり、これから経営革新を企む経営者は、まず、横文字ばかりのビジネス書の前に本書を手にとって見るべきであろう。

 この本は、ビアスの『悪魔の辞典』のパロディーの形をとっており、読んでいて非常に爽快である。1章で1つのソリューションを扱っている(ビジョン、企業文化、ミッション、エンパワーメント、…)が、そのソリューションがいかに役に立たないかという展開をしている部分の口上は芸術的でさえある。訳者の苦労も並大抵ではなかっただろう。それゆえに、その後にくる、「だからこうすればよい」という部分がよりインパクトがある。

 よく似た本に昨年出版された『こんな経営手法はいらない』がある。こちらは経営手法を導入したときに陥る失敗の分析の方に重点がおかれている。この本も併せて読んでみるとよいだろう。悪魔の辞典のビジネス版ということでは、山田英夫氏の『ビジネス版 悪魔の辞典』がある。こちらは現場で起こっていることに焦点を当てている。これらの本はやはり、批判や風刺を面白がるだけではなく、その意味を深く考えて見て初めて読む価値がある本だろう。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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紙の本e生産革命

2001/09/12 19:19

SCMの導入方法についてコストマネジメントを統合の切り口に解説

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 生産におけるイノベーションというとやはりサプライチェーンマネジメント(SCM)が代表的である。サプライチェーンマネジメントに関する書籍は数多くあるが、ほとんどは情報化の視点で扱った本である。これに対して、本書では、SCMは単一目的ではなく、従って情報化の問題として扱ったのではうまくいかない、経営戦略や事業戦略とどのように統合していくかを考えなくてはならないという主張のもとで、SCMの導入方法について解説している。

 本書では統合の切り口として、コストマネジメントを考えている。つまり、従来から経営戦略とコストマネジメントの統合ツールであった原価企画を使い、サプライチェーンの中で原価の作りこみをしていくと同時に、情報技術を使って分単位での利益を追求していくという方式を提案している。それによって、原価企画そのものの効果も増すことが期待できるとしている。

 本書で提案している考え方そのものはそれほど複雑なものではないが、内容的には生産管理実務の話であるので結構、煩雑である。本書の特徴はこの煩雑な内容を例題を使って説明をしていることと、ケーススタディの章を設けて、いろいろなパターンをケースとして説明している点にある。特にケーススタディーの方は本書で提案している方式を直感的に理解するのに非常に役立つ。もう一つの特徴は、方式だけではなく、導入に際してのプロジェクトマネジメントまで言及している点である。本書の方式のSCMを導入するために十分な情報といえるほど詳しくはないが、留意点などポイントを押さえて書いてあり、ヒントとしては十分である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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アーサー・アンダーセンが持つ人材イノベーションの方法について解説

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 経営イノベーションの中で、落とし込みの最後は人材であり、また、最も難しいのも人材イノベーションではないかと思われる。本書は、人材マネジメントのイノベーションについて、アーサー・アンダーセンが持っている人的資本という考え方に基づくマネジメント手法ヒューマン・キャピタル・アプレイザルに則って、人材イノベーションの方法について解説した本である。人的資本という考え方自体は一般的な考え方であり、人間が身につけている知識・技能を指す言葉である。ヒューマン・キャピタル・アプレイザルは人的資本の価値を高め、そこから生まれる成果を最大化するための手法である。

 本書はそのフレームワークを一冊の本として紹介している。内容的には、人事制度の戦略への適合度、運用コスト、従業員価値のバランスを分析するフィット・バリュー・コスト分析、アンダーセンのコンピテンシーモデルであるナイングリッド・コンピテンシーモデル、ミッショングレードに基づく人事制度、ストック・オプションを長期報酬とする人事制度などを中心とするソリューションパッケージについて、その基本となる考え方を解説している。

 本書はアーサーアンダーセンに人事コンサルティングを依頼しようとする人はもちろん必読であるが、このフレームワークそのものが、人材資本の扱い方のフレームワークとして一般性があるように思える。特に、これからの経営イノベーションの中での人事フレームとして、人的資源ではなく、人材資本という考え方は必須であり、人材を資本として扱うというのがどういうことかを理解するにはもってこいの一冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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ハイテク製品設計のイノベーションを詳細に解説

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 プロセスイノベーションの中で意外と目立たないのが設計のイノベーションである。目立たない理由は重要性が小さいからではない。一般論が難しいからであろう。しかし、ちょっと考えてみれば分かるように、設計をしない限り、モノはできないし、製品ライフサイクルの中で考えてみても設計プロセスの占める比率は大きく、当然、経営を革新するためにはイノベーションが求められる部分である。

 このような中で、本書ではいわゆるハイテク製品設計として、高周波数のアナログ設計、デジタル設計、ソフトウエア設計の3つの分野を取り上げ、その設計プロセスがどのように変化してきているかを詳細に解説している。

 本書では、まず、これらの製品開発プロセスがどのように変化してきたかを、その背景とともにレビューしている。特に、デジタル化とソフトウエア化による製品の複雑性の増大、およびLSI化による設計方法論の変化の2つの要因により、開発プロセスがどんどん大規模化し、従来、テクノロジーの組み合わせで出来ていた製品が、マネジメントなしではできなくなってきていることを強調している。そして、そのマネジメントには、製品開発に与えられる時間が短縮してきたためイノベーションが求められていることを指摘している。本書が主張するイノベーションは設計プロセスのコンカレント化であり、アナログ設計、デジタル設計、ソフトウエア設計のそれぞれでコンカレント化がどのように行われているかを詳細に解説している。

 本書はビジネス書とは少し趣が異なるので、一般のビジネスマンには読みにくいかもしれないが、製品開発マネージャー、設計マネージャー、設計エンジニアには面白く読める本である。特にソフトウエア開発の部分は、ハードとの対比で解説がされており、よくあるソフトウエア開発プロセス本にはない視点がたくさん盛り込まれている。ソフトウエア設計エンジニアの方には特にお薦めしたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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