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好川 哲人さんのレビュー一覧

投稿者:好川 哲人

41 件中 16 件~ 30 件を表示

組織を変えなくてはと考えているマネージャーにお薦めの一冊

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 経営イノベーションの中での組織の変革には二種類ある。一つは仕組みのイノベーションを行い、その仕組みを実現するために組織を変革することである。もう一つは、組織そのものを変革に対応できるように変えることである。もちろん、この2つは厳密に線を引きにくいところはあるが、前者がイノベーションの実現手段の一つとして組織を見 ているのに対して、後者は組織そのもののイノベーションということになろう。

 本書は後者の組織そのものにどのようにしてイノベーションをもたらすかを解説している本である。本書では、組織イノベーションには構造転換レベルと業務処理レベルの2つの視点が必要であると主張している。本書でいう構造転換レベルとは、外部環境、ミッション、リーダーシップ、文化、戦略といった組織の基盤になっているものである。そして、業務処理レベルとは、組織構造、マネジメント慣行、従業員モチベーション、ビジネスシステム、職務適合性といった日常業務のよりどころになっているものである。本書では、どういう変革をしなくてはならないかを考え、この2つの視点のどちらかを選ぶことから組織イノベーションが始まると主張している。

 本書は組織イノベーションに成功した11社をとりあげ、それぞれのレベルでのさまざまな要因の変革を、どのように行っていったかをケースを通して紹介している。このケースは読みやすい上に、含蓄があり、示唆に富むものが多く、また、即座に実践できるアイディアもたくさん含まれている。また、読んでいるうちに、自然に法則性のようなものが見えてくる。組織を変えなくてはと考えているマネージャーの人にはお薦めの一冊である。
(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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情報化の本質がどこにあるかを考える意味でお薦めの一冊

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 流通業におけるビジネスモデルイノベーションを扱った本である。著者は新進気鋭の経営学者であり、長年の調査研究に基づき、一般のビジネス書には見られないような深い考察を非常に分かりやすく説明しており、一読に値する。

 この本では、セブンイレブンに代表される「本部で創造される知識に加えて、顧客や店舗が生み出す知恵や知識を組織全体に還流させ、活かしながら成長を図る仕組み」をデマンドチェーン経営と呼んでいる。そして、デマンドチェーン経営への移行に成功した企業は、取引制度、営業、組織、コミュニケーション、物流の5つの側面でイノベーションを行っていることを指摘している。

 本書で調査対象にしている企業は、基本的にはセブンイレブンとしまむらというある意味で正反対のチェーンオペレーションをしている2社である。この2社について、上の5つのイノベーションをどのような形で引き起こしているかを詳細に調査し、解説している。また、それぞれのイノベーションについて、特に面白い取り組みをしている企業をスポットで扱っている。たとえば、ユニクロやダイカの営業イノベーション、マツモトキヨシの物流イノベーション、フレスタの組織イノベーションなどである。

 この本はセブンイレブン、しまむらの事例を読んでいるうちに、この10年くらいの間に流通の世界で何が起こったかを理解できる本である。また、最後の章にセブンイレブンやしまむらという一世を風靡しているモデルの次世代モデルということでCVSベイエリアやデオデオの取り組みが紹介されている。本書を読むことによって、これらの取り組みの「意味」が非常によく理解でき、おそらくこれからの5年間に何が起こるかもある程度理解できる。流通業界でビジネスをしている人にはぜひ、一読をお薦めしたい。また、システムインテグレーターにも、情報化の本質がどこにあるかを考える意味でお薦めの一冊である。

 なお、この本の元になっているのは、小川氏の学位論文で、『イノベーションの発生論理』である。本書を読んで興味をいだいた方は、ぜひ、こちらも手にとってみて戴きたい。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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経営者、経営管理者必読の経営イノベーションの実務書

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 経営イノベーションの実務書を1冊だけお薦めするとすれば、この本である。内容的には、 ADLが行っている経営イノベーションのコンサルティングのフレームワークを解説した本であるが、十分に一般性があると思われる。この本では、経営イノベーションは顧客価値、製品・技術、オペレーションの3つのレベルのものがあり、この3種のイノベーションにより、企業としての競争優位をどのように実現していくかを見出していくことが必要であると主張している。そして、それを進めるに当たって、認識の壁、判断の壁、納得の壁、行動の壁、継続の壁という5つの壁があり、この壁を乗り越えられるように組織能力を強化していくことの必要性を説いている。

 本書ではこの3つのタイプのイノベーションがどういうものなのかを事例により紹介している。事例の数はそれぞれのタイプに対して20以上に上るが、これらの事例には、それぞれのイノベーションが生み出された背景が簡潔に説明されており、ベストプラクティスとしても使うことができるだろう。

 また、5つの壁を打ち破るという部分では、企業がどうして変われないのかということをかなり詳しい事例で説明しており、この部分は読み応えがある。その上で、主に変革型リーダーシップや組織文化の観点からそれぞれの壁をどう乗り越えるかを提案している。
 最後にそれらを踏まえて、経営イノベーションの進め方を示している。340ページ強の本であるが、隅から隅までみっちりとADLの持つ経営イノベーションのノウハウが詰め込まれたような本である。経営イノベーションの推進に当たってADLのフレームワークを受け入れるかどうかはともかく、一般論としても非常に参考になる本であるので、経営者や、経営管理者の方は必読の一冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第5回 イノベーションと経営革新 後編 より)

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イノベーションとは何かを改めて考えさせられる本

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 ハメルの主張は、真の革新(イノベーションではなく、レボリューション)とは、製品やサービスを多く売れるようにすることではなく、ビジネスコンセプトのイノベーションを創出することだと主張している。ビジネスコンセプトのイノベーションは、企業だけではなく、その業界をも変革することになり、その例として、1984年の創業以来、ラディカルなビジネスコンセプトを何度も作り直してきたエンロンというガス卸売りビジネスを営む企業を上げている。本書はハイテンションのままで最初から最後まで一挙に最後まで読み進んでしまえる本であるが、あえて山場を上げるとすれば、このエンロンの分析の部分である。継続的イノベーションの継続は技術の場合だけではなく、ビジネスコンセプトでも必要なことを力説している。そのような視点から、イノベータとしてAOL、amazon.comのような新興のネット企業だけではなく、エンロンのような「年齢を重ねた革命家」が価値があることを主張している。

 この本はとにかく文句なしに面白い。400ページにも渡る大書であるが、ハメルのウイットに富んだ主張は多くのビジネスパーソンをどんどん引き込んでいくだろう。また、ハメル自身、読者を革命家として鼓舞しようとしているようにも思える。すべての人に読んで貰いたい本である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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イノベーションによる競争優位の確立を考える上で最高に示唆に富んだ本

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 イノベーションの目的は、差別化による競争優位を確立することである。本書はイノベーションによる競争優位の確立という課題を考える上では最高に示唆に富んだ本である。
 従来、競争優位の確立という点では、基礎的な技術に代表される「技術」がもっと有力であると考えられてきた。ところが、最近起こっていることをみると、そうとはいえない現象が多い。本書はそのような現象の分析を中心に、イノベーションによる競争優位が、技術だけではなく、ビジネスモデルにおいて重要であることを示唆している。

 本書が指摘するのは、技術(製品)におけるイノベーションは非常に目立ち、派手であるが、それゆえにリバースエンジニアリングなどの手法により持続的な競争優位という点では大きな力にはならない。逆にビジネスモデルは地味であり、いつのまにか出来ているが、一旦出来上がってしまうと真似をすることは容易ではないということである。その意味で、イノベーションはビジネスモデルにおいて創出された方が経営的な有効性が大きいことを著者独特の平易、かつ説得力のある文章で教えてくれる。また、ビジネスモデルを構築する上でのコンセプトの重要性についても丁寧に説明してくれている。

 昨今、ビジネスモデルブームであるが、多くの「ビジネスモデル本」はアイディア集のような趣で、意外にもビジネスモデルを構築する本来の目的である「競争優位性」との関係に言及している本は少ない。本書はその数少ない中でも卓越した1冊である。

 イノベーションと経営革新の関係について興味がある人は、ぜひ、読んで戴きたい1冊である。

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新規事業を創出するための戦略論を提示

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 本書は企業において、新規事業が創出される過程を産業創出、技術進化サイクル論と呼ぶサイクルにより説明し、新規事業を創出するための戦略論を提示しようとしている。本書は3部に分かれており、第1部では液晶ディスプレイなどの事例分析を通して、産業創出過程の理論化を行っている。第2部では、その理論を事例適用し、検証している。事例は産業創出と事業創出に分けて行っており、前者ではトヨタ、NECなど、後者ではテルモ、クボタ、旭化成などの企業を取り上げている。また、デジタル産業ということに特化した検証も行っており、三菱化成のメディア事業、東芝の半導体事業、NTTのデジタル通信事業などを取り上げてサイクル論の有効性を検証している。第3部では、これらの分析に基づいた事業創出戦略論を展開している。

 本書は、科学技術と経済の会という社団法人の「リサーチ・オン・リサーチ研究会」という研究会のレポートであり、若干、文脈が分かりにくい部分がある。しかし、分析、検証とも非常に豊富に事例を取り扱っており、一読に値する。また、イノベーションを生み出す上で不可欠な技術や事業発展のシナリオ作りを行う際にも参考になる書籍であるので、技術戦略の立案をしなくてはならない立場の人にはお奨めしたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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経営革新案を作る際に頼りになる一冊

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 「経営革新案を作れ」、「新しい事業を計画しろ」といわれても、じゃあということでさっと動ける人は、まず、いないであろう。そういうときに頼りになる一冊がこの本である。

 イノベーションというと、知恵を絞って新しい考えを生み出すことのように思える。しかし、現実には、昨日言われて今日できるようなものではなく、かなり、長いプロセスを必要とするものである。本書は、このプロセスの概要とプロセスを構成するのに必要なことを、S(戦略)、P(プロセス)、R(資源)、O(組織)の4つの領域に分けて、一通り説明してある。まず、Sでは特にビジョンの元になる産業シナリオを作る重要性を主張し、シナリオつくりの具体的な方法について解説している。また、ビジョンに基づく創造的な戦略策定の方法についても1章を割いて解説している。Pでは意思決定支援のためのインテリジェンス活動、アイディア創出マネジメントといった創造活動の進め方について解説している。Rでは、コア技術と技術資源管理の方法、および、技術棚卸による技術資産の評価・確立の具体策について説明している。また、Oの部分では、研究開発組織のあり方、継続的製品開発のための組織体制のあり方について具体的に言及している。

 手法そのものは、アーサー・D・リトルの手法の紹介のようであるが、きちんとした経営マネジメントが確立されていれば、自社で独自に使うことのできるレベルまで具体的に記述されている。冒頭のような状況に陥ったら、ぜひ、手にしてみて欲しい。

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優良な企業がどのようにイノベーションの取り組んでいるか

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 本書は3M、デュポン、GE、ファイザー、バラーメイドの5社のテクノロジーマネジメントのケースブックである。

 本書では、最初に著者たちの行った優良な企業がどのようにイノベーションの取り組んでいるかというディスカッションが収録されており、その後に、上の5社のケースが収録されている。この議論では、優良な企業では、イノベーションが製品やサービス以外でも創出されており、かつ、それが継続的に行われていることが指摘されている。また、発生源としては顧客が多く、さらに、イノベーションを生みやすい組織の風土としては失敗を許容するオープンな風土であるといったことが指摘されている。

 ケースに取り上げられている5社はいずれも技術イノベータとしてはトップレベルの企業である。面白いのは、これらの企業のケースを企業の役員クラスの人のセッションとして構成していることである。テキストブックだとほぼ、同じような表現になるところが、生々しい言葉で語られており、一読に値する。例えば、結果として失敗を許容する環境を作っていても、その方法は各社でさまざまであるし、考え方もさまさまである。この辺りを注意深く読み比べていくと面白い。

 本書はビジネス書ではあるが、あまり、読みやすいとはいえない。しかし、内容は非常に深く、特に研究開発部門のマネージャー、研究者などにはお奨めしたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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イノベーション創出についてその方法論を議論した本

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 まず、著者に注目して欲しい。野中郁次郎先生は、知識経営の提唱者であり、山下義道、小久保厚郎、佐久間陽一郎の3氏はアーサー・D・リトルのコンサルタントである(出版当時)。本書はこの4氏がそれぞれ、1章ずつ分担して執筆されている。

 本書の問題提起は、イノベーションが偶発的に生み出される時代から、マネジメントにより組織的に生み出される時代を迎えている中で組織的な対応ができていないことである。本書でいうイノベーションカンパニーとは「過去の経験を超えて、革新的戦略、製品、技術、業務プロセス、斬新な企業形態などの新機軸を掲げ、継続的に飛躍的な発展を遂げている会社」である。その中で、重要な役割を果たすのが知識創造であり、その視点からのイノベーションの促進要件として、「ナレッジビジョン」、「ナレッジ戦略」、「組織のゆらぎ」、「自在な組織」の4つを上げている。これらの実現するための技術マネジメントの手法、製品開発の手法、企業風土の作り方について解説している。

 イノベーション創出についてその方法論を議論した書籍は意外とすくない。ほとんど、創造性といった個人の領域の議論になるためである。本書は1997年の出版であるが現在でも類書は多くない。その意味で、貴重な1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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イノベーションプレミアムという概念は非常に分かりやすくまとめた本

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 イノベーションプレミアムという概念を中心に、次世代のイノベーションがどのように引き起こされていくかに焦点を当てた本である。内容はアーサー・D・リトルの考え方を紹介したものであり、一般論とはいえないが、普遍性は極めて高いように思われる。

 本書でいうイノベーションプレミアムとは、イノベーションを生み出す力を持つ企業に対してステークホルダがプレミアムを以って応えるという意味であり、本書ではイノベーションこそが、企業価値の最大化にとってももっとも重要であると前提で議論している。
 本書はイノベーションプレミアムを実現するためのビジネスモデルや手法について述べている。ビジネスモデルとしては、全社に渡る組織横断的なイノベーションの推進を行うトップマネジメント、技術とコンピテンシーをテコにしたイノベーションの加速の2つを上げている。そして、この2つをプラットホームとし、戦略、プロセス、リソース、組織、学習という5つの領域のマネジメントを精緻に連携させてはじめてイノベーションプレミアムが実現できるとし、そのマネジメントの方法論を具体的に提示している。

 本書の要点をかいつまんで言えばそのようなものであるが、本書の説得力のある点は、基本的に主張している内容はアーサー・D・リトルの手がけたコンサルティング事例を引きながら説明されていることである。イノベーションプレミアムという概念は非常に分かりにくい概念であるが、事例のおかげでこの本の中では分かりやすくまとまっている。

 本書は技術開発型の企業の経営管理者にお奨めの一冊である。また、これからの企業経営に携わる経営者にもぜひ、読んでいただきたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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イノベーションは単に技術開発だけでは成り立たないことが理解できる

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 本書が最近のイノベーションブームの火付け役と言ってもよいであろう。本書を読むと、イノベーションというのが、単に技術開発だけでは成り立たないことを容易に理解することができる。

 本書では、新しい技術の誕生により、優良企業の中で戦略的なジレンマが起こり、優良であるがゆえに小さな市場においそれと出て行くことができず、気が付いたらその市場が大きくなっており自社製品の市場を侵食しているという現象を、事例に基づき、そのメカニズムを徹底的に分析している。このような現象を引き起こす技術を著者は破壊的技術と呼んでいる。本書の中で中心的に取り上げられている破壊的技術はハードディスク技術、、掘削技術の2つである。この2つの事例については非常に詳細に書かれており、読み物としても面白い。例えば、ハードディスクでは、8インチから5.25インチ、そして3.5インチへの推移と、そのハードディスクを主に使うメインフレーム、ミニコンピュータ、パーソナルコンピュータの推移を関係付けて、ハードディスクメーカがそれぞれの時期にどのように振舞ったかを分析してある。主張自体、非常に明快で、かつ示唆に富んでいる。

 技術イノベーションを中心にして、経営革新を図ろうとしている企業の経営者、ベンチャー企業の経営者、これらの支援をするコンサルタントの方にはぜひお奨めしたい一冊である。

 最後に、本書で発見されたことをさらに詳しく分析した書籍があるので書名だけ紹介しておく。イノベーションのジレンマを読んで面白いと感じた方は、ぜひ、こちらも読んでみていただきたい。咲川孝『組織文化とイノベーション』。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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戦略策定の業務に携わる人には業種を問わずぜひお奨めしたい一冊

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 イノベーションのイメージがつかめていない人は、まず、この本を読んでみて欲しい。イノベーションには企業としての役割と社会としての役割の両方があるが、この本はこの点を踏まえながら、イノベーションとは何かを分かりやすく説明している。

 本書の構成は、日本経済の成長の中におけるイノベーションに対する問題提起から始まり、次にイノベーションとは何かを解説している。そして、イノベーションが日本の産業発展の歴史の中でどのように行われてきたかを戦前と戦後に分けてたどっていき、システムとして捉えた場合にアメリカとどのような違いがあるかを解説している。そして、最後に日本のシステムをどのように変えていくのかを、主に、産業施策、および技術政策の視点から議論している。

 イノベーションストーリーというのは、わくわくするものである。本書は、技術イノベーションとは何かを、全て事例を使って説明しており、ストーリーを楽しみながら技術イノベーションに対する理解ができるという一石二鳥の本である。

 内容的にも、ドミナントデザイン、イノベーションプロセスの説明をした後、素材型産業と組立型産業におけるイノベーションプロセスの違い、最近、クリステンセンのイノベーションのジレンマで注目されている安定ビジネスへのイノベーションの侵入方法、工程イノベーションにおける技術の役割の解説など、企業経営の実践に必要なイノベーションの知識を網羅的に扱っている。

 さらにこのあと、まとめ的に、企業経営、特に経営革新の中で技術イノベーションにどのように取り組み、その成果をどのように活かしていけばよいかを解説している。

 この本はMITのMBAコースで技術管理論のテキストに使われており、この本を1冊読めば、技術イノベーションの基本的なプロセスを理解でき、ビジネスの中にどのようにイノベーションを活かしていけばよいかが分かる絶好のテキストである。製造業など技術を中心にした経営戦略を持つ企業の経営管理者はもちろんのこと、扱われている事例は経営戦略を考える上でも示唆に富んだものが多く、戦略策定の業務に携わる人には業種を問わずぜひお奨めしたい一冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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紙の本イノベーションと日本経済

2001/09/07 17:41

イノベーションの基本書

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 イノベーションのイメージがつかめていない人は、まず、この本を読んでみて欲しい。イノベーションには企業としての役割と社会としての役割の両方があるが、この本はこの点を踏まえながら、イノベーションとは何かを分かりやすく説明している。

 本書の構成は、日本経済の成長の中におけるイノベーションに対する問題提起から始まり、次にイノベーションとは何かを解説している。そして、イノベーションが日本の産業発展の歴史の中でどのように行われてきたかを戦前と戦後に分けてたどっていき、システムとして捉えた場合にアメリカとどのような違いがあるかを解説している。そして、最後に日本のシステムをどのように変えていくのかを、主に、産業施策、および技術政策の視点から議論している。

 今回は、イノベーションを経営という視点から捉えている。しかし、技術イノベーションの場合、本書で指摘されているようにイノベーションの結果生まれた技術により誰がもっとも利益を得るかと考えた場合、イノベーションを創出した企業が得る利益より、業界が得る利益の方がはるかに大きいケースが多い。つまり、ある革新的技術により当然その技術を生んだ企業は製品化や特許ロイヤリティで大きな利益を得るが、競合企業群が類似技術やライセンス製品により得る利益の方がもっと大きいのが普通である。イノベーションとは本質的にこのような社会性を持っている。大規模な技術開発が国の主導で行われているのもこのような背景によるものである。この点は経営イノベーションを考える場合にも見落としてはならない視点である。本書は視点をイノベーションの知識のない人にも分かるように解説してある本であるので、ぜひ、一読をしていただきたい。また、イノベーションの基本的なことを書いた本は意外と少ない。本書は2章の20ページほどで、イノベーションの基本概念を過不足なく説明しているので、初心者にはこの部分だけでも価値がある。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第4回 イノベーションと経営革新 前編 より)

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コンピテンシーマネジメントの導入、運用を計画している人の参考書

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 スコアカードという概念が注目されるようになってきている。キャプランとノートンは「バランス・スコアカード—新しい経営指標による企業変革」で、組織は、財務的視点、顧客の視点、社内ビジネス・プロセスの視点、学習と成長の4つの領域で評価尺度のバランスをとれば効率的な業績の管理を行うことが可能になると主張しているが、本書の提案するパフォーマンス・スコアカードは、成果領域の数そのものをマネジメントとして決めていく方法を提唱している。

 本書では、書籍全体が、パフォーマンス・スコアカードによりマネジメントサイクルである(1)情報収集、(2)スコアカードの作成、(3)掘り下げ、(4)細分化、(5)連結、(6)確認のサイクルをネットワークベンダーを舞台にして、コンサルタントが指導しながら進めていくというケースとして構成されている。そこで行われている議論は非常に汎用的な議論であり、また、読み物としても面白い。

 コンピテンシーマネジメントを実行していく際の最大の課題は、いうまでもなく個人のパフォーマンスの測定をどのような形でやっていくかである。かつ、遠藤仁氏がコンピテンシー戦略の導入と実践で主張しているように業績とリンクしていくとなると、やはり、スコアカードという方法が最も現実的であろう。上に述べたようにパフォーマンススコアカードはバランス・スコアカードよりは一層、コンピテンシーとの相性がよいと思われる。
 その点も含めて、コンピテンシーマネジメントの導入、運用を計画している人に、参考書としてお薦めしたい1冊である。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第3回 ビジネス戦略:コンピテンシーモデルにより人間系を作りこむ より)

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具体的なコンピテンシーモデルを多くの職種、職制に渡って掲載

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 コンピュータソフトウエアの解説本では、米国人の書いた本はすみからすみまで徹底的に解説してあるのに、日本人が書く本はよく使いそうなところだけをまとめた本が多い。実際に市場が求めるものもそういう本であろう。

 コンピテンシーについても同様である。英語の本では、実際のコンピテンシーモデルのサンプルを書き並べた書籍が結構出版されているが、日本では概念の解説本がほとんどである。その中で貴重な例外がこの書籍である。この書籍はコンピテンシーの一般的な記述は必要最小限にとどめ、具体的なコンピテンシーモデルを多くの職種、職制に渡って掲載している。取り上げられている職種は営業、生産(システム開発)、研究開発、人事、総務、財務、経理、経営企画、顧客サービス、テレマーケティング、購買・調達、内部監査であり、それぞれについて、一般職および管理職用に8レベルのコンピテンシーモデルが掲載されている。それぞれの平均的なコンピテンシー項目は10程度である。社内で自力でコンピテンシーモデルを作ってみる場合に使えることはいうまでもないが、一見は百聞に如かずで、初心者がいきなりこの本を読んでみるのもよいかもしれない。

 この本のもう一つの特徴は業績評価とコンピテンシーマネジメントを結びつけようとしていることで、具体的には今、流行のバランススコアカードとの併用を薦めており、具体的な方法を解説している。これについては賛否両論があろうが、少なくともコンピテンシーは企業業績に結びつかないと気持ち悪いと考えている人は一読の価値があろう。

(技術士好川哲人の「eマネジメントの本質」第3回 ビジネス戦略:コンピテンシーモデルにより人間系を作りこむ より)

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