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伊佐治祝さんのレビュー一覧

投稿者:伊佐治祝

27 件中 1 件~ 15 件を表示

或る家族の日常。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 あの本が読みたい、ふと思いつくことがある。そういう時は大概夜遅い時間だったりするから、始末が悪い。買ったのは間違いない、けれどどこに置いてあるのかが分からない。そのまま諦めて眠ろうにも、目が冴えてしまってどうしようもない。結局ふとんから起き出し、本が置いてある部屋でひとり黙々と家捜しすることになる。
 幼い頃に両親を事故で亡くした海が一緒に暮らすのは、義姉のあや子。家族の情と恋愛感情の間で揺れるふたりを描いたコミック、それが『旬』だ。主人公の海はまだ高校生。それに対するは、社会人として精力的に活動し自宅ではちょっぴり暴君なあや子。相手のことが好きだというのは、事実。だけど、家族として長年過ごしてきたことがネックになっているふたり。
 先日本の整理をした時に発掘し、今度読み直そうと思い横に除けておいたのだ。カンタンに見つかる、そのはずだったのに。ない、いくら探しても何度探しても…ない。一体どこに行ったんだ?本の整理をしていた過去のわたしよ、どこに仕舞ったんだ?
「あんた、こんな時間に何やっとるの?」階下で床についていた母が、わたしの様子を見にやって来た。床に散乱した本に眉をひそめつつ、「はよ寝んとあかんよ」とひとこといって自分の部屋へと戻っていく。
 家族のカタチは千差万別。わたしには料理上手な義弟もお酒を飲んだ後にみそ汁を所望する義姉もいないが、娘を心配してくれる親はいる。
仕方ない、今日はあきらめるとしよう。…おやすみなさい。

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紙の本福音の少年

2005/09/07 14:12

さぁ、連れていってあげよう。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アパートが全焼し住民9人が焼死した。死亡者の中には、当日外泊していたはずの藍子も含まれていた。偶然難を逃れた幼なじみ・柏木と藍子の元彼氏である永見は確信する。ガス漏れが原因ではない。藍子は何者かに殺されたのだ、と。
わずかな手掛かりを元に、真相を追い求めるふたり。遺された藍子の携帯電話が鳴り響く。犯人は待っているのだ。自分の前にふたりがやって来る時を…。
柏木と永見の共通点は、自分の心の中に巣食う闇を意識していること。亡き藍子の存在を挟んだ、友情というひとことではいい表せないふたりの絆を感じて欲しい。

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紙の本秘密 トップ・シークレット 1

2004/12/26 00:40

何が正しくて何が間違っているのか?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

死んだ人間の脳が持つ記憶を探り、犯罪を解決する糸口を見付ける━━それが科学警察法医第九研究室…通称『第九』の役割。『第九』に配属された青木は、その捜査方法に戸惑いを覚える。
その頃、巷では少年の連続自殺が相次いでいた。手がかりを辿っていくと、そこにはひとりの連続殺人犯の姿が浮かび上がり…。
[『秘密(トップ・シークレット)2001』より]

『第九』の責任者である薪室長と新人・青木の関係、薪室長と死んだ同僚・鈴木のこと、そして、薪室長に対する連続殺人犯の執着…。何が正しくて何が間違っているのか、事件の確信に迫るにつれ段々分からなくなっていく。

薬物中毒者などが犯罪を犯す心理状態というものが、この作品にはしっかり描かれている。ノンフィクション━━連続殺人犯を追ったものや元検屍官の手記、プロファイリングものなど━━を読んでいた時に感じた不安を、この作品からも感じてしまった。

真っ当な精神を持った青木はきっと今後も事件に相対する度、悩んでいくのだろう。だが、彼ならきっと不安に押しつぶされたりはしない。青木の存在は、この作品の『良心』であり『希望』なのだから。

それにしても、『死人に口なし』という言葉が使えなくなってしまいますね、死んだ人間の脳を覗く機械が本当に出来上がったら…。

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紙の本ある死刑囚の性歴 性の報告書

2004/12/12 01:42

時の流れに呑まれるしかなかった、ひとりの青年の短い一生。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

僕は宮城拘置所で最期の時を待つ、死刑囚。法務大臣が書類に判を押せば、明日にでも縄にぶら下がる身の上。…犯した罪は仕方がない。だけど出来ることならば、あと一度、たった一度でいい━━男の谷間に身体を突き立てたい、お尻の穴に誰かの身体を突き立てて欲しい。あの被虐の苦痛と快楽をもう一度味わいたいのだ…。
あとがきと解説によると、これは昭和33年━━著者が悪事を働き宮城拘置所に居たときのこと。死刑囚監房の雑役の仕事をしていた著者は、死刑執行のため主が居なくなった房を整理している時に紙束を見付けたという。そこに書きつづられていたものをまとめ、昭和34年に『泥棒日記』というタイトルで刊行するも1ヶ月で発禁処分。それを今回タイトルを変更して再刊行と相成った。
学童疎開から戻ってきて家族を失ったことを知り、生きるためにヤクザの許で小さい悪事を重ねた、少年・路村。密輸船に売られ、鑑別所や刑務所に入り、やがて殺人を犯して死刑囚となるまでを描いている。そこに介在していたのが同性愛だ。ただ生きるためだけに、堕ちるところまで堕ちてしまった路村。事実を追って淡々と書かれているからか、戦後の喧騒はもちろんのこと路村の上を過ぎていった男達の姿が生々しく感じられる。
時の流れに呑まれるしかなかった路村の快楽にまみれ皮肉に彩られた人生を、あなたには正視して欲しい。

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紙の本花に舞う鬼

2005/07/07 21:18

「あんたら全員、傾(かぶ)き者だよ」

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日舞・風間流宗家の長男・蛍一郎は、天才的な技量を持つが故に次期宗家への道を求められた。日舞と密接な関係にある歌舞伎の名女形・蘭寿郎は、蛍一郎を芸養子にして己の跡継ぎにするという夢を諦め、年子の弟・京二郎を迎え入れる。だが、蛍一郎が「次の蘭寿郎だ」と神懸かり的に告げたのは、風間流の門弟の子供である瑛(あきら)という少年で…。
望んだものほど手に入らず、悶え苦しむほど舞台は華やぐ━━芸に賭ける男たちが繰り広げる世界。その中心ともいえる人物・蛍一郎は、天才であると同時に魔性ともいえよう。苦悩に満ち愛憎に彩られた三代記である。

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二度とは抜け出せぬ世界へ、ようこそ。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『平成の浮世絵師』『耽美浮世絵師』との異名をとる山本タカト氏の第二画集。表紙は紺の布張り。ケース入りの凝った作りです。
わたしが初めて彼の絵を目にしたのは、もう何年も前のこと。表情は能面のように淡々としているというのに全体が醸し出す雰囲気が妙にエロティックで、どきりとした覚えが御座います。
近頃は官能小説などの挿画などもされておりますし、休刊されてしまった雑誌『小説JUNE』などにも何度か作品が掲載されたことがありますので、その独特な絵をご覧いただければ「ああ!」と思う方も多いのではないでしょうか?
彼が描くモチーフによく使われているのは『窓際』『流血』『縄』『異形』…。女性も多く出てきますが、やはり男性同士の絡みの方が、きわどくてそそります。
退廃的で…それでいて官能的な美の世界に、あなたも一歩足を踏み入れてみては如何でしょうか?

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紙の本カオス

2005/11/06 19:55

…みんな空しい夢を追っているんだ。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ここは新宿━━李学英と金鉄治はヤクザも一目置くならず者。そんな彼らが大枚をはたき手に入れた有名中華飯店の前経営者が、何者かに殺された。店の利権と隠された麻薬をめぐり、ふたりは争いに巻き込まれていく。一方、鉄治の恋人である美貌のニューハーフ・タマゴは、街の占い巫女に子供を得ることが出来ると予言される。やがて腹がふくらみ始め、タマゴは自分が妊娠していると確信するのだが…。
 この物語の登場人物たちはみな生きることにどん欲である。金と色と欲が渦巻くこの街で一番強いのは、信じるものがある人間なのかもしれない。

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紙の本おぞましい二人

2004/12/25 23:44

本当に『おぞましい』のは…。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

幼い頃から殺戮への衝動を見せていたハロルドと、酒癖がひどい両親を持ったモナ。大きくなったふたりは出逢い、共に暮らし始める。やがて、彼らは子供達を連れ去っては殺すようになるのだが…。
ハロルドとモナが辿る人生が淡々と描かれている、英語が併記された大人向けの絵本である。
残酷なことのはずなのに、まるでお伽話を読んでいるような錯覚に陥るのは、著者によるシンプルなイラストと無駄を削ぎ落とした訳によるところが大きいのではなかろうか。
だが、本当に『おぞましい』のは犯罪に手を染めていくふたりではなく…この本を読んで「現実にこんなことがあるかもしれない」と思ってしまう自分なのかもしれない。

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紙の本聖なる黒夜

2004/12/12 02:50

複雑に絡み合った糸の先に在る『真実』に、あなたは辿り着けるか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

暴力団の幹部・韮崎が何者かの手によって、殺された。刑事である麻生は、その事件を追うことになる。共に事件に当たることになった警部・及川に連れられ、参考人として韮崎の愛人のひとり・山内に引き合わされる。企業を経営し、そのアガリを韮崎の方へ流していた山内だが、麻生は彼のことを知っていた。10年前に自分が関わった強姦未遂事件の犯人が彼だったのだ。だが、再会した山内にはあの当時の気弱な青年の面影はなくなっていた。韮崎殺しの犯人を追うにつれ、その10年前の事件も浮き彫りになり…。 
ハードカバーで文面は2段組、本文だけで約670ページもある実にボリュームのある本。文庫挟み込みのチラシに書かれたあらすじを読んで興味を抱き、「まぁ、面白くなかったら途中で止めればいいし…読んでみるか」と軽い気持で読み出して…しっかりハマった。
この作品の登場人物は誰もがみな過去に傷を持っており、それが味になっている。殺された暴力団幹部・韮崎と企業舎弟である…山内の関係、捜査一課の麻生と、麻生の大学の剣道部の先輩で…現在は捜四(暴力団関係)を取り仕切る及川との関係。そして、山内と麻生の関係。互いに向ける感情がいびつで…だからこそ、魅せられる。愛情を含めた人間の感情とは、何と愛しくて…それでいて人間を愚かにするのだろうか?
元々、ミステリ(含む謎解き)がニガテでここ数年マトモに手をだしていなかったのだが、この作品はまったく別物だと思っていた事件や人物関係が緻密に繋がっており、ラストまで読み終えて「こう来るとは思わなかった…」と唸らされた。
複雑な人とひととの繋がりを辿ると、最後に真実が見えてくる。かなり重々しい内容で読みこなすのも大変だとは思うが、是非ともその『真実』まで辿り着いていただきたい。

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紙の本ボーダー・ライン

2004/12/12 02:35

愛しているからこそ…。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

刑事・佳也(かや)が知り合ったのは、奇抜な服装に相手を煙に巻くような口調の弁護士・由利。「裁判は最高に面白いゲームだ」という彼を思わず殴りつけてしまう。佳也は何故か由利に気に入られてしまい、由利は佳也の周囲に頻繁に現れるようになる。━━そんな中、佳也の元同僚が死んだ。覚醒剤使用の嫌疑で警察を辞職した男は、後日…錯乱状態で人を刺し、収容先の病院で飛び降り自殺したという。死の前に男は自分に逢いに来た。だが、結局男は自分に何も告げることなく死んでしまったのだ。その事件に警察上層部が絡んでいるのではないか、そう思い至り、ひとりで真相を調べ始めた、佳也。由利はそんな佳也の行動に気付き…。
佳也は大切な人が居るから、その想いを胸にひとりで立ち向かっていけるタイプだ。だがそれは、共に闘いたいと思ってる由利にとってはいい迷惑。置いてきぼりを喰らった上に、自分の知らないところで大切な人が危険な目に晒されるのだ。それが相手の優しさなのだろうが、その優しさが時にはツラい。
『好きだ』『愛してる』…という言葉はシンプルだからこそ用途が広く、ただ時と場合によっては空虚なモノに感じてしまうことがある。だが、このストーリーの中に出てくる愛の言葉は、ラストまで読み切るとより一層重みを増す。
ハードカバーで二段組ではあるが、結構さらりと読めるだろう。この1冊でも充分に読めるが、(時間軸からいって…)こちらをお読みいただいた上に同社刊の前作『グレイ・ゾーン』をお読みいただければ、一層世界観が広まり…いろいろ考えさせられるかと思う。また、ドキュメンタリー『北海道警察日本で一番悪い奴ら』もお勧めしたい。佳也たちが追っていた事件と同様なことが現実に起きているというのは、驚きだ。

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紙の本宦官 側近政治の構造 改版

2005/01/19 22:08

彼らはどう中国史を彩ってきたのか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中国の歴史に長く関わってきた『宦官(かんがん)』という存在をあなたはご存知だろうか? 宮廷に仕えた去勢された者達…それが『宦官』だ。去勢━━というと、中世ヨーロッパで多数存在した去勢歌手『カストラート』を思い浮かべる方も多かろう。
第一章『つくられた第三の性』では、歴史的状況や手術の仕方などから『宦官』の成り立ちが語られている。ここには、中国ではかなり古い時代から男色が存在した、というような記述がある。中国からいろいろ取り入れていた日本で何故『宦官』(去勢者)は生まれなかったのか? 本文でも巻末の解説でも、その答えを明確に示してはいない。
日本では古くから男色が受け容れられていたからであろう、と安易に考えていたのだが、前述したしように中国でも男色があったという事実を考えると、どうやらそれだけではないらしい。
『カストラート』にせよ『宦官』にせよ、現世界にはもう存在しない。しかし、彼らが存在したのは間違いない事実なのだ。

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名作に隠された真実とは?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

挿絵画家である石原豪人氏は、50年以上もの長きに渡り夏目漱石の名作『坊ちゃん』を研究し続けていた。氏の死後、遺稿やインタビューをまとめ上げたのが、この一冊。
石原氏の研究内容とは、『男色』をキーワードに『坊ちゃん』を読み解くというもの。もちろん、原作には一切男色シーンは描かれていない。しかし、石原氏の手に掛かると、坊ちゃん・清・赤シャツ・野だいこ・山嵐・うらなり…といった登場人物の言動が、より明確に浮き出てくるのだ。
文豪が残した名作の新たな一面を、この本をお供に垣間見ては如何でしょうか。

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紙の本STAYリバース双子座の女

2005/01/19 21:18

女と女の友情モノである、とわたしはいいたい。

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大手電器量販店の社長子息であり生徒会長でもある清雅(せいが)は、周囲からも信頼厚い優等生。だが、身体は男だが心は女である━━という秘密を、同級生の少女・エリに知られてしまう。女性用の服装に興味を持つ清雅は、エリから洋裁の手ほどきを受ける。エリの前では己をさらけ出すことが出来るようになっても、清雅の心はまだ満たされぬままだった。それは双子の弟・涼雅(りょうが)の存在が深く関わり…。
男の身体を持ちながら心は女であるということに、清雅は悩み続けている。そして、双子の弟・涼雅は兄に惹かれながらも最後の一歩が踏み出せず、周囲に当たることでやり過ごしていた。
エリは清雅の置かれている現状を把握し、いろいろアドバイスをしながらもその最終的判断は本人に任せている。他人にはどうしようもない領域、というのは実際にあり得るものだ。そこのところをちゃんとわきまえているエリという友人を得ることが出来たのは、清雅にとってとてもよいことではなかろうか?
例え相思相愛になったとしても、決して清雅や涼雅を取り巻く状況は優しいものではない。けれど、彼らは幾多の苦難を乗り越えていけるだろうと確信している。
シリーズ第3弾ではあるが、こちら1冊でも充分お読みいただけるだろう。

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紙の本児童性愛者 ペドファイル

2005/01/14 00:01

女の子がいいのかい?それとも…。

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1999年━━デンマーク。テレビ向け報道番組製作のため、合法組織『児童性愛愛好者協会』の実像を探るべく、著者は他人になりすまし会合に潜入する。会員達の語られる言葉を元に進める取材は国内だけに留まらず、海外へと広がってゆく…。
性的志向はあれども、子供との性交渉は犯罪である。憲法で結社の自由が認められているデンマークでもそうだ。しかし、児童性愛者達の言葉を読んでいると、何が正しくて何が間違っているのか混乱してしまう。ジャーナリストとして、人として、子を持つ親として苦悩する著者。
…取材を終えた今も、未だその闇から抜け出すことは出来ない。

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紙の本ハーフラバーズ

2004/12/12 02:14

苦悩の果てに選んだ道。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

妻があり子があり…一見『普通』に生きてきた、『私』。━━だが、本当は違った。幼い頃から自分の性別に違和感を感じ続けていたのだ。最初は服装や化粧から始まり、やがて“本当の性別”を取り戻す決意をする。ホルモン注射・カミングアウト・離婚、そして手術…。『賢一』から『さとみ』に少しずつ変わっていく過程を、リアルタイムにありのままに書き綴ってゆく…。
著者が1年間かけてサイトにUPしていた日記をまとめたのがこちら。著者の幼い頃のことや妻に隠れて女性の服を身に纏っていた頃のこと、周囲の視線や通り過ぎて行く恋人達のこと…飾り立てず、あったまま思ったままのことが書かれているので本当にリアルだ。
最初は男性の意識が強く…女性用の服を身に付けて街を歩いたりすることに対する罪悪感のようなものが、読んでいるだけでまとわりついてくる。だが、ページが進むにつれ段々『私』が身も心も『女性』になっていく様をあなたも感じることが出来るだろう。
現在、著者はOLとして日々を送っていらっしゃるのだとか。周囲から白い目で見られることもある反面、母親や妹をはじめ…ちゃんと理解して受け容れてくれる方も居るそうで。自分が自分で在るために、払った犠牲は大きく…だけどそのことについてちゃんと胸を張って行くことが出来る、そんな著者は性別云々ではなく…人として魅力的だと思う。

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