ジュンク堂書店 三宮店書店員レビュー一覧3ページ目
ジュンク堂書店 三宮店書店員レビューを100件掲載しています。41~60件目をご紹介します。
検索結果 100 件中 41 件~ 60 件を表示 |
書店員:「ジュンク堂書店三宮店」のレビュー
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私の好きな原田泰治の絵 33人が選んだ心に残る一枚 原田 泰治 (編著)
作品に連なる“人”の存在
画家、絵本作家として、古き良き日本の風景を活き活きと描き続ける原田泰治。氏の故郷・長野県諏訪市にある記念美術館において、昨年開館15周年を記念し、各界の著名人が「お気に入りの一枚」を選びコメントを寄せた「私の好きな原田泰治の絵展」が開催された。本書はそれを一冊にまとめたものである。
窪島誠一郎や星野富弘といった美術界のビッグネームはもちろん、建築家の安藤忠雄、竹内まりやらのミュージシャン、萩本欽一や峰竜太といった芸能界の面々まで、登場するのはそうそうたる面子だ。各々の推薦文からは、彼らが社交辞令ではなく、心から原田の絵を愛し、人生に大きな影響を与えていることが伝わってくる。多くは原田と交友がある人物であり、きっと彼らの存在も原田の絵に良い影響を与えているのだろう。
原田の描く風景画には、しばしば人が登場する。小さく描かれるそれらの人は一見無個性だが、そこに大きな温かさを感じる。それは、原田の周囲にいる人々の存在と、恐らく無関係ではない。
芸術書担当 小松寛茂
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花也 松村 和彦 (撮影)
舞妓たちの生き様を写した写真集
数多く出版されている京都写真集の中でも、舞妓の写真集というのは特に海外の方に人気があり、店頭でも旅行者や留学生と思しき方にしばしば問い合せを受ける。その際にはいくつかお勧めを紹介するわけだが、既存の写真集は『舞妓はん』の美しさ、華やかさにスポットを当てたものが多く、カラフルで明るい雰囲気でまとめられたものが大半だった。
本書は、これまでの舞妓写真集とはだいぶ趣が違う、静かな雰囲気の写真集である。モノトーンを基調にした落ちついた写真群は、観光客に見せる華やかな姿とは全く違う、舞妓や芸妓のリアルな生き様を鮮やかに写し出している。本書で描かれるのは、この現代日本において花街という特殊な世界で生きることを決めた女たちの、泥臭くも鮮烈な覚悟と矜持である。
著者は京都新聞社に所属する写真記者であり、本書も元々新聞紙面で連載された写真特集を再構成したものである。ショーアップされていない生の彼女たちの姿を通して、現代の日本を見つめ直して欲しい、という著者の意気込みを感じる。作中の解説文には全て英訳文が付記されており、日本文化を伝えるのにも非常に都合が良い。舞妓さんの写真を欲しがる海外の方々に、今後自信を持って勧めていきたい一冊である。
芸術書担当 小松
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図説タータン・チェックの歴史 奥田 実紀 (著)
タータン・チェックの多彩な世界
日頃よく目にするチェック柄“タータン”について紹介しています。
タータンにはたくさんのバリエーションがあり、それぞれの柄がうまれた背景のエピソードは歴史読物として、また織り方や配色の方法などはファッション読物として興味深く読めます。
人文書担当 S
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ザ・富士山 対決!北斎vs.広重 赤坂 治績 (著)
なかなか興味深い
「祝!世界遺産!」と、オビに書かれているように、昨年から富士山を扱った書籍、アイテムは数え上げたらキリがない程、出版されていますが、本書はそんな中でなかなか興味深い構成をされた書籍である。
葛飾北斎と歌川広重、共に浮世絵界のスーパースターであらせおられるが、北斎は「富嶽三十六景」において世界的に有名な赤富士や黒富士、神奈川沖浪裏などの傑作がすぐに思い浮かびますが、広重はどうだったかなと思いを巡らせると遠近法を駆使した近像拡大型構図を得意として「不二三十六景」「富士三十六景」と富士山を題材とした連作の他にも代表作の「東海道五拾三次之内」や「江戸名所百景」でも富士山を描いており、日本人にとっての富士山はやはり特別な何かがあるのかなぁと思います。
そんな富士山に的を絞っての今回の対決、それぞれ同じ場所から同じ富士山を描いているのにこうも違うものなのかと両者のイマジネーション、作風、得手不得手などが複雑に絡み合って名作、傑作、が生まれて行くのだなと思いました。
芸術書担当 宇嵜
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SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室 1 (中公文庫) 富樫 倫太郎 (著)
日本のアーロン・ホッチナー登場
警察小説と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?激しい銃撃戦?それとも謎解きミステリー?
近年、警察小説がたくさん刊行される中で皆さんは何を見てその本を買いますか?帯や裏表紙のあらすじを見る事でしょう。私も裏のあらすじを読んで購入した一人ですが…久しぶりにページをめくる手が止まらない一冊に出会えました。
出てくるキャラクターの一人一人も際立っていて、物語の疾走感も非常に読みやすい構成になっています。警察内部のしがらみや、絶対的縦社会の警察社会も十分に知れる内容になっています。激しい銃撃戦も謎解きミステリーも無いですが、非常に重圧感のある警察小説ではないでしょうか。
某テレビ局で映像化もされたようですので、本書と合わせて楽しめる事間違いなしでしょう。
文庫担当:N
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極楽鳥全種 世界でいちばん美しい鳥 ティム・レイマン (著)
一体何のために?
極楽鳥と言う名前からしてこの世の物とは思えませんが、もし神様がいたとして、一体何のためにこんな色鮮やかな飾り羽を持つ鳥を創ったのかなとその存在の意義を問いたくなるような極楽鳥がなんと39種類も載っている写真集。
しかも特筆すべき事は巻末に極楽鳥全39種図鑑が載っているのですが、こちらにQRコードが付いている極楽鳥に関しては映像も見れる!
すごいです。着飾る為だけに発達したまったく実用的でないさまざまな形状の羽根、また華麗な飾り羽根を持たない種は変幻自在に身体の形を変型させて求愛ダンスを舞う。まさに神のいたずらか、アートか。
芸術書担当 宇嵜
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ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫) 津村 記久子 (著)
ただそれだけで価値があるもの
津村記久子の書く女の子が好きだ。不器用で、生真面目で、自分が女の子である事にどこか居心地の悪さを感じているような、そんな彼女達が好きだ。
主人公のアザミは高校三年生。長身で赤い髪、太いプラスチックフレームのメガネをかけ、カラフルな歯列矯正器をはめている。勉強は出来ない、彼氏はいない、将来やりたい事も決まっていない。そんなアザミが唯一、打ち込む事が出来るのは音楽を聴く事だ。音楽を聴く事により、息を吹き返す事が出来るのだと感じている。
こういった主人公なのだけど、本書は音楽にしか夢中になれない落ちこぼれの女子高生が、気が合う仲間と出会い、バンドをくんで青春を謳歌する、というようなありふれた展開にはならない。
アザミは誰かとバンドをくむ事もなく(それどころか、今一ぱっとしないバンドが解散するところからこの小説は始まる)、ブログで音楽について語るわけでもない。ただ一人、ひたすら音楽を聴き、いつも持ち歩いているノートに、その日聴いた曲や評価を書き込む。あくまで地味に、けれど稀な親密さで音楽と関わる。
後半、自分には音楽しかないと自嘲気味に考えるアザミに“でもね、本当に好きな音楽があればずーっと聴いてたらいいと思うよ”、“だってさ、何もかもようもないわ、意味ないわって言うよりは絶対にいいよ。好きなものがあるほうがいいよ”という言葉がかけられる。
自分が好きなものをひたすらに追いかける事。それがやりたい事、仕事につながらなくても、そういうものがあるという事は、ただそれだけで価値があるのだと、作者はそっと語りかけてくれているようだ。
決して派手なストーリーではないが、だからこそ、地味で退屈な日常を生き抜く為の、確かな強さを読者に与えてくれる。時には投げ出したくなるような、世間や自分を、そんなに捨てたものじゃないと、考えるきっかけを与えてくれる、そんな物語なのだ。
文庫担当 I
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野望の憑依者 伊東 潤 (著)
不名誉な記録に隠された真実
1998年、6月。日本中がサッカーW杯に初出場したことに注目が集まっている間、プロ野球では球史に残る不名誉な記録が更新されようとしていた.
最初は事態をを楽観視していたファンや選手たちも次第に見えないトンネルをもがきながら進んでいくかのように・・・
この本では一試合一試合を丹念に記し、当事者たちにインタビューすることで今も破られずにいる18連敗がどうして起こったのかを立体的に究明しようとしているのが感じられて、最後まで一気に読んでしまいます。
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絶対城先輩の妖怪学講座 1 (メディアワークス文庫) 峰守 ひろかず (著)
読まず嫌いは損をします
“妖怪”と聞くと、何かおどろおどろしいイメージがあったので何となく敬遠してきました。しかし、友人にある本を薦められ読んでみたところ、今まで何ともったいないことをしてきたのかと後悔しました。
妖怪は実在するものではないので、作品に登場しても名前や伝承などで伝えられる容姿、いわれが出てくる程度で、物語そのものはそれらをモチーフにして事件が起こったり、謎解きをしていくだけのものであったことに改めて気付かされました。そういえば、アニメやマンガでもよく扱われますし、自分自身そういうもので親しんできたことを思い出しました。
さて、今作の主人公は妖怪やオカルトに詳しく、常にそれらに関する資料を読んでいるような人物。そのうえ、妖怪に詳しくない相手に滔々と話すところは妖怪ものの作品に共通するものなのでしょうか。きっと作者自身も妖怪が好きで、主人公に投影しているように思います。そして、主人公を通じて読者である私にも教えてくれている、そんな気がします。
物語として今後の展開も気になりますが、どんな妖怪が登場するのかも楽しみの一つです。
文庫担当:NT
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PENGUINS 地球にすむユニークな全19種 藤原 幸一 (著)
ペンギン写真集の決定版
ペンギンの写真集は数多く出版されているが、本書ほど内容が充実しているものは他にないだろう。世界中に存在する全19種類のペンギンを網羅し、その中の一種、アデリーペンギンの生活や子育てを、ドキュメンタリータッチで追う。コラムやペンギンにまつわるニュースなどの文章も充実している。
ペンギンの写真集というと、愛玩動物として、その可愛らしさを前面に押し出したものがほとんどだが、本書は可愛さ以外にも、ペンギンの生物としての力強さや狡猾さを活き活きと描き出す。たとえば本書で描かれる生態の一つがメスペンギンによる「売春」だ。アデリーペンギンのメスは、巣作りに使う小石が不足すると、独身のオスの巣へ向かい、交尾をする。そしてオスの巣から小石をもらい、何食わぬ顔で夫が待つ自分の巣へ戻るのだ。約5%のメスがこのような行為をするという。愛らしいペンギンのイメージが根底から覆る話だが、それもまたペンギンの奥深さなのかもしれない。
もちろん、単純に躍動感溢れるペンギンの写真集としても出色の出来映え。ペンギン好きなら必読の一冊だ。
芸術書担当 小松寛茂
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鉄緑会東大英単語熟語鉄壁 鉄緑会英語科 (編)
「鉄壁」…強そう。
タイトルからして、ハイレベル。表紙も黒で重厚感ばっちり。
きっとおカタイ本なんだろうと思っていたら、意外にもイラストが多用されていて、わかりやすい。
何よりも驚いたのはカタカナ英語を推奨していること。身の回りに溢れるカタカナ英語をきちんとスペル・意味とで覚えることで簡単に語彙力アップ!
東大英単語の本だからといって、特別に難しいこともなく、「お、出来そう」と思えてしまう1冊です。
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那覇の市場で古本屋 ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々 宇田 智子 (著)
日本一狭い古本屋
看板のはなし、私も読むまで気づきませんでした(笑)
移住してきた沖縄でのくらし、新刊書店員から古本屋(自営業)への転職、沖縄の本のはなし、色々な角度から楽しめるとてもオトクな本です。
読み終わったあとはほんのりとあたたかい気持ちになりました。
人文書担当:Y
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バラ肉のバラって何? 誰かに教えたくてたまらなくなる“あの言葉”の本当の意味 (講談社文庫) 金澤 信幸 (著)
バラ肉の「バラ」って実はアレなんです
ふだん私たちがなにげなく使っている言葉の中には、実は意味を知らずに使っているものがたくさんあります。
意味を知らなくても日常生活に困らないのだから、別にいいじゃないかとも思いますが、「バラ肉のバラって何?」というタイトルを見た瞬間「そういえば何だろう?」と気になり、思わず手にとってしまいました。
目次を見ると、聞いたことや使ったことのある言葉がずらりと並んでいるではないですか。
中には意味を知っているものもありましたが、ほとんどが初めて知ることばかりでした。
昔に使われていた言葉が元になっていたり、間違った使われ方をしていてそのまま定着した言葉があったりと、自分自身とても勉強になりました。
小説のように始めから読む必要はありません。気になるところだけ読むことができます。
この本を読んだあとは、きっと誰かに教えたくなることだと思います。
文庫担当 NT
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BLAST 畠山 直哉 (写真・執筆)
破壊の美学
写真家、畠山直哉が石灰石の発破の瞬間を捉えた写真集。
単純にこんな危険な瞬間をよくカメラに捉えられたものだ、カメラとか、作家自身は大丈夫だったのだろうかと思う程の臨場感のある発破の瞬間が作品に収められています。
何かカタチのあるモノを破壊する、破裂する、砕け散る、爆発させると言う行為にはとてつもないエネルギーの作用が必要なわけで、本書の作品を見ているとそこに内在するエネルギー、膨張する力の強さ、すさまじさが垣間見れる感じがします。
エネルギーの変容に伴う物質の変化、粉々に砕け散る岩石の軌跡、岩肌からロケットのように白煙が上がる様や煙の動きに生命的な美しさ、躍動感を感じます。
芸術書担当 宇嵜
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封印再度 Who inside (講談社文庫) 森 博嗣 (著)
キーパーソンは誰?
大学工学部建築学科助教授・犀川創平と教え子であり恋人(?)である西之園萌絵が事件を解決する、通称S&Mシリーズ。どの事件もメインの謎は密室トリックである本シリーズにおいて、今回の事件は二つの密室が登場する。
親子二代にわたっての密室での死。家宝である天地の瓢と呼ばれる壺に入った鍵。しかもこの鍵は壺を割らずに取り出せて、中に戻す事が出来るという。
この二つの謎の真相もそうだが、私個人としては、密室殺人の解明に関係する、ある人物のある一言がこの作品のメインと言えると思う。人によっては多少無理があると言うかもしれない事実だが、私はこういった特異な真相がある作品の方が好きです。
最後に触れずにはいられないのが、本作のタイトル。二つの謎にからんだダブルミーニングとなっている。このタイトル一つとっても森博嗣恐るべし。
文庫・新書担当 山中信哉
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ピースメーカー (ポプラ文庫) 小路 幸也 (著)
あたたかな青春の物語
舞台は1974年から1975年までの一年間。運動部と文化部が対立している赤星中学校。
その運動部と文化部を結びつける平和の使者<ピースメーカー>、放送部。初代<ピースメーカー>の弟、良平が<二代目ピースメーカー>として仲間とともに学校内の事件を解決していく物語だ。
天に二物も三物も与えられた姉と比べて平凡な彼は、しかしその発想力、そして自分に足りないものがあることを自覚した上の工夫で事件にいどんでいく。
この物語で起こる事件に、劇的なものはない。いや、学生であり、当事者である彼らにとっては重大なことだろう。けれど、大げさな表現はなく、重苦しい雰囲気も感じさせない優しい文章によって、彼らの『日常』にするりと入りこむことができる。
強調しすぎない、けれどしっかりとした個性のある登場人物達も魅力的だ。
ちょっと疲れて、ほっと息抜きがしたい。そんなときにおすすめしたい一冊だ。
文庫担当 k
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架空OL日記 1 (小学館文庫) バカリズム (著)
小峰様イカス!
あのバカリズムがOLになりきって書いた伝説のブログが文庫化。
主人公のOL「私」のなんてことない日常を淡々と書き綴っているのだが、
「えっなんで30代男性がOLの日常をここまで再現できるの」
とまず驚く。もしやこれは現代の「土佐日記」!?
よくよく読んでみると、この「私」は平凡な日常を送りながらも、周りのことを冷静な目でじっと見ている、
ということがわかる。それは著者も同じ冷静な観察眼を持っているからだといえるだろう。
日常にあるちょっとしたことを「これってなんか変でおもしろいよね」と教えてくれている。
まさに「私」と著者は同一人物なのだ。もしやこれは現代の「枕草子」もしくは「徒然草」!?
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大相撲の見かた (平凡社新書) 桑森 真介 (著)
あなたも好角家の仲間入り!
年とともに日本の伝統的な物事に興味がわいてきた。相撲もその一つである。
しかしTVの中継を見ていると、解説の親方の言っていることがさっぱりわからなかったりする。
「右四つ」とか「左四つ」って?「おっつけ」って?
土俵の下で着物を着てうろうろしてる人は何の役目があるの?
昔からお相撲を見ている方には「そんなことも知らないの?」と怒られてしまいそうだが、
独特の言い回しや決まり事というのは初心者にはハードルが高いものである。
決まり手や組み方、また、場所を円滑にとり行うために働くさまざまな役割の人々など、
これを読めば大相撲をより楽しめる一冊。あなたも好角家の仲間入り!
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スノーフレーク (角川文庫) 大崎 梢 (著)
花言葉は「純粋」
死んだはずの自分の好きな人が生きている!?
そんなことありえるわけ…
港町函館で繰り広げられる事件の謎に迫る青春ミステリです。
過去にとらわれつつも前向きに生きようとする真乃ちゃんに心震わされます。
とりあえず個人的な感想として亨くんに幸あれ。
文庫担当:中山
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ラッセンとは何だったのか? 消費とアートを越えた「先」 Essays on works and reception of Lassen in Japan 原田 裕規 (編著)
偉大?な画家への、初めての評論
クリスチャン・ラッセンは、言うまでもなく日本で最も有名な、かつ人気のあるアーティストの一人である。仮に彼の名前を知らずとも、鮮やかなブルーをメインに配色し、リアルなイルカやクジラが躍動するその絵は、美術に興味のない人でも一度は見たことがあるだろう。
一方で、彼の絵を芸術的に評価する者は殆んどいない。専門家はもちろんのこと、我々のような素人でも、彼の絵を見て「上手い」「綺麗だ」とは思えども、「美しい」「深い」と感じる者はそう多くないように思う。どこかしら「軽さ」が漂うのだ。また、悪徳商法のモチーフにしばしば彼の絵が登場することを見ても、多くの人がラッセンに、芸術性よりも商業性を強く感じているのは間違いないだろう。
本書は、何故ラッセンがそのような扱いを受けるのかをまとめた、本邦初のラッセン論である。これまで語ることすら恥と見られてきたラッセンを改めて分析し、作家性や人気を得た理由を知ることは、美術史論的に決して小さなことではないと感じる。ラッセンが大好きな人も大嫌いな人も、一読して「ラッセンとは何だったのか?」を改めて考えてみて欲しい。
芸術書担当 小松