電子書籍
翔ぶが如く(一)
著者 司馬遼太郎
司馬遼太郎畢生の大長編!西郷隆盛と大久保利通。ともに薩摩藩の下級藩士の家に生まれ、幼い時分から机を並べ、水魚の交わりを結んだ二人は、長じて明治維新の立役者となった。しかし...
翔ぶが如く(一)
翔ぶが如く 新装版 1 (文春文庫)
商品説明
司馬遼太郎畢生の大長編!
西郷隆盛と大久保利通。ともに薩摩藩の下級藩士の家に生まれ、幼い時分から机を並べ、水魚の交わりを結んだ二人は、長じて明治維新の立役者となった。しかし維新とともに出発した新政府は内外に深刻な問題を抱え、絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発。西郷は自ら主唱した“征韓論”をめぐって大久保と鋭く対立する。それはやがて国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく――。西郷と大久保、この二人の傑人を中心軸に、幕末維新から西南戦争までの激動を不世出の作家が全十巻で縦横に活写する。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
司馬さん、あなたはとうに司馬遷を越えていますよ
2005/10/03 22:41
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
翔ぶがごとくに明治維新を成し遂げ、日露戦争を生き抜き、そして太平洋戦争を生き残り、その後日本は世界最高の経済発展を遂げた。この一文を達成できた非白人は、日本人だけである。であるが故に、この偉業には我ら日本人の先祖たちの大いなる筆舌に尽くしがたい御苦労があったことは想像に難くない。
この「翔ぶが如く」に描かれる明治維新からの10年間は、その後の日本と世界をも動かす「最も濃い10年」だったかもしれない。この10年に間違いがなかったから、その後の奇跡は起きたのである。その10年を導いたのは、大久保一蔵(利通)と西郷吉之助(隆盛)であり、本作の主人公と言えるだろう。
大久保と西郷は、竹馬の友・刎頚の友であり、幼いときから無二の親友であった。その二人がやがて戦う事になるのが、西南戦争である。司馬先生は、1巻のうちからその説明を予めする。見事というほかない。このことを初めから知っておく事で、大久保・西郷の一挙手一投足の苦悩と信頼がその後の文章全てににじみわたってくるのである。歴史は単に物語りではない。司馬さんが、屁理屈コキの単なる文豪ではなく、もはや大歴史家であることの1つの証左であろう。
西郷は、なぜ西南戦争を起こしたのか。西郷は果たして国家に楯突くただの謀反人であったのか、西郷よおまえも明智光秀・ブルータスと同じかと思うかもしれない。そして、終始征韓論を説いていた西郷は、時勢の読めぬ愚者であったのか。現に歴史偽造捏造国家韓国では、西郷は悪の巨魁とされている。
トンでもない誤解である。西郷が、あの力士なみの巨漢で僧侶の如き幕末の巨人は、何を思い何を願って死んでいったのか。司馬先生をおいて、その説明を出来るものは現世には存在しないだろう。なにせ、全10巻は西郷の内心を解き明かすために司馬先生が苦労なさった証でもある。それでも、司馬さんは「西郷だけは分からない」という。およそ世界の歴史を心身に溶け込ませた司馬先生をして分からぬというのであれば、我々凡人に分かろうはずもない。わかったつもりに過ぎない。
結局、西郷は大久保だけは信頼していたということ、大久保がいれば日本は安心であり、ならば自分の役割は・・そのあたりに答えがあるのだろう。これはぜひご自分で感じて欲しいと思う。
西郷は逆賊扱いされたが、名君であられた明治大帝のご意向で、西郷は逆賊の汚名を逃れた。上野にある西郷の像は明治大帝のたってのお許しの結果である。
我々は、西郷の大きさを本書で知ることは出来ても感じることができない。それは西郷死後の人たちも同じであった。そこで有名な話がある。ある寄合でこういう話が出た。「大山(巌、西郷の親戚)さんは本当にでっかいお人だな〜」とある者が言った。すると「お前は従道(西郷の弟)さんを見てないからそういうことがいえる。あの人は本当にでっかい人だった」一同が気の遠くなる大きさに目が眩んでいる中、幕末を生き抜いた老人が「いや西郷隆盛の大きさは、ちょっとそれらとは比較にならん巨大さだった」一同は、あまりの巨大さに意識が飛びそうなほどだったという。
坂本竜馬の方が大きいと陸奥宗光は言ったが、やはり西郷の巨大さは竜馬の師・勝海舟も深く認めるところであり、およそ巨大さでいえば、西郷の方が上だっただろう。
本書は、「竜馬が行く」→「翔ぶが如く」→「坂の上の雲」と続く中間に位置する。この3作は、日本人とはなにかを最も理解できる3作といえるだろう。「坂の上の雲」の奇跡は本書なしでは完全には理解できない。
司馬遼太郎という名は、「自分は司馬遷に遼かに及ばない」という意味だそうだが、「司馬さん、あなたはとうに司馬遷を越えていますよ」。日本人とはなにかの探求者であり、それを克明に遺してくれた司馬さんに自分がかける感謝の最大の言葉である。
電子書籍
その後の日本の原型
2021/07/14 12:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
「坂の上の雲」とならんで司馬史観の代表作である。小説としても面白さももちろんあるが、作品の中で述べられている、大久保利通が官僚組織を作り、川路利良が警察組織を作り、西郷隆盛に対抗するため軍隊が作られた という記述に考えさせられてしまった。
紙の本
さいごーさん
2017/11/27 09:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:HIRO - この投稿者のレビュー一覧を見る
西郷さんの人格が非常に良くわかる。
これからの展開に期待。
紙の本
永い楽しみのはじまり
2017/10/28 08:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文春文庫版『司馬遼太郎全仕事』によれば、司馬さんの数多くの作品の中で「三大長編小説」と称されているのが『竜馬がゆく』『坂の上の雲』そして、この『翔ぶが如く』ということになる。
文庫本にして全十巻。描かれているのは明治新政府が誕生したものの征韓論から国を二分する西南戦争までの時代。
まずは書誌学的に書いておくと、この作品の初出は1972年1月1日から毎日新聞朝刊に連載され、76年まで続く。
新聞連載の予告として掲載された「作者のことば」で、司馬さんはこう記した。
「薩摩人は、良いにしろ悪いにしろ日本人の典型とされてきた」が、自分はそこを十数年触れないできた。しかし、「泣こよっか、ひっ翔べ」という薩摩人の金言のように、「冒険をやってみることにする」。
『翔ぶが如く』というのは、薩摩人のこの金言からとられている。
さて、この長編小説の主人公は西郷隆盛であり大久保利通といった明治という新しい時代を作った薩摩人である。
しかし、司馬さんは別の文章でこうも綴っている。
「主役は、時代である。あるいは、薩摩隼人である」。
この『『翔ぶが如く』について』という文章の最後がいい。
「私は、どちらかが善とも悪とも書かなかった。農民をふくめて、維新から明治十年までを、ひとびとがよく堪えたことに、大きな感動をもちつづけている。」
文庫版第一巻はまさに閣議で征韓論が協議され、西郷が自ら韓国に赴かんことを願うところである。
明治維新を成し遂げた大西郷ながら、そのことを武器にすることもなく、悶々とした時間を送っているこの巨魁がこれからどう描かれていくのか、永いお楽しみである。
紙の本
良い本です
2024/03/31 10:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
いきなり列車内での脱糞とは想像を超えるスタートです。解説ばかりで物語が進んでいかないので、征韓論が中心です。あと9巻どんな流れになるのか興味深く、西郷の理屈も理解できますね。
紙の本
保守政治家の群像
2008/03/02 20:30
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、1877年の西南戦争を中心に明治初期の動乱を描いた大河小説である。「翔ぶが如く」とは、古代の薩摩隼人を形容する言葉という。本書を読み終えたとき、主人公の薩摩人それぞれの生きざまを映し出すまさにぴったりのタイトルだと感じた。
西郷隆盛は、自らが行った明治維新の後、武士たちが存在意義を見失い不満をつのらせていることに、悩み苦しむ。彼は、不平士族の鬱積のはけ口として朝鮮への出兵―すなわち征韓論を唱えるも、大久保利通ら他の閣僚に反対され、政府を去り、鹿児島に帰る。やがて彼は、桐野利秋ら側近に反乱の首領としてかつがれる...
西郷を情の人とすれば、大久保は冷徹な保守政治家である。今は、国家の基礎を築く時期と考えた大久保は、戦争によって士族の歓心を買うよりも、敢えてその憎悪の的になることを選ぶ。また彼にとって、己の主張が通らないからといって政府を去る西郷のやり方は、大切な仕事を途中で投げ出す無責任な態度に他ならない。下野する西郷に大久保は言う、「いつでもこうじゃ、いまはちゅう大事なときにお前さァ、逃げなさる。後始末は俺せなならん」。
本書に登場するもう一人の重要な薩摩人は、1874年に警視庁を作った川路利良である。彼は、世話になった西郷に恩義を感じつつも、他の多くの同胞のように西郷を追って下野することはなかった。それどころか、いずれ起こるであろう士族反乱を見越し、密偵を使いかつての同志たちを取り締まろうとし、激しい憎悪を彼らの間にひき起こす。しかし、自ら見聞したフランスの警察機構に近代国家の青写真を見い出した彼は、自己の信念をまっすぐに貫き、新国家の治安維持に身をささげた。
物語では、西郷の一派とは別の反政府勢力、民権派についてもふれられる。西郷らを封建的秩序の回復を目指す右翼とすれば、民衆の自由・平等を理想とする自由民権論者は左翼といえよう。左右両派が政府に抱く不満は当然であった。明治維新は、無血革命として革命そのものは成功したが、その後の新国家建設のために多大な犠牲を各階級に強いた。農民・町民は多大な税金や徴兵に苦しみ、武士は禄を失い、徴兵令や廃刀令により軍人としての地位や誇りも奪われた。いったい何のための維新なのだと、多くの国民が嘆いた。
このように、もっともな怒りが爆発したのが各地の士族反乱や農民一揆であった。しかし、反乱はしょせん破壊にすぎない。後の歴史を冷静に眺めれば、民衆の苦悩に目をつむりあえて改革を断行した大久保や川路の行き方こそが、明治初期の日本を支えたのだということが容易に理解できよう。自由民権運動は後の大日本憲法発布、国会開設につながる歴史的意義はあるものの、それだけで近代日本ができあがったとは言えまい。
西郷の人格が高潔であるのは事実であり、またその悲劇的運命から後世の人々が彼に同情するのは無理からぬことではあるが、国家の礎をつくりそれを軌道に乗せたのは、地味で冷酷ともいえる大久保や川路あるいは長州出身の伊藤博文や山県有朋ら保守派の努力であったということだけは、日本人なら誰もが肝に銘じるべきであろう。
西郷は半年におよぶ西南戦争の果てに死に、大久保はその翌年、不平士族の一人によって暗殺される。下手人が数日前に予告をしたにもかかわらず、大久保自身も警視総監の川路も何の手も打たなかった。責任感の強い大久保が自殺にも似た行為をしたことは不思議だが、ある意味でそれも薩摩人らしい生き方だったのかもしれない。川路はその翌年病に倒れ、薩摩隼人らはそれぞれの生を終えた。
紙の本
脇道にそれるのが魅力。
2015/09/12 09:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治六年、フランスで警察制度を学んで帰国した川路利良。しかし、日本では征韓論を唱える西郷・江藤らと、内治優先を図る大久保・岩倉らが対立し、今にも衝突が起こりそうであった・・・
西郷と大久保が主人公の大長編なのだが、最初にこれでもかってぐらい川路と警察について語るので、そっちが主題かと一瞬思ってしまいそう。まあ、頻繁に脇道にそれて脇役たちのことを熱く語るのが司馬遼太郎の魅力なのだが。
電子書籍
主人公は西郷それとも川路
2017/12/03 14:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
序盤であり、今後どうなるのか?二巻目以降に期待!