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あなたの人生の物語 みんなのレビュー

文庫 第33回星雲賞海外短編部門 受賞作品

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みんなのレビュー266件

みんなの評価4.1

評価内訳

257 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

難解な物語に挑む喜びがこの本にはありますが、その難解さ故に途中で音をあげても大丈夫、短編集ですからいどこでも止められます

2006/10/20 01:37

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:らせん - この投稿者のレビュー一覧を見る

中国系アメリカ人の若手作家、テッド・チャンの傑作SF中短編集です。
寡聞にして知らなかったのですが、このテッド・チャン氏は現在のSF界では最も評価されている作家のひとりで、この本に所収の8編の作品の内、表題作とデビュー作「バビロンの塔」でネビュラ賞受賞、「地獄とは神の不在なり」でヒューゴー賞を受賞している、すごい人なのだそうです。
8編の作品の中から、私が気に入ったものを幾つかあげてみたいと思います。
巻頭の『バビロンの塔』は、天まで届けとそびえたつバベルの塔の、頂上を目指す職人の視点で描かれた物語です。
頂上に辿りつくまで2ヶ月はかかるほど巨大な塔の描写が実に魅力的です。
上へ上へと天の高みを目指した果てに、行きつく場所は宇宙であるのか神の座であるのか?
これを読んで漠然と、ブラックホールとホワイトホールの関係を思ってしまいました。
最初は哲学的に空間を捉える認識論めいたことを考えたのですが、これは一種のワープを描いたのかもしれない。
今までこういう語り口の作品を読んだことがなかったので、とても新鮮に感じました。
『あなたの人生の物語』は、突然地球に訪れたエイリアンとのコンタクトの物語です。
エイリアンとの対話を担当した言語学者ルイーズは、彼らの人類とはまったく異なる言語を理解するにつれ、新たな世界認識を獲得します。
その世界認識とは、原因があってそれによって生じた結果を知覚する<因果的世界認識>ではなく、その動機から結末までを同時に知覚し、その中の事象のひとつひとつを照らしていくような、<同時的世界認識>とでも呼ぶものです。
これは時間を縦方向によってのみ見る見方と、横方向から全体を見る見方の違いとでも言うものでしょうか。この世界認識を持つと、人は未来を見とおせる予言者にもなれると言えます。
過去も未来も現在も一度に知覚できる認識。この驚くべき世界観を、物理の「フェルマーの原理」をひきあいに、徐々に明確にしていく腕は実に見事です。
ルイーズが獲得した<同時的世界認識>の世界では、未来は未知ではなく既知のものであるが故に、人には未知の人生を選び取る苦難より、既知の人生を生きていく覚悟のようなものが必要に感じました。
そのイメージから、何となく『銀河鉄道999』に出てくるメーテルを思い浮かべてしまいました。
彼女は多くの時を生き、過去も未来にも生き、にもかかわらず永遠に銀河鉄道のレールの上を生きる定めの女性で、その在り方は正に<同時的世界認識>下にあるように思えるのですが……(-_-)ゞ゛ウーム
「地獄とは神の不在なり」は、天使が実際に人々の目の前に登場し、数々の奇跡と災厄を起こし、天国や地獄を見せてくれる物語で、あなたは神を信じることができるか?と言う問いでもあります。
この作品に出てくる神と天使は驚くことに、漫画家の萩原一至さんが描く天使のように化け物じみていまして、キリスト教的世界観のない身にとっては、ちっともありがたくない存在なのですが、その異形の神にすがりついていく人間の執念は凄まじいと感じました。
主人公は旧約聖書のヨブの焼きなおしですね。そして彼の運命はヨブほどに救いはありません。
宗教・数学・哲学・物理と様々な分野から、色んなエッセンスをもってきた作品ばかりで、テッド・チャンは本当にアイデアの宝庫とでも言うべき作家ですね。
奇抜な世界の設定と、ストーリーの上手さでどの作品も頭をひねりつつ面白く読めました。
ちょっと、いえかなり難解と言えなくもないのですが、SFですからこれくらい骨のある作品の方が読み応えがあるってもんです。

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紙の本

何しろいずれの作品も難解で頭の中をかき乱された感じになる。しかし、読み始めると結末を知りたくて読み始めてしまう。全く持って不思議な作品ばかりでした。

2017/07/26 00:10

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

何しろいずれの作品も難解で頭の中をかき乱された感じになる。しかし、読み始めると結末を知りたくて読み始めてしまう。全く持って不思議な作品ばかりでした。なお、本書に収録されている「あなたの人生の物語」を映画化した2017-151『メッセージ(Arrival)』(c2016:アメリカ/116分、監督:ドゥニ・ビルヌーブ、出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー)を観て、どうも判然としない部分があったため原作小説を読んでみようということで手にしたもの。結論は、映画と小説を合わせてやっと少し理解できたけど、やはり難解作品だということでした。むしろ映画の方が結末は判り易くまとめていました。

1;バビロンの塔                          4点
 空間的トリックのSF(サイエンス・フィクション=空想科学小説)作品。
2;理解                               4点
 脳に重大な損傷を受けた主人公が「ホルモンK療法」を受けた結果、脳が異状活性化し途方もない能力を獲得する。
3;ゼロで割る                            4点
 数学論、具体的には「1=2」を証明してしまったことで、数学全て無意味であることを証明してしまった女性数学学者の話という形式をとっているが、私には夫婦の感情のすれ違いを描いた作品に見えてしまう。
4;あなたの人生の物語                      4点
 冒頭から「あなた」「私」という妙に錯綜した感じで始まる。「あなた」=娘は25歳で死んでいる。謎めいた流れの中で、突然地球外生命体=ヘプタポッドが出現。言語学者として呼ばれたルイーズ・バンクス=「私」は、そこで「あなた」の父である物理学者ゲーリー・ドネリーと出会う。以下省略。
5;七十二文字                           3点
 名辞、真辞、オートマトンなどなどが主役の魔法世界で、人類が繁殖能力を失って絶滅の危機に陥ってることは判ったが、どうにもその「魔法世界」の全体像が掴み切れないためすっきりと共鳴できない。
6;人類科学の進化                        4点
 超人類がその知識をDNT(デジタル・ニュートラル・トランスファー)でやり取りするようになった世界。普通の人類はそんな情報に直接アクセスすることが出来ず、一度「人類言語」に翻訳せざるを得ない。このような時代の文化とはどうなるのかといった超SF的お話。僅か4ページほどの超短編だが、実に興味深い一文でした。
7;地獄とは神の不在なり                    2点
 他の作品と全く異なる性格の作品。個人的には、聖書=キリスト教的奇跡や世界観が絶対であり現実に存在することを前提にして、何もしない(何もできない)しそもそも存在しないし「神」を愛することを正当化しようとしているだけの作品にしか見えなかったです。馬鹿らしい。
8;顔の美醜について-ドキュメンタリー           4点
 顔の美醜で人を差別する「容貌差別」を無くすために開発された「美醜失認処置(カリーアグノシア)」の長所・短所を、その賛成派と反対派との主張を交互に展開することで物語は進む。たったこれだけの問題を私などとても思いつかない様々な側面から掘り下げていくその洞察力・表現力に圧倒されました。

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紙の本

認識の臨界点をつきぬけた哲学的感動

2004/06/20 16:07

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 SFはめったに読まない。でも、読めば必ず、傑作にめぐりあう。ここ数年ではグレッグ・ベアの長編とグレッグ・イーガンの短編にまいってしまった。そのベアの絶賛の言葉「チャンを読まずしてSFを語るなかれ」が、本書の腰巻に印刷されている。山岸真の「解説」には「形而上学の領域へ科学が手をのばし、人間の問題をハードSFとしてあつかうことを可能にした」というチャンのイーガン評が紹介されている。というわけで、読む前から私はすっかりチャンに魅了されていた。実際、表題作「あなたの人生の物語」に出てくる非線形書法体系や同時的意識のアイデア、「七十二文字」に出てくる真の名辞による単為生殖のアイデアなどは、途方もない起爆力をもっていた。なによりも、チャンの短編には小説ならではの感動がある。イーガンの作品がたたえる切ないほどの感動とは趣を異にするが、本書に収められた作品群がもたらす認識の臨界点をつきぬけた(哲学的)感動の質は得難いものだ。

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電子書籍

宇宙からのメッセージ

2018/05/12 04:02

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

ある日突然に世界各地に飛来した物体の謎に迫る、表題作が圧巻です。宇宙への敬意と共に、人類の矮小さを痛感しました。

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紙の本

科学の発展にあって信仰心は矛盾しない

2023/10/04 21:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る

先端科学と信仰が入り乱れる内容は難解で、うかうかしていると面食らっている間に何が書かれていたのか吹っ飛んでしまいそう。中には科学の黎明期に生まれたエセ理論が全部本当だったら……? というアクロバティックな物語まで(特に気に入ったのがこの話)。
人類が編み出し、捨て去った理論すらも余すところなく盛り込もうとする気迫を感じる一冊だ。

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紙の本

小説でしか描けない

2023/05/28 14:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画『メッセージ』の原作ではあるが、映画を先に見てから読むと「え、こんなんだったの」となるかもしれない。映画で描くのが困難な思考を小説にしたものであろう。

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紙の本

再読したら、また新しいものが見えてくるかも。

2019/07/02 03:12

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る

SF好きならば読んでおかなければならない名著、だという噂は耳にしていたんですが、好きだけど「SFマニア」とまではいけないレベルの自分としては若干腰が引けるわけです。ハードSF、大丈夫なのと大丈夫じゃないのとあるし。誰もかれもがめちゃめちゃ大絶賛だと逆に「どうよ、それ」と思う天邪鬼な自分も頭をもたげるわけで。
でもまぁそこまで褒めるんだったらね、と、手に取ってみる。

短編集です、数ページのものからそこそこ中編まで。

『バビロンの塔』
いきなり、「???」。 こういう系、私はいまいちだ・・・と最初から躓く。物語の筋立てというよりも世界観の構築が全て、みたいな話にはのめりこめない。

『理解』
『くらやみの速さはどれくらい』のルウの視点をこの前読んだばかりだったので、この話の言ってることがわかったのかも(読んでなかったらまったくわからないままだったかも)。ゲシュタルト崩壊な感じですかね。ちょっと持ち直す。

『ゼロで割る』
モチーフは数学。けれど、ミもフタもない話だ・・・。

『あなたの人生の物語』
表題作だけあって、これがいちばんインパクトある話なんだろうことはわかります。でもすみません、私は「自分の子供」という存在によって世界が変わったり、そのことによって自分の意味を知ったり、という話が好きじゃない。だからすごさは認めるけれど、私自身には何の影響ももたらさない。
ちぇっ、つまんねー(すごい作品に感銘を受けない自分も含めて)。

『七十二文字』
これも世界観が全て、みたいな話。総じてそういう話はオチが弱いというか、そこで終わるのか!、という割り切れなさが残る。もうひと押しほしいなぁ。

『人類科学の進化』
「だから何?」って感じ。まぁ何十ページで語っても数ページで語っても一緒ってことですかね。

『地獄とは神の不在なり』
一応ここではキリスト教が描かれてますが、作者は別に宗教に意味を見出していない感じがする。神はあくまでギミックだな、と思えるところは好印象ですが、救いようのない話にはぐったり。

『顔の美醜について ― ドキュメンタリー ―』
これがいちばんすっと読めて面白かったかなぁ。でも俯瞰のしすぎは「物語」の進行を妨げるかも。あとは自分で考えろ!、が潔くもあり、物足りなくもあり。

全体として、センス・オブ・ワンダーなキラキラ感が薄い、とでも申し上げましょうか。
合理主義に貫かれているんですよ。更にロマンにも欠けるというか・・・。
SFテイストの純文学に近いんじゃないか・・・とエンタメ嗜好の自分は感じ、あまり「面白い!」って感じはしなかった。
短編だからこんなものなのか? いや、同じ短編でもコニー・ウィリスやジャイムズ・ティプトリー・ジュニアは面白かったじゃないか。やはり好みの問題ですかね。
多くの人が絶賛しているからといって自分に合うとは限らないのだ、ということで、自分の読解力のなさを棚に上げたいと思う。
(2009年3月読了)
その後、映画『メッセージ』を観て・・・「一方向に進まない時間というものを前にして、人間として取りうる道は」というテーマだと理解した。やはり自分の読解力は足りなかった。

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2005/01/06 09:33

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2006/07/22 16:40

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2006/11/08 22:08

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2007/02/18 14:21

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2007/04/23 03:17

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2011/06/29 23:48

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2007/12/13 12:30

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2008/04/23 20:47

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