ブックキュレーターHONZ代表・元日本マイクロソフト社長 成毛眞
ビジネス書の顔をしていないビジネスに通じる名書
一見、ビジネスに関係ないように見える本にこそ、ビジネスの大きなヒントが隠れていたりする。そして、ビジネス書らしい顔をしたビジネス書に無駄に時間を費やしてはいけない。本当にためになるビジネス書はビジネス書の顔をしていないのである。
そんなビジネスの世界に通じる教えや示唆が大いに含まれているが、ビジネス書ではない本を紹介する。
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君は一流の刑事になれ
久保 正行(著)
元警視庁刑事部長捜査一課の著者が書いた、刑事という職業の指南書。現場の刑事目線で書かれているだけあり、ガス偽装自殺事件を取り上げて基礎力の大切さを語るなど、迫力が違う。「デキる刑事の条件」など、デカから若者たちへの言葉が綴られた最終章には、民間企業の新入社員にも有効な言葉があり、いい仕事の条件には普遍性があることに気づく。
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海運用のコンテナの標準化がなされた過程が書かれた、ノンフィクションの傑作。合理的なシステムとして、トラックとトラックに載せる箱を分離したことがコンテナの誕生につながった。根本的な変革に対して、変化を嫌う行政や業界、ライバル。行く手を阻む彼らと対峙し、幾多の困難を経て発明者が世界最大級の海運王に上り詰める過程も読みどころだ。
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経済学名著と現代
日本経済新聞社(編)
経済学の土地勘を身につけ、ニュースや情報を批評できる知識の使い方を手ほどきする本書。北岡伸一が福沢諭吉の『文明論之概略』を、野中郁次郎がサイモンの『経営行動』を解説するなど、古びない名著のおもしろさを中身をともなったカジュアルさで読ませてくれる。名著と解説者の選択にまったく過不足がなく、センスのいい名盤オムニバスのようだ。
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鵤工舎の仕事 長泉寺建立記
塩野 米松(著)
2008年に落慶法要された東北最大規模の寺院本堂。その建立に関わった奈良の宮大工集団、鵤工舎の仕事ぶりを描いている。本堂は少なくとも数百年はもつという。時代を超えて継承される日本古来の建築技法、そして寺社建築の機能美に終始驚かされる。棟梁のみならず、材木や基礎、左官、瓦など、さまざまな人のエピソードも盛り込まれた価値ある一冊だ。
ブックキュレーター
HONZ代表・元日本マイクロソフト社長 成毛眞1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在は、書評サイトHONZ代表も務める。『2040年の未来予測』(日経BP)など著書多数。
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