ブックキュレーターKADOKAWA・ドワンゴ・プロデューサー 吉川圭三
いま、映画本が熱くなってきた
一時、映画・テレビの本が売れないと言われていました。しかし、日本映画研究家・春日太一氏、米国在住の町山智浩氏等、知識と調査に裏打ちされた彼らの映画本のクオリティーは極めて高く、総合芸術である映画を多岐に渡って語られるので、例えその対象映画を見ていなくても楽しめます。この熱い「映画本」の世界。最初はまずこの5冊で。
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ヒット番組に必要なことはすべて映画に学んだ
吉川 圭三(著)
ジブリの鈴木敏夫代表と筆者がメールを交わした時に、同氏に依頼されジブリの小冊子「熱風」に1年半に渡って連載された映画とテレビの知識がギッシリ詰まった本。いきなり我田引水で恐縮だが、「人を引きづり込むエンターテイメント術」が書かれている。「読むと無性に映画が見たくなる」との感想多数。ビートたけし推薦。
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若干38才の日本映画研究家の大傑作が文庫になった。一時代を築いた大映画企業の興隆と隆盛と混乱と凋落の一大叙事詩。時代劇・任侠映画・エロス・「仁義なき戦い」等の実録路線・新興メディアテレビとの死闘と融合。登場人物良し、徹底した調査良し、文章良しの三拍子が揃った作品。水道橋博士の解説の熱き事よ。
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「良い映画だけ作れば客は自然に集まる」と思い込んでいた鈴木敏夫が「魔女の宅急便」公開の時に映画会社の人に「宮崎さんもそろそろ終わりだね。」と言われる。確かにナウシカ、ラピュタ、トトロと興行成績が落ちていた。良いものを作っても客が来なければイミがない。鈴木敏夫の猛烈な「宣伝と広告の日々」が始まる。
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映画とは何か 上
アンドレ・バザン(著) , 野崎 歓(訳) , 大原 宣久(訳) , 谷本 道昭(訳)
仏ヌーベル・バーグの父と呼ばれるアンドレ・バザンの論考集。ジブリの鈴木敏夫氏の部屋にあり筆者もほしかったが当時古書でも2万円程。岩波が頑張って2015年に新訳で文庫化。少々難解だがこんな面白い映画本はない。古代エジプトから始まる表現芸術。演劇・絵画・写真・映画の違いに覚醒。史上最強の古典映画本。
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映画狂乱日記
小林信彦(著)
小林信彦氏は御年84才の小説家・エッセイストだが、映画本も多く幼い頃からの映画狂だ。「1939年のアメリカ映画で映画の黄金時代は終わった。」等と書いているが、最近の是枝裕和監督作品までしっかり見ている。黒澤明をデビュー作から見ているだけあって系統的で博学で慧眼の持ち主。本物を見る眼が磨ける。
ブックキュレーター
KADOKAWA・ドワンゴ・プロデューサー 吉川圭三高校時代から映画鑑賞・海外ミステリー小説・自主映画制作に没入。早稲田大学卒業後日本テレビ入社。お笑い・歌番組・クイズ・ドキュメンタリーなど、ドラマ以外全てのジャンルを担当。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「笑ってコラえて」「特命リサーチ200X」「踊る!さんま御殿」などの企画・制作総指揮。編成部企画部長や専門職局長を経て、2014年ドワンゴに完全出向。ニコニコ・ドキュメンタリー、中国中央電視台関係大型番組、元CIA工作員スノーデン生インタビュー、「NHK特集×ニコニコ」などを担当。2019年からはKADOKAWAのプロデューサーも兼任。早稲田大学表現工学科非常勤講師。近著は架空のTV局の新米テレビマンの奮闘をリアルに描いたエンタメ小説「泥の中を泳げ。-テレビマン佐藤玄一郎-」(駒草出版)。
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