「シングル」ベルの鐘が鳴る聖夜に、独りでふけりたいクリスマス小説

7年間務めた会社から、聖夜にリストラを宣告される女性の物語です。悲惨な境遇の人間が、ただ普遍的な幸せを追い続ける孤独と悲しみの味わいが、笑いを誘います。最後には聖夜らしい小さな奇跡が起こり、感動の幕引きに。シングルでも聖夜に対する淡い期待を捨てきれない、そんな方に打ってつけの短編集です。

「シンデレラ」「ウサギとカメ」など有名な寓話33編の新訳です。クリスマス・イブに紡がれるリレー形式の連作、大人向けの愉快な笑い、痛快な皮肉、胸が温まるストーリーなど、味わいは芳醇。星新一特有の奇抜な発想でリメイクされた本書は、聖夜に1人でも虚しい気持ちにならない、圧倒的な作品力をたたえています。

キリスト教が広く信仰される、アメリカならではのクリスマスコメディ。煩雑さを嫌った夫婦の、クリスマスから逃げ続ける愉快な逃亡劇です。面倒な慣習と、逃げたい葛藤、そして村八分にも近い攻撃。日本とはまた違った海外のクリスマス事情を読めば、感動の結末とともに胸がほっこりするに違いないでしょう。

人気作家6名による、クリスマスをテーマとしたアンソロジーです。主題はやはり恋愛ですが、作家の個性を発揮させる自由な形の恋物語は、読んでいて飽きません。17歳の純愛、不倫、離婚。聖夜に1人で読んでも心がえぐられない、むしろ愛の形について深く考えさせられる味わいが持ち味の一冊です。

クリスマス・イブ。大停電が起こり暗闇になった東京で展開される、ワケアリ男女12人の物語。ハートフルなストーリーながらも、登場人物の歩んできた人生には、考えさせられることがとても多いです。聖夜に思索にふけりたい、新しい価値観を探求してみたいという人がいれば、本書を手に取ってみるとよいかもしれません。