おやすみ前の10分間読書にぴったり。リラックスして、気楽に読める短編集

料理研究科の高山なおみによる日記本です。ふとした日々の出来事が、料理話と一緒に語られます。料理といっても肩肘張るようなものではなく、「残りのカレーに水を入れてのばし、だしの素とみりんと酒と醤油を加えて作るカレーうどん」のようなメニューも登場。数日分の日記を読むだけで、ゆったりとした気持ちで眠れることでしょう。

大正から昭和初期にかけて発表された、浮世離れした物語ばかりが集められた短編集です。奇妙な動物として過ごす数日間が語られたり、必要以上にそわそわしながら財布を警察に届けたりと、収録されているのはまさに「大正版・世にも奇妙な物語」。そのまま夢に続いていきそうな世界観は、眠る前の読書にぴったりです。

数々の現代詩の賞を受賞している詩人・最果タヒによる詩集です。誰もがもっている当たり前の感覚が、見たこともない方向から、よく知った言葉で表現されていく詩はどれも読み応えがあります。1回読んだけでは味わい尽くせない、と思わせてくれる詩が詰まった本書。1日の終わりに、1編ずつ大切に読んでみるのもいいかもしれません。

友達思いのかえるくんと、ちょっぴり甘えん坊ながまくんの友情を描いた5つの物語が収録された絵本です。温かくてのんびりとしていて、お互いを思いやる大きなやさしさに包まれた物語に触れるうちに、眠る前に絵本を読み聞かせてもらった、幼い頃の記憶がよみがえってくるかもしれません。抑えた色使いの柔らかいイラストにも癒されます。

表題作は、初の海外旅行を目前に死んでしまった主人公が、人間に憑りつきながら念願の地を目指す物語です。成仏をかけて西アイルランドのアラン諸島を目指す主人公の切実さと、ブラジルに行きついてしまう現実のギャップがたまらなくユーモラスです。収録されているのは表題作を含めて7編。どれもふっと笑って、肩の力が抜けるお話です。