開くのは異界への扉だけじゃない！知的好奇心をくすぐるホラーコミック

亡き祖母が残した着物をきかっけに、古着を扱う「ふるぎぬや」と縁をもつことになったインテリアコーディネーターの伊都子。着物にまったく興味がなかったのに、「ふるぎぬや」で起こる白昼夢のような不思議な出来事を体験してから、着物に残された「大切な思い出」を感じられるようになっていきます。着物や妖怪の豆知識も身につく連作集です。

中国怪談の古典「捜神記」のエピソードも含めた諸星大二郎版「聊斎志異」です。道士である五行先生と弟子の阿鬼が活躍する怪異がメインですが、一話完結型の中国の怪談も挿話されています。古代から宋代までの中国の歴史や風俗はもちろん、単なる怪談では終わらない寓話的な結末など、読み応えのある一冊になっています。

江戸時代の町人や武士が営む日常生活に、知らぬ間に忍び込んでくる「ふしぎなこと」を描いた怪異収集譚です。99話で成る「百物語」には、江戸の文化のすべてが詰め込まれていると言っても過言ではありません。子どもの頃ただ怖かっただけの昔話が、改めて大人の目線で読むことで、魑魅魍魎の世界への畏怖の心が生まれてくる傑作です。

原作は小野不由美のライトノベルで、超常現象を科学的に調査する渋谷サイキック・リサーチの活躍が描かれています。オカルトホラーとしての読みごたえも十分ありますが、主人公が心霊現象をデータとして蓄積したい科学者のためか、まるでミステリー小説を読んでいるような雰囲気が味わえる、本格ミステリーホラーでもあります。

亡き祖父から妖魔を見る力を受け継いだ高校生の律が、妖魔・青嵐に守られながらも不思議なもめごとに巻き込まれる物語です。怖ろしくも憎めない妖魔たちはもちろん、妖魔の入れ物になってしまった父や、民俗学を研究する従姉、神隠しにあってしまった伯父など、人間たちも魅力満載。小泉八雲の世界観がお好きな方にもオススメです。