ブックキュレーター作家 堂場瞬一
70年代を感じられる本
70年代といえば、「近過去」という感じでしょうか。実はこの時代に、今の日本,いや、世界のベースになる様々な出来事が起こっています。近くて遠い70年代の空気感を伝える作品を集めてみました。
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約束の地
ロバート・B.パーカー(著) , 菊池 光(訳)
スペンサー・シリーズもこの辺から「定型」が定まった感じ。事件を追う筋書きよりも、スペンサーと恋人・スーザンの会話を楽しむべきという、不思議な味わいのハードボイルドシリーズです。この背後には、70年代の女性の社会進出があると見た。「ネオ・ハードボイルド」とは言いにくいが、やはり70年代的な作品。
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ダールグレン 1
サミュエル・R.ディレイニー(著) , 大久保 譲(訳)
60年代から活躍するディレイニーの、70年代の記念碑的作品。架空の都市を舞台にした冒険譚と言えば単純そうに思えるが、構造はとんでもなく複雑。元々、非常に混沌とした作品世界を描き出す人なのですが、この本はさらに、70年代のアメリカの混沌具合を象徴している、と読むのはうがち過ぎでしょうか。
本書は1・2巻あります。 -
ベスト&ブライテスト 上巻 栄光と興奮に憑かれて
デイヴィッド・ハルバースタム(著) , 浅野 輔(訳)
ディヴィッド・ハルバースタムの70年代を代表するノンフィクション。「優秀な」人たちがなぜベトナム戦争の泥沼に突き進んでいったかを、多面的な取材で明らかにしていきます。アメリカの「愚かさ」を味わう一冊と評価していい。
本書は上・中・下巻あります。 -
夜勤刑事
マイクル・Z.リューイン(著) , 浜野 サトル(訳)
リューインの「リーロイ・パウダー」シリーズからはこの一冊。偏屈なベテラン刑事(夜勤専門)を主人公に、ストーリーテラーの面目躍如の起伏に富んだ物語になっています。何より、生活感溢れる主人公の人物像がいい。これが、70年代に登場したネオ・ハードボイルドの最大の特徴なのです。
ブックキュレーター
作家 堂場瞬一1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年、『8年』にて第13回小説すばる新人賞を受賞。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「捜査一課・澤村慶司」「警視庁犯罪被害者支援課」の各シリーズほか、『チーム』『バビロンの秘文字I~III』『虹のふもと』『共犯捜査』『黒い紙』『メビウス1974』『under the bridge』『社長室の冬』など多数。警察小説、青春スポーツ、企業小説などさまざまな題材の小説を発表している。
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