ブックキュレーター編集者 崔鎬吉
本が読みたくてウズウズしてくる本
一読するなり、矢も盾もたまらず、芋蔓式にあれこれほかの本に手を出させてしまうような、そんな魔力をもった本というものが確かに存在します。ただでさえ毎日忙しいのに困ったものですが、それこそが読書の醍醐味。あなたを本の虜にする案内書を紹介します。
- 19
- お気に入り
- 4704
- 閲覧数
-
ラカン、フーコー、バルトらの書物が難解なのは、こちらの能力の欠如のせいではなくて、そもそも彼らが喝破しようとする摂理なり事象が、邪悪なほど難解だから。それでも、いやだからこそ、その思考の尻尾をつかむだけで、世界の様相は一変する。絶妙のレトリックと文体で、仏現代思想のエッセンスを抽出してみせる快作。
-
正午派
佐藤 正午(著)
小説家業25年の節目に編まれた、佐藤正午読本。自著解説、自著原作の映画脚本、折々に発表したエッセイ、連作掌編小説、詳細な年表、年代ごとのポートレートなどなど。タイトルどおり、まさにファンに目がけた一冊。佐藤正午は決して多作ではないが、それでも編集者をしてクロニクルを編ませたくなる小説家、ということ。
-
現代人は救われ得るか 平成の思想と文芸
福田 和也(著)
文学作品を通して、過ぎ去った時代の一区画の素性を吟味することに、どれほどの意味があるのか。時代性という食指を動かして、文学の臓腑を掻き分ける営みもしかり。そもそも文学と時代はどこまで呼応しえるのか。本書はまずそこから挑む。その先に浮かび上がるのはなにか。文学の薄闇であり、ゆえに強さだった。
-
〆切本 1
左右社編集部(編)
〆切になっても「書けぬ、どうしても書けぬ」という事態は物書きにとって悪夢だ。その悪夢に身を焼かれてきた文豪たちは数知れず。田山花袋はひたすら「駄目」を連呼して無為に日を過ごす。遠藤周作は「イヤイヤながら仕事をしている」ことを隠そうともしない。哀切なる身辺雑記の数々。いずれもユーモアが漂うのはさすが。
-
みじかい文章 批評家としての軌跡
加藤 典洋(著)
大江健三郎、ビートたけし、奥田民生――。本書の論評の対象は広い。そして広いなりに温度差がある。鋭い眼光を閃かせたかと思えば、脱力の妙技でその実相をとらえる。構えは時と場合によりけりだ。しかしそのどれもが、長い思索の到達、とでも言いたくなる静寂と棘を持っている。所収の短評の数々に、嘘はない。
ブックキュレーター
編集者 崔鎬吉1977年生まれ。週刊誌記者、文芸編集者を経て、いまは学芸書籍編集者。現在、徳間書店在籍。関心の高いジャンルは、小説、文学、醜聞、国際政治、スポーツ。
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です