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「ドキュメンタリー」とは何か?と考えさせられる本
「ドキュメンタリー」は一般的に「記録映像作品」と考えられています。でも、そもそも映像というのは「記録」であるにもかかわらず、どうしてフィクションと区別して「ドキュメンタリー」と呼ぶでしょうか?考えだすと不思議です。ドキュメンタリーのとらえ方は制作者にとってもさまざまで、その定義について改めて考えさせられる本を紹介します。
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ドキュメンタリー映画史
エリック・バーナウ(著) , 安原 和見(訳)
「映画」が誕生したばかりの頃は、そのすべてが純粋な記録映像でした。その意味ですべての映画はドキュメンタリーだともいえますが、本書ではいわゆる「ドキュメンタリー」というジャンルから映画史を網羅する、という興味深い試みがなされています。ドキュメンタリー映画の優れたカタログとしても使用することができる一冊です。
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全貌フレデリック・ワイズマン アメリカ合衆国を記録する
土本 典昭(編) , 鈴木 一誌(編) , 石村 研二(ほか著)
ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンの全貌を知ることができる本です。余計な演出をしない、映像にはなるべく手を加えない、作品1本の時間が長いことでも知られる彼が、ドキュメンタリー観を語ったロングインタビューも掲載されています。彼の映画を日本で見られる機会は多くはないので、まずは本書を手に取ってみてください。
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著者は日本で最もよく知られているドキュメンタリー監督の一人、森達也です。彼は事実を映像で記録することが根本的に抱えている虚構性に、とても自覚的です。そうした立場から情報のわかりやすさに潜む危険性を論じ、善悪二元論や善意のファシズムなどに偏りがちな現代のメディアを批判しています。事実を伝えることの倫理について考えられた一冊です。
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映画を撮りながら考えたこと
是枝 裕和(著)
フィクションとドキュメンタリー、二つのジャンルにまたがって活動している是枝裕和監督による創作論が展開されています。両者の間に明確な境界を線引きすることはできない、ということがよくわかる本です。フィクションの制作に監督が取り入れているドキュメンタリーの手法を知れば、あの映画がこんな風に作られていたのかと驚かされるはずです。
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ドキュメンタリーは格闘技である 原一男VS深作欣二 今村昌平 大島渚 新藤兼人
原 一男(著)
小説を書くかのようにドキュメンタリーを撮る映像作家・原一男による対談集です。彼は人間に焦点をしぼり、まるで格闘技さながらに被写体にぶつかりながらドキュメンタリーを撮っています。対談相手はドキュメンタリーと縁の深い映画監督が大半。彼らが撮ったドキュメンタリー作品の制作過程に、原一男が同じ実作者の立場から熱く迫ります。
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