ブックキュレーター文芸・文化評論家 小野俊太郎
出版120年を経ても大人気のドラキュラや吸血鬼をディープに知る本
2017年は、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』が出版されて120周年にあたります。この間ずっと人気が衰えずに、ドラキュラや吸血鬼を扱った作品がたくさん書かれてきました。どうやら人類にとって、この忌まわしいモンスターは退治も忘却もできないようです。その秘密を解き明かす作品や解説本をあげてみます。
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ハリウッド・ゴシック ドラキュラの世紀
デイヴィッド・J・スカル(著) , 仁賀 克雄(訳)
吸血鬼ドラキュラの姿は、映画やテレビといった映像を通じて広がってきました。小説から舞台化や映像化される歴史を多数の図版を盛りこみながら解説しています。『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシの姿は、ドラキュラの決定版ですが、その裏話もとても興味深いですし、スペイン版などの珍しい作品も登場します。
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吸血鬼と精神分析
笠井 潔(著)
探偵「矢吹駆シリーズ」の一作で、パリを舞台に今回は精神分析と吸血鬼の関係を解き明します。毎回矢吹と思想家との対決が醍醐味ですが、今回は精神分析のラカンが相手です。ルーマニアからの亡命者が登場し、冷戦時代の重苦しさが加わります。殺人事件が解明されるだけでなく、吸血鬼の哲学的意味がわかる過程がたまりません。
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ドラキュラの精神史
小野 俊太郎(著)
ストーカーの小説の内部をきちんと読み解く本が意外と少ないので書いてみました。全7章のうち5章を作品の分析に充てたので、ダブルヒロインの違いや、ヴァン・ヘルシング教授のはたす役割についても深められたと思います。11月6日にすべてが終わる理由や、シェイクスピアを巧みに応用している点も明らかにしています。
ブックキュレーター
文芸・文化評論家 小野俊太郎1959年札幌生まれ。成城大学大学院博士後期課程単位取得中退。文化的な観点から小説や映画をとりあげた『ピグマリオン・コンプレックス』でデビューしたが、ハードボイルド小説論などを一時期書いていた。特撮映画を読み解くものは、『モスラの精神史』以降、『大魔神』、『ゴジラ』、『ウルトラQ』と続いている。その一方で、『フランケンシュタイン』や『ドラキュラ』の原作小説と派生作品に関する本も出してきた。雑読型でフィクションやノンフィクションを問わず読む方である。
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