ブックキュレーター哲学読書室
今、哲学を(再)開始するために
哲学の研究と哲学そのものは異なるものだとしばしば言われます。それでは今、どのような哲学が、あるいはどのようにして哲学が可能なのでしょうか。この問いに関わると思われるものを自著『ドゥルーズと多様体の哲学』と関連するものから選びました【選者:渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-:大学等非常勤講師)】。
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ドゥルーズと多様体の哲学 二〇世紀のエピステモロジーにむけて
渡辺 洋平(著)
私は本書でドゥルーズという哲学者を取り上げ、20世紀後半における哲学のひとつのモデルを描き出すことを試みました。哲学の研究者として出発しながら、さまざまな領域を横断しつつ独自の哲学を紡いだドゥルーズの思想を、彼が対峙した問題を明らかにしながら再構築し、提示することに努めました。叙述も(なるべく)簡明にしたつもりです。
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ギリシア人の神話と思想 歴史心理学研究
ジャン=ピエール・ヴェルナン(著) , 上村 くにこ(訳) , ディディエ・シッシュ(訳) , 饗庭 千代子(訳)
哲学は古代のギリシアにおいて生まれました。本書はフランスの碩学ヴェルナンによるギリシア人に関する論文集です。哲学を生み出した古代ギリシア人とはいかなる人々だったのか。その原点を窺うことができます。同著者の『ギリシャ思想の起原』(みすず書房)も名著・名訳です。
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カントの自我論
中島 義道(著)
日本人の著者によるカントの自我について論じた書。かなり独特の読みをしている箇所もありますが、それも含めておもしろい本です。背景となる思想史的事実をおさえつつ概念を丁寧に腑分けしていきながら、カント哲学を内部から破壊してしまうような結論にいたります。過去の哲学者と「共に」哲学することのひとつの具体例と言えるでしょう。
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臨床医学の誕生
ミシェル・フーコー(著) , 神谷 美恵子(訳)
個人的にとても影響を受けた(気がする)一冊です。書かれたテクストだけを対象にして、臨床医学という領域における「まなざし」とその転換を描き出す叙述は見事であり、人間が決して「あるがままの現実」などを見ていないことを教えてくれます。『言葉と物』を読んで挫折した人にもお勧めします。
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いわゆる「新京都学派」の代表者・梅棹忠夫による独自の文明論。大まかなアイディアの素描という感は否めないものの、そのスケールの大きさや卓抜な発想、明晰な文章は今なお一読の価値があります。遊牧民への視線や封建制に対する考え方など、自著の「ノマドロジー」の章で言及する構想があったのですが、できなかったのでここで紹介します。
ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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