ブックキュレーター作家 周木律
数学者の個性的な生きざまを垣間見る5冊
日がな一日机にかじりつき、数と記号と数式にまみれて小難しいことばかり考えている、頭はいいけれど、どこか浮世離れした人々――世間が持つそんなイメージを覆す、あまりにも個性に溢れた人生を送った数学者たちにまつわる本をご紹介します。
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ガロワ正伝 革命家にして数学者
佐々木 力(著)
現代数学への大きな飛躍をもたらしたガロア理論。その創始者であるガロアは、わずか二十歳にして決闘で命を落とした、悲劇の数学者でした。彼が短い人生の中でガロアが情熱を注いだのは、数学と、そして革命――破滅的な最期へと至った背景には、一体、何があったのでしょう。
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放浪の天才数学者エルデシュ
ポール・ホフマン(著) , 平石 律子(訳)
僕のデビュー作となった『眼球堂の殺人』には、放浪の数学者である十和田只人が探偵役として登場します。まさしく、彼のモデルとなったのが、ハンガリーの数学者であったエルデシュです。拙作では十和田只人を相当の変人として描きましたが、それはまさしくエルデシュが、そんな愛すべき変わり者だからなのです。
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数式に憑かれたインドの数学者 上 ラマヌジャンの渡英
デイヴィッド・レヴィット(著) , 柴田 裕之(訳)
魔術師と呼ばれたこのインド人数学者の功績は、一口に語れないものがあります。比喩ではなく「神秘的な」この数学者が、いかなる人生を送ったか。この本では、彼の事績がややフィクション的に構成されていますが、それでも、そのすべてが本当であってもおかしくはない妙なリアリティが、ラマヌジャンという数学者にはあるのです。
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ヒルベルトの挑戦 世紀を超えた23の問題
ジェレミー・J.グレイ(著) , 好田 順治(訳) , 小野木 明恵(訳)
この本には、ヒルベルトの生涯はあまり描かれていません。その代わり、彼が19世紀末に示した23の問題とその背景を細かく書き下しています。これほど広範な分野にわたる問題を、ヒルベルトという一個人が提示し、その後の発展をもたらしたのだということ――巨人ヒルベルトの頭脳に驚嘆する一冊です。
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天才数学者列伝 数奇な人生を歩んだ数学者たち
アミール・D.アクゼル(著) , 水谷 淳(訳)
最後に、とっつきやすい一冊を。ピュタゴラスからグロタンディークまで、さまざまな数学者の人生と功績を、列伝形式で描いています。これを読めば、数学者を画一的なイメージで語ることはできないとわかるはず。他書ではあまり見ないインド、中国の数学者についても記載があり、数学通史としても楽しめます。
ブックキュレーター
作家 周木律某国立大学建築学科卒業。第47回メフィスト賞を受賞し、2013年に『眼球堂の殺人~The Book』でデビュー。デビュー作に始まる「堂」シリーズ(講談社ノベルス)、大学院生と猫又が事件を解く「猫又お双」シリーズ(角川文庫)、戦後直後の東京を舞台にした感覚を失う探偵の物語「失覚探偵」シリーズ(講談社タイガ)のほか、ノアの方舟と宗教の謎を追う『アールダーの方舟』(新潮社)、ゾンビ満載のホラーミステリ『不死症 アンデッド』(実業之日本社)、金城一紀脚本のテレビドラマの小説版『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(角川文庫)など、ミステリを中心に多方面で精力的に仕事をしている。
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