ブックキュレーターお笑い芸人・日本語学者 サンキュータツオ
研究はエンターテインメント！
研究、というのは単なる考察とかとちがって歴史のなかに自分を位置づけることでもあります。生涯をかけてひとつのテーマに挑んでいる人たちの熱量はもはや笑えるレベルのすごさです！
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漢字一筋の笹原先生は国語辞典に漢和辞典、どの辞典からも引っ張りだこの研究者。『方言漢字』という地方に存在する漢字の写真を撮りまくっていた本も面白かったけど、これは文庫で「訓読み」がなぜ存在するのか、わかりやすく語ってくれています。笹原先生の漢字に関する研究はどれも面白い！
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ハトはなぜ首を振って歩くのか、という問いを見出した時点で勝利宣言してもよいという本。ハトは歩くときに一歩ずつ一回首を振るのに、なぜカモは振らないのか。この本が面白いのは、「人類学」の専門家である著者が「ハトの歩行」を研究したこと。ヒトの歩行とハトの歩行のなにがちがうのか。ミステリを読むドキドキ感！
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泣いて笑って三くだり半 女と男の縁切り作法
高木 侃（著）
高木先生は生涯に渡って何千もの「三くだり半」を読み、収集し、近代の日本の婚姻制度について研究した方で、歴史家ではなく法律家というのも面白いところ。縁結び、ではなく縁切り専門の寺「縁切寺」の第一人者です。女性には離婚の権利が認められていない、という定説に一石を投じる。想像力が膨らむ楽しさ！
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伊勢集全注釈
秋山 虔（著） , 小町谷 照彦（著） , 倉田 実（著）
出版されるアテもなく、三人の偉大な学者が費やした25年。師匠（秋山先生）、弟子（小町谷先生）、孫弟子（倉田先生）が持てる知見のすべてをつぎ込んだ歌人、伊勢のベストアルバム的歌集「伊勢集」。出版されたときにはすでに小町谷、秋山両先生はこの世になく、昨年ついに陽の目をみた傑作。生涯のお供です。
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虚数の情緒 中学生からの全方位独学法
吉田 武（著）
この先生がすごいのは、学問すべてに境界はなく横断的だということを文章から感じさせてくれることです。中学で習う数学の延長線上に、いま自分たちの生活に関わる「考え方」や、高等数学があるということを、平易な言葉で教えてくれます。全教科の教科書ってこの一冊で充分です。マジで。数学に興味のある文系人、必読の一冊。
ブックキュレーター
お笑い芸人・日本語学者 サンキュータツオ1976年東京生まれ。お笑い芸人、日本語学者。オフィス北野所属。お笑いコンビ「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学、早稲田大学、成城大学で非常勤講師もつとめる。早稲田大学第一文学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。文学修士。日本初の学者芸人。ラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ！」「東京ポッド許可局」などのレギュラー出演のほか、雑誌連載も多数。著書に『学校では教えてくれない！ 国語辞典の遊び方』、『俺たちのBL論』（春日太一との共著書）など。本ブックツリーのテーマでもある、研究者たちの知られざる奮闘を描いた著作『ヘンな論文』、『もっとヘンな論文』が大好評発売中。
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