東海道新幹線のおともに！東から西へ移動する本

ちくま文庫から続々復刊中の獅子文六小説！新幹線誕生以前に品川と大阪を結んだ昭和の特急「ちどり」が舞台。食堂車コックの男主人公をめぐるウェイトレス（カワイイ系）と客室乗務員（キレイ系）の恋の鞘当てを、クセ者乗降客と沿線の風俗描写が彩ります！当時の所要時間『七時間半』が即・題名ってのも、しゃれてますね。

18歳のバンドマンでバカみたいにモテる耕助たち（いいなあ）、新宿を後にハイエースで向かうは博多ファイナルの全国ツアー！名古屋、京都、大阪・・・乱入するヒロインを加えた道中は、破天荒な事件に青春の熱さ、そして実在ライブハウス名も満載。高速道路移動ならではの寂寞感も隠し味です。「ツアー」って楽しそう！

内田百閒が東京から、『なんにも用事がないけれど』汽車で大阪へ行って帰るだけの記が「特別阿房列車」。道中の記述ほぼなく、先生が気になるのは切符手配やトンネルの蝙蝠や車内販売のバナナばかりで大阪着。でも急に『大阪駅はいくらか柔らかい様で、ふにゃ、ふにゃしていて・・・』なんて言われるからハッとしてしまう。

こちらは漫画。ズバリ、「なんかヤベーけどスゲー」。薬物中毒で同性愛関係の弥次さん喜多さんがリアルを求めてお伊勢参りの旅へ。「人面瘡の湯」に「時の霧」、幻覚混じりの東海道を気づけば生死の境に彷徨っている！しかし街道ものだけに「品川之宿」「箱根之宿」なんて宿場単位の構成になってるのも、ヘンで面白いです。

最後は愛蔵したくなるガイド本です。横浜や名古屋の喫茶や建築はもちろん、掛川・三河安城・米原など「こだま」停車全駅からの小旅行を綺麗な写真とともに網羅。駅名の見出しがJR東海の駅名標のような平たい書体だったり、隅々まで素敵！岐阜羽島からバスで行ける千代保稲荷神社、行ってみたいなあ。ビニールカバー付。