よみやすさ◎忙しい人の読書にピッタリな本

主人公姉弟と、事故で左腕と父親を失った少年、彼らがピアノを通して繋がっていくお話です。春夏秋冬4つのテーマの短編は、季節感を見事に作品に溶け込ませた、どれも魅力的な話。章ごとに変わる三人の語り手によって、物語全体が紐解かれていきます。少年たちのまっすぐな言葉、思いに、疲れた時でも元気がもらえます。

冬をテーマにした短編の12篇セット。思わず笑顔になってしまうようなほっこりとした話から、寒さと別れのしっとりとした話まで、全てが丁寧に描かれています。少年、青年、中年・・・描かれる様々な人たちの、それぞれの冬。色々な楽しさが詰まった、大人から子供まで楽しめる心温まる一冊です。

残り三か月分を残して、自分の寿命をすべて売り払ってしまった青年のお話。あと僅かないのちしか残されていない青年に、世界はどのように映るのか。スラスラと読みやすいのに、読み応えはバッチリ。読み終えた後も、あとがきが隠し味のように作品のまた違った表情を見せてくれます。最後の最後まで魅力の詰まった一冊です。

月舟町、つむじ風の吹く十字路の角に佇む「つむじ風食堂」。そこに足繁く通う主人公「雨降り先生」と、個性派揃いの客たちとの間で繰り広げられる何気ないやり取りが、何とも言えない心地よさを感じさせてくれます。静かで優しい、不思議な世界観。詩的な面白さと連作短編の手軽さがうれしい一冊です。

読みやすさと言えば漫画が一番。男子高校生4人がおくる、ゆるい日常を描いたこの作品。大きな事件は起きないけれど、等身大の青春を味わうことができて。独特のテンポと雰囲気、ときどきのギャグが癖になります。ゆっくりしたい時、そして忙しいときにこそ読んでほしい一冊。