知らないところで世界は廻る

スパイが生きにくくなった現代での諜報活動のあり方を問い、同時に、歴史の中で日の当たらない世界で国家を支えてきた“英雄（＝スパイ）”たちに対する現代社会の不明と無恥を見事にさらけ出す。

たった一度の失敗で、窓際族となる現代のエージェントたち。彼らは「泥沼の家」という本部から離れた吹きだまりに集められる。ところが、どっこい彼らの矜恃が英国情報局保安部（MI5）の恥部を抉る。

歴史の不条理に翻弄される主人公の葛藤を描かせれば世界一と言われるゴダードが、第一次世界大戦直後のヨーロッパを舞台に、国際的陰謀を描く「1919年三部作」の第1作。日本の暗躍も描かれていて、三部作のラストは日本が舞台に。

西側諸国にとって最大の仮想敵国と言われる中国を舞台に、今までにない新しい発想のスパイ小説を描いた意欲作。中国独自で開発したOSを手に入れないと、彼らの暗号が解読できないという設定は秀逸。

欧米では、一つのカテゴリーがつくれるほどの多くの作品がある暗殺者だが、時代の変遷と共に、諜報活動に絡むプレイヤーが複雑になる。凄腕でありながら、世界中から命を狙われるグレイマンと呼ばれる暗殺者の壮絶な闘い。