40代を生き抜くために必要な教養、知識、そして物語。

誰もが例外ではない「老後破産」の現実を描いた渾身ルポ。現在一人暮らしの高齢者は600万人。そのうち約200万人は蓄えもなく、「老後破産」に直面する高齢者が急増している。年金受給などの点で、最も恵まれているといわれている世代でさえこの状況である。今40代、50代の人の状況はさらに厳しくなるだろう。

良心の呵責に苦しみながらひっそり暮らす主人公の宗助は、晴れない心を何とかしたいと寺の門をくぐるが結局悟ることはできない。懸案の問題に向き合う勇気やエネルギーがないと、何か別のものでそれを解決しようとするが、結局それは門のように人生の行く手に立ちはだかる。そこに踏み込む力の大切さを教えてくれる。

著者は東大卒業後、経済産業省に入省。国家プロジェクトに携わるなど、まさにエリート街道を突っ走っていた。しかし、官僚を突然辞めて肩書きを外したところから「地獄」がはじまる。新規事業はうまくいかず、かつての民間企業の人や仕事仲間にも冷たくあしらわれる。そこで初めて自分の「驕り」に気づく。

西暦96年からオスマン帝国によって滅ぼされるまで、ローマ帝国の約1400年間を記述した大著。ギボンは西方正帝の廃止で西ローマ帝国が滅亡したとする考え方を提唱し、のちの歴史家に大きな影響を与えたことで知られている。現在のキリスト教圏とイスラム教圏の確執の根っこも、この時代背景を抜きにしては語れない。

男性のつくり上げた競争社会で生き抜くうちに、バランスを失ってしまった女性の悲劇を描く。ナイルパーチとはスズキ目アカメ科の淡水魚。もともとは普通の魚だったが生態系の競争に巻き込まれ、周りの魚を食い荒らす凶暴性を持つに至った。現代の競争社会で変質していく女性を知るうえで、大いに役に立つ一冊だ。