ブックキュレーターhonto編集員
さりげない日常のスリル。上質で緻密なレトリックがクセになる木村紅美の小説
木村紅美の小説は五感を刺激する美しいレトリックの宝庫といえるでしょう。一筋縄じゃいかない登場人物の織りなす「あるある!」と言いたくなるリアリティ、さりげなくハラハラ感あるもどかしい関係性。ささやかな日常の中に潜む淡い狂気までも爽やかに仕立て上げる繊細な描写に、うっとり没入してみてはいかがでしょう。
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夜の隅のアトリエ
木村 紅美(著)
日常生活からふっと抜け出したらどんな世界が待っているのか・・・と空想がちの人にオススメの小説です。ラブホテルの受付をしつつ、時に絵画モデルを務める主人公。生々しい秘密があちこちに散りばめられた、ちょっと不穏な世界はついつい浸ってしまいます。セクシャルな場面も抑制を効かせつつ、ぞわぞわさせられる筆致が見事です。
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風化する女
木村 紅美(著)
2007年に刊行された木村紅美のデビュー作です。43歳で結婚もせず一人ぼっちで死んでいった先輩社員のれい子さんをめぐる発掘と、「私」の日常。身に迫るリアリティがどのページにも漂っています。いい意味でも悪い意味でも、「ああ人生ってこんなものだよね」とつぶやいてしまいそうな読後感。青春を描いた「海行き」も併録されています。
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晴れやかな「おめでとう」の影には、そこまで至らなかったたくさんの女子の存在があります。そういう表に出づらい大人の色々を、爽やかな筆致で描いてしまうのが木村紅美流。大人女子なら大なり小なり近い状況に遭遇した経験を思い返し、登場人物たちの会話に感じ入るところがあるでしょう。そんな表題作のほか2編が収録された一冊です。
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シャイで妄想たくましい39歳の紫麻がリゾート地のホテルを仕切ることになり、ラブホテルの設計を仕事とする冴えない中年男に惹かれてゆきます。だけどそこは恋に不器用なふたり、一筋縄のラブストーリーとはいきません。谷崎潤一郎『痴人の愛』のナオミ似という男慣れした妹・杏里との対比が切なく、ヒロインの清さが引き立ちます。
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