ブックキュレーター文筆家 藤田祥平
ゲーム文学で新しい時代をプレイしよう!
お母さんにゲームを取り上げられたばあい、人間がとりうる手段はふたつ。お金を盗んで新しいゲームを買うか、ほかのことをして気分を紛らわせるかです。ここでは後者の手段をとることにして、ゲームに関連した書籍を紹介します。ちなみに筆者はゲームばかりやっていたせいで、ゲームについての小説を出してしまった者です。信頼してください。
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世相・競馬
織田 作之助(著)
この短編集に収録されている『聴雨』は、横紙破りな打ち筋で生涯やってきた棋士の一世一代の大勝負をえがく、ゲーム文学の最古典といえます。この老いた達人の打ち筋は、羽生永世七冠も藤井六段もひふみんもAIも真似できない、というか、真似しようとも思わないでしょう──初手七六歩に対して九四歩!うわああ!
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この短編集に収録されている『ドッグファイト』は、1982年に現在のわれわれのesportsを完璧に描ききってしまうという離れ業を達成した、恐ろしいほど正確に未来を予測している短篇です。「ゲームにはまっている現在のおれのことが書かれてるぞ」と恐怖しました。これ、フィクションだったはずなんだけどな。
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ハーフリアル 虚実のあいだのビデオゲーム
イェスパー・ユール(著) , 松永 伸司(訳)
「ビデオゲームは、半分現実、半分虚構。」マリオが先へと進んでいく理由を説明するとき人は言う、「お姫様を助けないといけないから」(虚構)。マリオの命が三つある理由を説明するとき人は言う、「そうでないとゲームが難しくなりすぎるから」(現実)。平明な言葉で書かれた、最高のビデオゲーム研究書です。
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電遊奇譚
藤田 祥平(著)
拙著です。IGN Japanというウェブメディアで、「あのゲームおもしろかったなあ」と追想しながら連載していたものなのですが、とつぜん出版社から連絡が来て、書籍になりました。ゲームプレイの「昔語り」が文学になりうるという可能性を拓いた点において、ギブスンと正反対の方向を向いている本なんじゃないかな。
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拙著です。あるひとりの少年がお母さんにゲームを取り上げられたので、ゲームをやるかわりに小説を読んで書くお話です。高校辞めたりします。あほですね。それから、失われたピクセルをもとめて彷徨をつづける。書いてみてはじめてわかったんですが、作家の文学的動機って、意外としょうもないことだったりするんですね。
ブックキュレーター
文筆家 藤田祥平1991年大阪府生まれ。京都造形芸術大学文芸表現学科卒。大阪と東京に半々で在住しています。こないだ東京で、文豪っぽいかなと思って下町の築五十年の「ナントカ荘」の部屋を借りたんですが、天井からむかでが落ちてきたので大阪まで逃げ帰りました。帰る家があるって、いいもんですね。http://shoheifujita.smvi.co/
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