ブックキュレーター寺山正一(日経BP 上席執行役員、元日経ビジネス編集長)
帝都東京、首都東京、国際都市トーキョーの過去と未来はこんなに面白い
大河ドラマ「西郷どん」でも登場するはずの江戸城無血開城、明治政府の樹立以降、東京は首都として二度の大震災といくどもの戦争を経験し、人々の喜びと苦しみをつぶさに眺めてきました。二年後に控えた二度目の五輪開催、新天皇の即位に向けて、首都東京はどのような変貌を遂げていくのでしょうか。あるようでない東京本、独断でご紹介します。
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昭和史発掘 新装版 1
松本 清張(著)
舞台を東京に限定した場合、日本の歴史を変えた最大の出来事の一つに二・二六事件が上げられることは疑いようがありません。「昭和維新、尊皇斬奸」を掲げた陸軍による軍事クーデター未遂は、日本を日中戦争、太平洋戦争の泥沼に引きずり込んでいく最悪の結果を招きました。全9冊の大著ですが、通読する価値があります。
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赤頭巾ちゃん気をつけて 改版
庄司 薫(著)
昭和44年に発行されたベストセラー小説ですが、東大安田講堂事件直後の都立日比谷高校を舞台に、全共闘世代の当時の空気を知るための「資料」としてお読みください。学校群制度の導入による都立高校の凋落と私立高校の台頭、石原都政下の都立高校の再強化など、首都東京の進学事情をおさらいする一助にもなる本です。
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「新宿鮫」の異名で暴力団員にも怖れられる新宿署の鮫島刑事。言わずと知れたハードボイルド小説の名作ですが、新宿歌舞伎町の犯罪絵図の変遷は、東京が真の国際都市に変貌を遂げてきた平成の軌跡と見事に重なって映ります。都市が国際化すれば犯罪もグローバル化する。読み切りなのでシリーズどの巻でも楽しめます。
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東京都心を30分歩いてみると、至る所で再開発やビルの建て替えが進んでいることに驚かされるに違いありません。他の4冊とは毛色の違うムックですが、東京23区と横浜で進む大規模開発412件を網羅して、地図や写真、技術解説の図面満載で近未来の東京を描き出しています。東京観光、散策のガイドにも役立ちますよ。
ブックキュレーター
寺山正一(日経BP 上席執行役員、元日経ビジネス編集長)1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、日経BP社入社。自動車産業担当を経て、92年からニューヨーク支局駐在。2008年から日経ビジネスの編集長を3年間務める。寝ることと食べることと同じくらい「読書」は生活の一部となっている。読むジャンルは歴史書、現代小説、時代小説、経済書、哲学書となんでも読むが、遠藤周作の著作はほぼ全作品読破している。読書以外では映画鑑賞と野球観戦が趣味。
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