ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
詩人・谷川俊太郎の音楽のような翻訳
日本を代表する詩人、谷川俊太郎さん。詩集だけでなく、さまざまな形で私たちに日本語の美しさを教えてくれています。そんな谷川さんの多彩な仕事から「翻訳」だけを取りあげてみると、シンプルなメロディから広がるリズミカルで豊かな響きをもつ言葉の世界が広がってくるようです。スイミーだけじゃない、谷川さんの見事な翻訳を紹介します。
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スヌーピーたちの人生案内 1
チャールズ・M.シュルツ(著) , 谷川 俊太郎(訳)
1950年にアメリカの新聞で連載が始まった「ピーナッツ」、谷川さんはこのシリーズの翻訳を50年近く手がけています。スヌーピーと愛すべきキャラクターたちが繰り出す言葉は、軽いようで深く、ちょっと毒もあり、人生の愛おしさと滑稽さを教えてくれます。こんな微妙な味わいを再現しているのが谷川訳なのですね。
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ちいさな島
ゴールデン・マクドナルド(さく) , レナード・ワイスガード(え) , 谷川 俊太郎(やく)
作者名は『おやすみなさい、おつきさま』や『たいせつなこと』などで知られる絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンのペンネーム。彼女の絵本にはどれも深い洞察があり、それを子どもに届く言葉だけで表現しています。翻訳もまた、少し硬質で格調高く、でも心に深くしみこんできます。
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エドワードとうま
アン・ランド(文) , オーレ・エクセル(絵) , 谷川 俊太郎(訳)
絵を描いたオーレ・エクセルはスウェーデンのグラフィック・デザイナーです。線も色づかいも、さっぱりと明るいシンプルな線、透明感のある明るい色によく似合う、軽快で心やさしい日本語。子どもの目線で語りかける谷川さんの姿が目に浮かぶようです。
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目であるく、かたちをきく、さわってみる。
マーシャ・ブラウン(文と写真) , 谷川 俊太郎(訳)
『せかいいちおいしいスープ』や『ちいさなヒッポ』などの絵本で知られるマーシャ・ブラウンの写真絵本3冊を小型の1冊にまとめたもの。自然がつくりだす色や形の美しさ、不思議さをうたう文章は哲学的でもあり、一篇の長い詩としても読めます。最高の翻訳者との出会いを果たした幸福な本と言えそうです。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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