ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
「アナザー・ワールド」からの使者を描くファンタジー絵本
こちら側の世界ではなく、目には見えないむこう側の世界=「アナザー・ワールド」を描くファンタジー。数あるファンタジー絵本の中には、その「アナザー・ワールド」からこちら側の現実世界に迷い込んでくる使者を描いたものも多くあります。異世界から来た存在との不思議な、しかし心温まる交流を描いた物語を、是非味わってみてください。
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赤い目のドラゴン
アストリッド・リンドグレーン(文) , イロン・ヴィークランド(絵) , ヤンソン由実子(訳)
ある日突然、ブタ小屋でドラゴンの子どもが生まれ、子どもたちは喜んで世話をし始めます。しかし、突然別れのときが来て・・・。スウェーデンを代表する作家リンドグレーンによる隠れた傑作。子どもたちやドラゴンの生き生きとした描写に加え、夕日をバックに飛び立つドラゴンなど、美しい情景がいつまでも記憶に残ります。
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漂流物
デイヴィッド・ウィーズナー(作)
浜辺に打ち上げられた、不思議なカメラ。それを拾った少年は写真を現像しますが、そこに写されたものを見て思わず息をのみます。文字がいっさいなく、精緻なイラストだけで進んでいく不思議なストーリー。どこまでも想像が広がる、圧巻の世界観です。2007年にコールデコット賞を受賞。
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月おとこ
トミー・ウンゲラー(作) , たむら りゅういち(やく) , あそう くみ(やく)
月に住む「月おとこ」は、地球の人たちの仲間になりたいと思い、流れ星とともに地球にやってきます。ところが彼を「インベーダー」と思った人々によりろうやに入れられてしまい・・・。SF的な要素も織り込んだ、ユーモアあふれる快作。「月おとこ、ちょっとかわいそう」と、感情移入しながら読む子どもも多いです。
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黒ねこのおきゃくさま
ルース・エインズワース(作) , 荒 このみ(訳) , 山内 ふじ江(絵)
冬の嵐の晩、一人暮らしの貧しいおじいさんの家に、やせた一匹の黒ねこが迷いこみます。おじいさんは黒ねこになけなしのミルクとパン、羊肉を与えて一晩泊めてやります。そして、静かに奇跡が起こります。クリスマスの時期に読むにも相応しい、珠玉の一冊。気鋭の日本人画家による挿し絵も非常に美しい。
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名前のない人
C・V・オールズバーグ(絵と文) , 村上 春樹(訳)
季節が夏から秋に変わろうとしているある日、農家のベイリーさんの家に記憶を失った不思議な男がやってきます。彼の正体は?「色彩の魔術師」と評されるオールズバーグ(映画『ジュマンジ』の原作絵本も有名)の繊細なイラスト、空想と現実が入り混じったような不思議なストーリー、村上春樹氏の翻訳センスが魅力の一冊。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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