ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
忘れてはならない歴史の1ページ──児童書で「思い出す」あの出来事
これまでの人類の歴史の中で起きた、決して目を背けてはならない数々の出来事。優れた児童書の中には、それらを明快な言葉や資料で伝えるものが多くあります。「歴史とは思い出すこと」とは、小林秀雄氏の言葉。ただ悲惨な出来事を伝えるだけではなく、その時を生きた人々の思いを想像でき、一筋の希望の光が見えるような5冊を選びました。
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ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸
ベン・シャーン(絵) , アーサー・ビナード(構成・文)
1954年、南太平洋のビキニ環礁における水爆実験で被ばくした、日本の漁船「第五福竜丸」。この事件に触発された米国の具象画家が描いた連作絵画『ラッキー・ドラゴン』に、日本在住の米国人詩人が文をつけた絵本。核実験に対する静かな怒りと平和への祈りが伝わります。
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およぐひと
長谷川 集平(作)
流れに逆らって川を泳ぐ人、小さな子どもを連れて町から離れる人──。2011年3月11日の震災で生まれたであろう、無数の物語。それに触れた時、人は何を思うのか?ごくわずかなページ数の絵本にこれほどのメッセージを織りこめる、作者の圧倒的な表現力に脱帽です。
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あなたがもし奴隷だったら…
ジュリアス・レスター(文) , ロッド・ブラウン(絵) , 片岡 しのぶ(訳)
長きにわたって存在した奴隷制度の実態と、奴隷として生きた無数の人々の声。現代黒人画家が描いた連作絵画をもとに、奴隷制度を研究し続ける著者が文をつけました。「奴隷制度って残酷」などと他人事にするのを決して許さず、誰もが内に持つ負の側面に目を向けさせる力を持っています。
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テレジンの小さな画家たち ナチスの収容所で子どもたちは4000枚の絵をのこした
野村 路子(著)
大戦中、チェコのテレジン収容所にいた15000人のユダヤ人の子どもたちは、フリードル女史の指導のもと、数々の絵を描いていました。現在も残されている絵の一部を、生存者の証言や豊富な写真も交え、平易な文体で紹介したノンフィクション。極限状態でも希望を失わない人間の姿が胸に迫ります。
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八月の光 失われた声に耳をすませて
朽木祥(著)
広島の原爆投下を生き延びた人々。彼らが何を感じ、生きていたのかを詩情あふれる言葉で描いた、7話の連作短編です。2012年に出版されたものに加筆されました。著者は広島出身の被爆二世。その作品はミュンヘン国際児童図書館の図書目録に複数選定されるなど、海外でも非常に高く評価されています。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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