ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
まだ見ぬ世界へのあこがれ―読めば旅に出たくなる絵本
「ただ戸を一つしめて、陽気に一歩ふみだせば、それでいいんだ!」とは、グレアム『たのしい川べ』に登場する旅ネズミの言葉。旅に出て未知の世界に触れることは、自分が周りの世界を見る新たな視点や、「今生きている」という確かな実感をもたらしてくれます。旅への第一歩を後押ししてくれるような、魅力的な5冊の絵本を選びました。
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旅の絵本 1
安野 光雅(著)
灰色ずきんをかぶった一人の旅人があらゆる国を旅する、文字のない絵本。1巻目で中世ヨーロッパを旅した旅人は、2巻目以降イギリス、スペイン、アメリカなど世界各国を渡り歩きます。各ページに様々な「遊び」があり、それらを探すのも一興。第8巻「日本編」には、陸前高田の一本松なども描かれています。
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ぼくらの地図旅行
那須 正幹(ぶん) , 西村 繁男(え)
5年生のシンちゃんとタモちゃんは、地図と方位磁針を使って岬の灯台まで「地図旅行」をすることに。マンガのようなコマ割りで進むストーリーに、実際の地図も記されていて非常に読みやすい。とにかく各ページに描かれている風景が緻密で、人々の暮らしの多様性にも気づかされます。地図を片手に旅に出てみたくなるはず。
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朝6時15分、新青森駅から新幹線「はやぶさ」に乗ったはるかちゃん一家は、3つの新幹線を乗り継いで鹿児島のおじいちゃんの家に向かいます。日本を縦断する様子を俯瞰して描いた絵本で、家族で読めば様々な会話が生まれることでしょう。震災直後の2011年3月18日に出版され、震災前の東北の姿が描かれています。
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馬のゴン太旅日記
島崎 保久(原作) , 関屋 敏隆(版画と文)
島崎氏の『猛烈乗馬旅行記』を絵本化。函館から鹿児島まで、馬のゴン太ととある大学生―「馬のあつかい方も知らないばかダンナ」―の112日間の旅がユーモラスに描かれます。伝統的な手法を生かした木版のイラストが旅情を誘い、この本をきっかけにして、大人になってから日本縦断にチャレンジした人も多いとか。
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くんちゃんのだいりょこう
ドロシー・マリノ(文 絵) , 石井 桃子(訳)
クマのくんちゃんは、冬に南へ向けて渡りを始めた鳥たちを見て、自分も遠い南の国へ旅をしたくなります。ところが、家を出るたびに忘れ物をしたことに気づいて・・・。誰の心にもある「どこか遠くへ行きたい」気持ちを描き、共感を呼びます。子どもの冒険を温かく見守るお父さん、お母さんの存在も非常に印象的。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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