ブックキュレーター小説家 山野辺太郎
「近頃、小説を読まなくなった」という大切なあなたに贈りたい本
学生のころにはわりと読んでいたのに、最近は忙しさにかまけてさっぱり、と、あなたは言った。確かに、仕事に家事にと、いつも追われているように見える。それでも隙間の時間に立ち止まって、本を手にしてみてはどうだろう。隙間から、小説の時間が流れ出す。流れに身をひたせば、つかのまの時が数十年にも永遠にも感じられてくるはず。
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河川敷の野球場の片隅で、いつも椅子を積み上げ、そのうえで逆立ちの練習をしていた曲芸師。中華料理店のエレベーターのなかで生まれ育って、ビルの取り壊しまで暮らしつづけた生粋のエレベーターボーイ。真摯で不可思議な人々とともに、九つの短篇を通して、死と生のあわいのひとときを過ごしたい。
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燃焼のための習作
堀江 敏幸(著)
探偵めいた仕事を請け負う枕木は、雨の日のビルの一室で、インスタントコーヒーにクリープと角砂糖を加えた「三種混合」を飲んでいた。居合わせたのは、依頼人の熊埜御堂と、事務員の鄕子。枕木たちの会話は豊かな脱線を重ね、ささやかな出来事の語りに心の機微をにじませながら、入り組んだ記憶の坑道をめぐりゆく。
ブックキュレーター
小説家 山野辺太郎1975年、福島県郡山市生まれ。父の仕事に伴い、東京・高円寺や秋田市で暮らしたのち、宮城県仙台市で育つ。仙台二高で鬱屈した高校生活を送るなか、太宰治に傾倒。小説を書きはじめる。東京大学文学部・同大学院でドイツ文学を専攻。18世紀ドイツのシュトルム・ウント・ドラング時代の劇作家ヤーコプ・レンツを研究対象としたが、行き詰まりを感じ、インドへの旅に出た。出版社に入社し、国語教科書の編集者として勤務。会社勤めのかたわら、小説の執筆を続ける。2018年、『いつか深い穴に落ちるまで』で第55回文藝賞を受賞。ほかに『孤島の飛来人』『こんとんの居場所』など。https://yamanobe-taro.jp
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