ブックキュレーター楽工社 営業部 長至巳
それでも決して「欺かれない」強さと狡さと賢さをはぐくむための5冊
「欺かれる」にも結構な振り幅があるものです。ついつい余計な買い物をさせられるレベルの(割と)他愛のないものから、笑うに笑えない、致死的な・破局的な事態に発展しかねないものまで。最近また書店店頭を賑やかしている『影響力の武器』を今更ながら再読して、「ムックもコミックもあり」で僕が連想した出版物をご紹介させていただきます。
- 32
- お気に入り
- 2816
- 閲覧数
-
476ページにも及ぶ大著ですが、見てくれに反して平易な文体です。その平易さに反して、何人にも「通俗的な」心理読み物と勘違いさせない堅固さと周到さの裏打ちがあります。返報性・一貫性・社会的証明・好意・権威・希少性という六つの心理学の原理が、「影響力の武器」になり得ることの面白さと怖さを追体験できます。
-
コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術
イアン・ローランド(著) , 福岡 洋一(訳)
「人がどのように騙されるかを理解していれば、あなたは騙されない」と語る著者・イアン・ローランドは、現役マジシャンでもあり、セールスマネージャーの経験者でもあり、FBIの行動分析プログラムの講師も行う多才の人です。メンタリストDaigoの著作を始め、多くのベストセラーの参考文献にも挙げられている名著。
-
なぜ、人は「餃子の王将」の行列に並ぶのか? 本邦初!面白くてためになる「ギョーザ経済学」
野地 秩嘉(著)
『影響力の武器』の「返報性」の項を読んで嫌でも思い出したのが、かのチェーン店でした。さかのぼること三十●年前、京都の私大生だった僕には大学裏門前で配られたここの無料試食券が生活費の一部分であり、でもその時セットされた「報恩の義務」の効力で、五十路を過ぎた現在なお、かのチェーン店に通い続けております。
-
デビルマン 新装版 4
永井豪とダイナミックプロ(著) , 永井豪とダイナミックプロ(著)
さかのぼること四十●年前、茨城の小学生の僕がKC版単行本を買って戦慄したのは、デビルマン軍団らの最終決戦ではなく、暴徒と化した近隣住民たちがヒロインを惨殺して切り刻んで串刺しにしてしまうシーン。少年漫画ではあり得ない光景なのに、集団心理で狂気に取り憑かれた「普通の人」たちがあまりにリアルだったから。
-
人は変われる。 ライザップで証明された自分を変える極意
RIZAP(編著)
『影響力の武器』の「コミットメントと一貫性」の項を読んで嫌でも思い出したのが、何かと話題なこの企業が連呼するあのキャッチフレーズでした。そこはかとない警戒感と、とはいえどんな負荷が背中合わせであれ、例えばあの松村邦洋さんを本当にスリムボディに仕立てて「結果にコミット」の状況証拠を提示してしまう凄み。
ブックキュレーター
楽工社 営業部 長至巳1963年生まれ。出版と書店に関わる仕事を始めて四半世紀を超えました。ちょっと長い無職期間を抜け出し昨春(2017年)より業界復帰、現在は飲食に関わる翻訳書の出版社に勤めております。出身が茨城県で、大学が京都市で、地方出張も多い仕事のおかげで、日本の中で未踏の都道府県は宮崎県のみになりました。好きな作家・山田風太郎。別名で『1985』という小説を上梓したことがあります。あの『1Q84』より10年前に。
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です