今後の日本経済の課題を理解するために

トランプ大統領や欧州で右翼政党が活発化する中で、日本はポピュリズムの嵐から免れた安定政権という見方は正しいか？高齢化社会に不可欠な労働・社会保障の改革を先送りすることこそ大衆迎合ではないか？本来、必要とされる構造改革への指針を示す。

人手不足にもかかわらず賃金が上がらないという、日本経済の問題について、経済学者たちが多くの仮説を持ち寄った研究書。各章末のまとめだけでも読むべき。現在の日本では、景気循環だけでなく、年功賃金是正等の構造変化が生じていることが明確に示される。

日本が無謀な対米戦争に踏み切った理由として、米国の国力に関する情報不足や、陸軍の精神主義等の通俗的な説明がある。本書は、陸軍が一流の経済学者たちを集めて綿密な分析を行い、明確な結論を得ながら、それと正反対の政策決定がなされたプロセスを描く。

成熟した日本経済の成長のカギを握るサービス経済について、豊富なデータを用いた実証分析の書。サービス産業の生産性、イノベーション、労働市場等の問題を分析し、活性化のための政策を提言。政府だけでなく企業の企画立案担当部署にも必要な情報といえる。

豊かな日本から取り残された大都会の貧困地域の大阪西成区の再生に挑んだ若手経済学者の記録。経済的に合理的な政策でも、地元の人々の納得を得なければ実現できない。自ら住民集会に乗り込んで、反対派を説得するプロセスも含めた他に例の少ない経済書。

世界の最先端の授業を行う「校舎のない全寮制大学」の実態を記した紹介書。豪華な学校施設を作らず、学費を抑制しつつ、世界の主要都市を巡りながらトップ企業でのインターンを経験する未来の大学。これを日本にも誘致することは可能かと問う、教育改革の書。